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煙草の煙は揺れて登る。
あなたの無言の言葉に変わって消える。
灰皿と吸殻と
濁った空気だけを残して。
見送った背中を思い出しながら食べたケーキはしょっぱかったの
謝らない代わりにケーキを買ってくる君をやっぱり許してしまう
大きめのプリンをふたりで分け合った夜は月さえ ....
嘘を憎むのなら
誰かを傷つける罪を覚悟しなければいけない。
嘘を否定するのなら
真実を受け入れる強さを持たなくてはいけない。
あの晩彼女をありきたりな理由で傷付 ....
飛び立った鳥の行方を捜してる 夜に焦がれて夜に怯えて
いつだって夜は味方じゃなかったし別れの電話も覚悟してたし
アイドルと政治家が並ぶ深夜枠誰も嘘つき誰も正直
真夜中のテレショ ....
秋になったから
イチョウや赤とんぼをモチーフにした雑貨を探してたんだけど
何故か桜に蜜蜂のモチーフの雑貨を見つけてしまった。
いや、「しまった」とかじゃないけど。
来年の春 ....
雨の日はビー玉に
世界を映して覗き見た。
このビー玉をくれたのは知らないおじさんで
両手に溢れるほどの色とりどりのビー玉をくれた。
雨の日は透明。
夕暮れは橙 ....
――――夏の初めだった――――
おばあちゃんが他界した。
おばあちゃんは、どこにでもいるような
ごくごく普通の田舎のおばあちゃんで
真面目で頑固で亭主関白な大正生まれのおじ ....
風邪をひいたと言う人の見舞いには行かない きっとまた迷うから
真昼間に蛇口から出た熱い水「お湯じゃなくてさ」と言う君が好き
放課後の少女は三つ編み解きつつ運命などを未だ夢見る
あ ....
愛するほどに遠くなる
貴方は私をやさしく傷付けて
飛ぶ鳥は振り向かないからと言って
背中だけ向けて私の知らない世界へ歩き出す
あの花束は
もう枯れたでしょ ....
空っぽの郵便受けと空っぽの着信履歴 あなたが居ない
晴れた朝あなたを想って泣きましたわたしわたし恋をしてます
夕立を追いかけるような恋でしたアスファルトだけ熱を残して
永遠と刹那の狭 ....
誰か私をさらって下さい。
鼻緒が切れたことにして
立ち止まっているのです。
そんな嘘も聞き飽きましたか。
明日晴れたら白状します。
愛 ....
忘れられた歌
幼い日の
遠い記憶と
優しい嘘
軽い眩暈と
心臓の鉛
どこまで潜ってゆくの
どこまで走ってゆくの
世界は等しく朝を迎えるけれど ....
なないろのおもちゃのくにへつれてって いっしょう恋に傷付かないよう
つま先を並べたベッドに月明かり優しく熱を帯びてゆく夜
潔く決意することいきものは愛することで生きていること
....
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小さい頃から
自分はいらない人間なんだと思ってきた。
いつもいつも、死にたいと思ってた。
そんな時はよく、空を眺めた。
広いな ....
千切れかけた夜に流れる月が未練する
(月をハート型にくり抜いた夜貴方と)
君の面影が遠い空の飛行機雲に乗って
(寄り添う私は無言の約束)
初恋は通り雨のように虹 ....
そして幕が閉じる
舞台化粧を落とすと誰が誰だか分からない
勇敢な騎士は土曜の朝に生ごみを出す係りらしい
美しいお姫様の鼻はとんがっていつも人を見下している
けれど一番分 ....
本当は分かってるんです。
わたし達には何もないって。
共有できる感情もなければ
共有できる夢もない。
あなたはあなたの道を
振り返りもせずゆくのです。
....
乾かない靴はカラスにあげました
西のどこかへ
行くんだってさ
* * * *
一日が
終わる支度を
する時の
西日ってのは
....
欲しがった思いは
いつか届くだろう
忘れられた言葉は
また響き出すだろう
そして捨ててしまった勇気はこの日の為だったと
知る時が来るだろう
あの日選ばれ ....
受話器を上げる瞬間と置いた後の数分間。
切なくなるのは
なぜだろう。
切手まで貼った手紙を捨ててしまったのは
なぜだろう。
あんなに楽しそうに笑ってる ....
ほっぺたの大きなニキビ{ルビ理由=わけ}にして恋することから逃げ続けてた
少しずつ爪の先から侵されてその他大勢になってく私
お互いがお互いの為生きているコールタールに花の咲く時
潰さ ....
閉められたドアノブ少し回しては開かないことに安堵している
「心まで閉じないように」ドクターは笑って出てゆく閉鎖病棟
消灯と同時に鍵がかけられる冷蔵庫には凍った心
見回りのフラッシュラ ....