きはひとりでは
きになれないことを
しっている
だから
もりになった
さみしいなんて
ことばもしらずに
嘆きを海に投げかけてみた
試練の波が激しく返り
嗚咽をあげた私に
百雷の海鳴りが
怒涛のように
私に叱咤激励を置いていった
黒塗りの車を目にすると
自然と 厳かな気持ちに成る
心が きゅっ と 引き締まるような
一瞬 苦しくなるような 感情
磨き上げられたボディー
運転手は 白い手袋
長いリムジンか ....
星明かりの駅が
ひとつずつ滲んでゆく
瞳は
乾いてなどいない
まったく逆だ
夜から
いちばん遠いところが
すべてを飲み込み
夜を生むための
夜になる
そこに
ある ....
私は息詰まり行きどまりそうになり
どうしようもなくなったときに
小指を鉛筆削りの中に入れ
小指に繋がれた色々な糸と一緒に削ってしまう
それがいいことではないとわかっていながらも ....
どうして私が名前を変えなくちゃいけないの
結婚に向けて大人にならねばと思いつつ
決まりきった事 承知した事 そうしたい事
であるにもかかわらず
持って生まれた姓を 旦那の姓に変える
....
月に向かって咲いた 白いバラ
静かに奏でられる 花ずれの音
時は冬 冷たい 冷たい季節
狂い咲くのは悲しい
ダレモイナイ ダレモイナ……
かわいそうに思った神さまは
月の使者を遣わ ....
電車の中で、遠藤先生の本を開き
アウシュビッツを訪れた日の場面を
旅人の思いで共に歩く
*
昔、囚人だったカプリンスキー氏は
黙したまま背を向け
赤煉瓦の古い建物 ....
世界は認識の中にある
平面に沿ったGのみの世界
天井が眼下に
床が頭上に
滑り落ちながら
眼下に床が
離れた鉄棒の上から
回転しながら上昇し
そのまま落下する
視点から眺める部屋 ....
最初からそこに確かにあった
遠くから見上げる立ち姿は
あまりに機能的で無駄がなく
目に映るほかの風景を邪魔しなかったから
ほかのものばかりに目が奪われ
それを意識することがなかった
....
せんこうねんの
ほしからは
せんねんまえの
つなみが
みえることだろう
きこえるだろうか
せんこうねんのほしに
わたしたちのこえは
とどかない
まだ
う ....
疲れた心がパラシュートを広げて
真夜中のコーヒーに着水した
生クリームの小島に横たわる天使が
ハスキーな声で 慰めの歌をささやいている
その羽を ゆっくりと打ち振りながら
....
ほんとの自分を探したって
ぼくらは液体だ
この人の前では四角くて
あの人の前ではまん丸い
あいつの前では黄色くて
あなたの前では水色だ
どれがほんとでどれがうそか
考えた ....
糞まみれの日常を
ホテルの部屋が
罠のふりをして毒を隠してゆく
考えても仕方がない
行動はシンプルに
仕方がないことを考え抜け
至らないことこそ素晴らしい
....
窓ふきをしていたはずなのに
気がつくと父の背中を流している
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう
父が嬉しそうに言う
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背 ....
{引用= 「書く女」
書く女は
窓辺の
机のあたりに漂っている
霧深い部屋に
そなえつけられた
軟体
書く女
かつては川
あるいは不吉 ....
毎日薬を15錠飲む
そのままだと味気ないので
皿に盛った
白い錠剤5錠の苦さで
自分が健康でないことを知った
オレンジ色の5錠で
副作用の意味を知った
青い錠剤の5錠で
意 ....
目の奥がずんずんして
とても眠かったが
夕方の電車に乗って
町に向かった
子供の頃
縁側に
本箱が置いてあった
陽がたっぷり差し込み
田んぼや
小川や
遠くには山も見えた
....
ところで
我々は何をすべきなのか
なぜ図書館が涙を流しているのか
うまい奴はたくさんいたが
非の打ち所が頭には入ってこない。
などと奇妙な唇が呟く。
さては
眼前の靄を凝視する
な ....
ドンキホーテでバースデープレゼントをさがす
夏絵さんと坂本君と小百合姐さんの
誕生日のために
グループ交際歴一年四ヶ月
バラバラの星が
見かけ上星座のていをなすように ....
そらにはりつく ひしゃく星
すくっておくれよ
ちっちゃな、ちっちゃな、うちの祈り
このきもこうよう
するんだね
そういわれるひまで
どれだけの
つきひをついやしたのか
たくさんの
ごかいがあった
このきは
きではないのかと
いわれた
ひも ....
ああ、あの秋の中にある春の園の公園の中に
俺をそっと一人にしておいてほしい
彼女たちを俺の周りで
永遠に遊ばせておいてほしい
彼女たちを絶対かつ
永遠に大人にしないでほしい
人 ....
ないしょのことは
ないしょにするから
それまではあそぼうね
夢でも会えるし
いますぐにあいに行くこともできるよ
のぞめば
のぞめば
いつでも
現実は直角に交わるし ....
{引用=祝婚歌2}
ラブを書く
2文字か4文字
ラブを飲む
ただの森永ラブ
ラブを食べる
痩せて肥える
ラブを着用に及ぶ
ブラの逆さま
ラブを歌う
他人が作った ....
ことばを選んできた
いいえ、
ことばに選ばれてきた
いずれにせよ
日は進んでゆくけれど
なにかしらの軽重に
傾かざるを得ない
そらを仰いで
いいえ、
そらに仰 ....
やさしい光の数々は レントの風に乗って
流れていきます
どこへ向かうのか 知ることはできないけれど
きっと幸福があると推測するので
ぼくはこの身を任せて 光と一緒に
流れていこうと ....
ほむら月夜の三日月は
あかく夜空に揺らめいて
うるしのように黒い竜
ほむら月夜の三日月に
巻きつき爪たてかじりつく
揺らめくほむらの端っこを
うるしのよう ....
敷き詰めた地雷
踏まないように爪先立ちで歩く君
だけども小指が当たってしまって
凄まじい音と共に
私の心に闇が迫る
“ごめん、ごめん”と焦る声
熱くなる目頭
笑いたいのに、笑 ....
空
抜けるような
青いうしろめたさを
雲
ぽっかり浮かんだ
白い嘘でなぞって
花
可憐な
ピンクのあてどなさを
葉
みずみずしい
緑のお節介が抱き ....
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