雨の日の憂鬱の原因が
洗濯物が乾かないせいだと
今、気付いた
湿っけた洗濯物が
部屋中に吊るされて
うっとうしい
ベランダに干された洗濯物も
いつ乾くか分からず
さらに絶望的気分になる ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
金があれば と言うけれど
あったらあったで目先のものに使ってしまう
時間があれば と言うけれど
あったらあったで無駄な時間も増やしてしまう
もっと自由があれば とも言うが
自由の ....
そんなに長いあいだ
怒らないでください
あなたには遊びや友達がいるでしょう
でもわたしには
あなたしかいないのです
銭湯の脱衣所に
犬の十戒と題されたポスターが ....
わが一歩 一応は一歩進む
道に穴だ 二歩さがる
すこしずらして 一歩進む
空気がない すごすご引き返す
しゃがんで一歩 こっそり出す
いきなり水の中だ 鰓がなくて溺死
科学は日進月歩 ....
あたしは あたしの 速さで
あたしの 歩き方で
あたしの 気ままな お気に入りのルートで
今はまだ ぼんやりとしか見えない目的地までゆこう
のんびりゆったりキョロキ ....
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突然の雨に読みかけの新聞を掲げ
歩き出すと
ポタポタ
新聞紙に残る雨痕は
不思議に一定方向に跳ねが伸びて
跳んで
僕は誘われて歩いて行 ....
月面に地球がのぼるのを見たことがあるかい
虹彩異色症の奥菜惠ちゃん デビッドボウイ
片目が金目でもう片方が銀目の猫
ちょっとだけちがうものが無数に存在するが
有限個ならば統計学 ....
電車の
先頭車両の
運転席の
後ろに陣取って
景色の中に
割り込むように
のびていくレールを
眺めるのが好きだった
クハ モハ クモハ サハ
駅に
着くたびに
一息入 ....
ゆきちゃんは あさ
かさをさし 長靴をはいて
雨のなかの花にあいさつする
話しかける
おじぎをする
おはよう さようなら
きょうなにたべるってたずねている
....
ラグジュアリーに罵詈雑言
スピリチュアルに自己嫌悪
鬱積なんてナニすりゃ消散
飲んで溺れて暴れて忘却
焦燥なんて気障に飾んな
つまりはお前、暇なだけだろう
撫でられたいなら出せよ、 ....
6月の雨音が
少しずつ夏を連れてくる
色々の傘とあじさいの花
ゆっくりとすすむカタツムリ
ねえ
ほたるはもうとんでいる?
大昔のあの人も
時間をきっと持て余して
広い庭を眺めていた ....
壁に吊されて
忘れたいことなどありはしない
色とりどりの画鋲が
それぞれの過去を留める
僕は整理できない
だから
貼っておきたいんだ
伝言板のように
メモみたいな思い出から
....
みじかい夜がおわって
きょうがはじまると
君のてのひらがすこししめってくる
青いような赤いような
夜あけまえ
だんだんとあかるくなってくる
あれは
かきあつめた命が
燃えるから
....
たいふういっか
が
台風一家だと
思い込んでいた頃
台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
....
潜る
深い深い思考の中
深海魚みたいに
やさしい言葉はかんたんにでるのにね
ほら笑ってるそばから
胸がいたい
自分のことが好きですか
深い海のそこから
あたしは泳ぎはじめる
好きです ....
日傘を差した女の影が
歩道の凹凸を滑って行く
踵を返す青い熱帯魚
フルートの鋭い閃光
アイスピックを ....
蛍舞う哲学の道繋いだ手
東京は蛍に夜を与えない
蒼い火は霊子凝縮した蛍
恋やもめモールス信号打つ蛍
ゆっくりと列車が動きだした
この列車に乗るのはこれ1回限り
明確に行く先は知らないけれど
到着駅が近づいたときに
列車は分岐器で方向を変え
そのときにどの駅が到着駅かが
推測で ....
ネオン輝く夜の街
路地裏の狭い石畳に
今宵も漂い辿り着く
淡いランプに浮かび上がる
[遠い昔のバー]の扉(ドア)
ここは[遠い昔のバー]の中
スツールに掛け、手をふいて
まずは一 ....
風が吹いている
為されるがままに立っている
貴女
は僕のことを見ていない
空は晴れている
在りのままを見ている
僕
は貴女に語りかけることできない
凪の海
水平線を見ていると ....
増毛剤カタログふえても髪増えず
亜麻色の髪の乙女に足踏まれ
夜が来る妻の叱咤の恐ろしさ
おじ散歩犬と一緒に立ち小便
借金のかたに妻をいらないか?
足摺岬とこずれの母思い出 ....
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季節はなんて早く
通り過ぎて行くのだろう
もう春だと思ったら
陽の光は力いっぱいの強さで
もう初夏のようだ
季節の風は
確 ....
雨の日に
西瓜をノックすると
入ってます、と声がする
ぽこん
西瓜まるごと持つと
かなりの重量感があるのに
成分はほとんどが水なんだってね
ふうん、そうなんだ
果物を食べると
....
きみは あまいよ
けれど きみの人生が きみに期待しているのは
すべての雨の音を聞いて
すべての風に こころを寄せて
甘く実らせることさ
-------------------- ....
アングラな思想に
陰雨は益々逆上し
渦巻く不条理と
液状化する倫理の狭間を
横行していく出任せの正義
快楽の行く末は
琴線に触れもせず
狂い咲く恥じらいと
計算された愛憎を武器に
....
曇りの日が
続く時は
曇りの日を
愛したい
じめじめした
陰鬱な空
じゃなくて
しっとりとした
目に優しい空
とか
とにかく
物は考えよう
一度君も
離れてみ ....
汚れちまった悲しみに……
中也の悲しみは
なんだったんだろう?
彼は孤独人
人を欲っしながら
人を拒絶していた
誰にも理解されない
運命を受け入れた
その引き換えに
神から創 ....
目覚めると夜が転がっている
朝の声を小鳥が一番乗りしている
きっと屈託なく啼いている
と信じてみると
ほがらかな朝だ
はにかまないで鏡に向かって
自分を確かめる
大丈夫、かもしれない
程度の信心のままの
....
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