埃まみれの10年ものの扇風機は部屋の片隅でいつ発火してやろうかと考えているよ

  毎日毎日遅刻ギリギリで飛び出すあの娘
  今日だってきっと、足の指で止ボタンを押すんだ
  どうしたって10 ....
ひぐれ ゆるやかなひかり 
花火のか遠き子音 
あおぐ空で煙りとかくれんぼする月に ああ
そこにおるんね と あいそ笑う  
懐かしいね ともに見たあの日の火花は ほんの少しだけ本当だった 
八月。

私たちの街は。少し空気が、変わる。
街宣車が増える。黒塗りの車。
スピーカーから、流れるテープ。

ツーリストが増える。
大型バイクが空気を、揺らして。

外国人が、増える ....
青い陶器瓦の下に埋もれた
記憶を掘り出してどうなるというのだ

焼け落ちた家の跡の
現実と幻想の交叉した風景の中に
私が立っていたあの日
陽光に照らし出された井戸の
湧き出る水に沈んでい ....
繁みの間から語りかけてくる友だち

幼いころに拾い集めたら
食べるとどもりになるよ
あの子はきっと
食べたんだよ
という子がいた

友だちの中にひとり
どもる子がいた

きみはド ....
夏の日の夕暮れ
いつまでも続け
つないだ手のぬくもりほどの
せつなさを抱えて

メビウスのまんなかに
つかのま立ち止まり
見つめ合った、ぼくら
いまよりもずっと
不器用で、素直だった ....
僕らは社会の文体を学んで成長してきた
はたまた親の文体に反撥しながらも生きるために
それを受け入れて

今度は自分自身のフォーマットに縛られながら
それとの葛藤にちょっと疲れているのかもしれ ....
道路に飛べない鴉がいた 危うく轢きそうになった
大人という者は 大人という冠を被ったガキだ
もう短い命だろう この鴉はそんな大人たちよりも
余程 命を懸けて生きている

……
 ....
並ぶつもりで
並んでいるのではないし

何億光年も離れた小さな星の住人が
語り伝えた
神話など知らぬ

集まって
輝いているように見えても
それぞれ
果てしなく遠い

線でつな ....
いるわけがない
いつもの夕飯時のはずが
食卓に投げ出される、突拍子もない弟の主張
あの丘で恐竜を見た
家族みんなの一笑、からかいに
きみはひとり意地を張りつづける

 うっすらとほの暗く ....
蝉時雨が
それほど新しくない記憶を
影縫いするものだから
そのまま置き去りにもできず
立ち止まる

吹き出す汗
ハンカチを忘れたことに気づく
いつもそうだった
肝心な時に何かが欠 ....
真昼の烈光は
漂白剤のように
景色も
僕の影も
脳も
真っ白にしていく

何もない


真昼なり
 薔薇の花が一輪
 掌に横たわっている

 棘だけが未だ鋭く
 チクリと私の皮を刺す

 死して尚
 痛みを与える
 美しさ

 庭仕事を終え、
 麦藁帽を脱いで
 額の汗をぬ ....
君に照らされたいと
咲いた花は
雨風さらされ
踏まれながらも
その目に留まれと
桃色の手をかかげる

鈴なりのコチョウラン
大輪のボタン
道端のケイトウも華と
とうの昔に知って ....
今、ワールドカップに目を注いでいる
地球人の何パーセントが肯うだろうか
なるほど彼は年相応だと
四年前は四十二、三というところ
何と二十六だった
あり得んロッベン

ファン・ペルシーと同 ....
   窓を這う
   ゴーヤの日除けに
   蝉の声

   首に巻いたタオルで
   額の汗を拭く

   夏の昼下がり

   冷たい麦茶と
   生ぬるい扇風機
   微か ....
けつまずいて転ぶ
ああいつもの夕暮れなのにね

見えないものに語る言葉
忘れてしまった暑い日です

行き着く先のわからない
遠泳に参加する僕は第三泳者です

通り雨地球をまわしてとお ....
工場の裏に生えた草を抜いていて思った
この国は何て豊かな国なのかと
何もしなくてもこんなに沢山自然に草が生える
知らない名の草が生える
1ヶ月でこんなに生えるなんて凄い生命力
しゃがんで ....
女神の濡らした豊穣の大地が
一人の女性によって焼かれようとしている
陽炎は松明の炎となり
真昼の宴が裸の男を誘い催される
神々が降臨した幻
ひまわりは証として黄色で照らす
まばたきは
シャッターだから
夜になると
わたしのなかは写真だらけになる

そうやって
撮り続けた
日常のいくつもの場面を
夜の川に流していく
笹舟のゆくえを追えないように
それら ....
私はかつて[緑病]と呼ぶべき奇妙な病気に罹ったことがある。
それは十八歳くらいの時で、高校を卒業して初めて社会人となって働き始めた頃のことだった。
なぜか緑色に魅かれて、服も靴もバッグも帽子も身に ....
 
見せびらかす愛なんて くそっくらえ

語る愛なんて 持ち合わしちゃいねー

でも感じあう愛なら、あるぜ



 
{画像=140720232423.jpg}



言葉に傾き
ほら歩く姿に
傾きがありませんか?


真っ直ぐ歩いて来た
自分はそう思って来た
でもある時
人に言われたんだ
 ....
目覚めれば記憶の波から押し寄せるからと
まぶたには花びらのような匂い立つ手が
幾重にも重なりあって 私の瞳は閉ざされる
脳髄の薄皮を玉ねぎを擦って剥ぐように 
捲ってはならない
球 ....
こころの透明な日に海がやってくる
あてどもない迷いに逢いにやってくるのだろうか

迎えるすべをしらない私はとおい砂浜で貝を観察したり
でも思い出に似た貝殻をさがしてみる

光沢を失った風景 ....
波打ち際

ビー玉大 小ジャリ拾う

口にふくむ


「私 見張り番をしたのよ」


「何の? なぜ?」


「砂泥棒の・・・コロッケを買うお金欲しかったの」
 ....
飛ぶ
ということを手放して
風を作る
ということを手に入れた
君は無口なプロペラ

人間が涼む
猫が涼む
テーブルの上のうすい紙切れを
宙へ舞い上げる
いたづら

わたしに見え ....
{画像=140706133117.jpg}




フリーという言葉に何を思い浮かべますか?


海月(くらげ)?


海面に写る月の影のように
ゆらゆら揺れて
掴もうとする ....
…朝の選挙速報を眺めていると僕はとうとういたたまれなくなってしまった。
彼女は何故か気のない返事で僕をはぐらかす。公示が決まったその日からお店にも顔を出してはいないようだ。(応援は知り合いから頼 ....
冷蔵庫に賞味期限切れの
ちくわが一本残っていた
二日しか過ぎていない
まだ大丈夫だろうと
丸かじりする

食べながら
ちくわの穴と対峙する
もしかしたら……
別世界が見えるかも知れな ....
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