妻にまかせずに
自分の手で一つ一つ
持っては重さをしらべ
虫食いはないかしらべ
一番ずっしりとして
長持ちしそうなやつを
一個だけ選びだした
家に帰り まな板の上
そのきゃべつを一刀両 ....
誰かのために歌ったんじゃなくて
私のために歌った私の歌が
一番愛しかった
そうして
やっと
あなたのために歌いたいなんて
思ったりして

誰かのためんなていうのは
とても難し ....
               120102



うれしかったことはなにもありません
うまれなければよかったのにと
憎まれ口を叩く腹の上に360キログラムの石を載せる
どすんと落とし ....
腕をつくフォルム
眼球と二重瞼のバランス
背中に手を添えて
差し伸べるように
手のひらを奥へ傾ける
黒髪がしなり散らばる感触
床へ促す一連の流れを素描しながら
降りそそぐ熱い雨を
 ....
気合入れて目覚めても
去年となんら変わることの無い朝だった

それでも
いつもの年とは変えよう
変えてみよう

初春は一途な決意が大切なんだと自らを奮い立たせ

買いだめしておいた菓 ....
ただいま正月おかえり新年


抱負は毎年変わらず 無事


蟹を食べ始めるまでは賑やかでした


虱潰しに暇潰す


初笑いとの根競べ


初の雑煮に既に飽き


 ....
もし君が
その空っぽの胃袋と心を
同時に満たしたいのであれば
駅前の亀や食堂で
B定食を頼もう

アジフライとエビフライ
それにイカフライののった
いわゆるミックスフライ定食で
白菜 ....
去年
義母が急逝した

晩年
持病で苦しんでいて
会えば
病気の苦しさばかりで
死にたいけど死ねないのよね、と言われると
そんなこと言わないでと
答えながら
鬱屈した気持ちになった ....
{画像=120101164750.jpg}


青春 / 矛盾する感情に流されるままに


青春って何だ

捨てられるものさ
だから忘れられるもの

もっともっともっと、感じてく ....
流れていく方向を見失って
濁り始めた水と空気

「仕方がない」のお題目の下で
済し崩しにされる許容限度

時間をかけて築き上げた壁を
やすやすとすり抜けて
目の前に現れる他人

 ....
年の終わりの最後の日

赤褐色の大地に立ち
遠く約束された地に行くことを阻む
北の山の連峰をのぞむ
彼の地の地平線を目指していたはずだが
あまりにも遠方にあることに気づき
今立ち竦んでい ....
年が改まり 今日から新年なんだ
モソモソと布団から這いずり出して 袢纏を引っ掛け 
いつものように 新聞をポストに取りに行ったら
電話帳みたいな ぶっとい紙が捻じ込まれていた

こんなもん、 ....
窓硝子から流れ込む 午後の陽光に
植木鉢の スパティフィラムが
静かに 溺れていく

凍えた足首を燃やす 電気ストーブ
郵便ポストに忘れられた 年賀状
西向きの食器棚から 背伸びして外を見 ....
紫色に染まった指では帰れない

道草をした通学道路 道沿いにある桑の実
よその家の前にある 小さな紫の甘い実
小学一年の私達は つぶつぶをぱくりと楽しんで
親にばれないように 反対側にある川 ....
空から降ってくるものたちは
悲しみをたずさえてそっとやってくる

それはアリューシャン列島の凍った針葉樹を融かし
地に降り立つとそれぞれに色を変えて南下してくるのだ

柱時計をぼんと鳴らし ....
そんなに焦るな
赤信号は青になるさ

そんなに唸るな
ブザーはちゃんと着くさ

そんなに跳び跳ねるな
サスは今度は硬くするから

そんなに寄り道したがるな
目的地に着いても終わりじ ....
去年からやってきた水で
シャワーをあびました
私の皮膚がはじいた水は
いったいいつへゆくのでしょうか
容赦なくすぎる日は
わたしたちのあらゆるものを
減らしていきます
私たちもまた
食 ....
あなたは親戚やお母さんといると

やわらかい顔になる

とろんとした夢見がちな笑顔になる

オレの出る幕などなくなるくらい

でもたぶんそれは

オレが親戚やお母さんに溶け込んでい ....
歩いている夜の住宅街を
妻とふたりでゆっくりと

曇りがちな夜空
薄墨色の雲

ポツリポツリと
一言二言言葉を交わしながら

ただそれだけのことなのに

このごろすれ違っていた心 ....
長年やってきた
自分というものを
衣服のようにスルスルっと
脱ぎ捨てられるなら
別の物語の主人公にも
なれるかもしれないが

すべてを新しくしたつもりでも
自分という本質は変わらない
 ....
シンジ君は言葉を知りません。
錆びついた言葉の海の中から
光る言葉を見つけられません。

シンジ君は優しい男の子です。
でもシンジ君は分かりません。
優しい言葉がなんであるのか
シンジ君 ....
何もない所に
一つのドアと
見知らぬ場所へ昇ってゆく
階段があった

昔見た夢で
ドアの向こうの階段に
どう抗っても行けない所で
ぱっと目が覚めたが

僕はこれまでの生の歩みで ....
【配】
遊園地デート中でもうわの空 別れた人の心配ばかり

【万】
5万円貸した相手が雲隠れ捜索費用5万を越えた

【溝】
どうやって埋まらない溝埋めようか試行錯誤で終わる人生

【 ....
自転車の ペダルを漕ぐ
すると世界も 一緒に回りだす

夕暮れの街並みは
河川敷の 向こう側
なだらかに傾いた 地平線に震えて
ゆっくりと 夜に向かって 滑り落ちていく

泉を横目に  ....
おはじきは
簡単なゲームだ

まず大切なのは
その形である
はじいても
相手を傷つけない
丸い形が望ましい
それは
自らを傷つけないためでもある

次に大切なのは
はじきたい相 ....
いつもこんな具合に過ぎていく年の瀬

露天に並ぶ裸電球は飴色をしていて

なんだか同じような毎日と風景が

経た年月とともに霞んでいく

空き地でいそいそと

木のはぜる音と燃える ....
往来で拾い集めたこころねじコタツであたため疲れて眠る

枕辺で季節はずれの夏祭り足並み揃う下駄とサンダル

サクサクと雪を軋ませ盆踊り寝巻きのぼくは係り合わない

金魚すくい救われたのは外 ....
紫の細い糸を

辛抱強く手繰っていったら

あなたに
たどり着けるのでしょうか

このたくさんの
結び目は何?

慎重に解かないと
このまま切れてしまうかもしれない

イヤな ....
どこまでも走れる気がした

走ってるうちにマフラーも手袋も
飛んでいった

ただ息を吸って、ただ手をふるだけ
足は車輪で
手は広げると翼になった

早くどこまでも・・

地上も空 ....
私が押しだした靴の跡に
ごめんねはぬぐえなくて

ゆっくりと連なる六文字の立体は
藍色をくり返しながら君の姿勢を正し
私は文字数を埋めることが出来ず
些細なことだと赤色の呼吸をふさいで
 ....
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