水面を見上げると
ちいさなおんなの子の顔
こちらの様子が気になってしかたないのか
大きくなったり小さくなったり
*
わたしだけの世界
酒屋さんの軒先に置かれた古い火鉢
....
もう
君のいるところは
桜の花が一面に広がって
陽気な君を
さらに陽気にさせているのだろう
はかなさよりも
いまのよろこびを
空いっぱいに舞いあがらせて
まだまだ
遠い桜前線
....
ふるら
ふるり
舞い落ちる
薄紅色の憂鬱に似たもの
らるら
るるり
鼻先で笑う
どちらの岸にも辿りつけないもの
うるら
うるり
降り注ぐ
乳白 ....
むかし、むかし、
世界なんて滅びちまえ
って切に願っていた少年がいたんだ
でも、
いざ、世界が滅びる
その日に
彼は
僕とお母さんとお父さんと
あと、同級生の千絵ちゃんだけは
救って ....
疲れた時に疲れた事を疲れたと
言える場所が欲しい
嬉しい時に嬉しい事を嬉しいと
言える場所が欲しい
悲しい時に悲しい事を悲しいと
言える場所が欲しい
静かにしたい時に静かにしたい事を静かに ....
まだおさない はるが
ちいさくわらうたびに つぼみがひらく
そうやって くりかえされてきた おなじことが
まったくおなじでないことに きづく
それは まだおさない はるの
そんな おさなさの ....
サク ラ サク
たわわな薄紅色も
頬を撫でる花風も
輪郭が和らいだ街の影も
去年とは変わらないけれど
わずかなためらいと一緒に
飲み干した酒の味は
去年とは違う
サクサ ....
呼んでいるのは誰?
ロマンスの予感に震えては
言葉にできない思いに
微妙に心は揺れ続けている
*
よーいどん!
ロケットみたいに飛び出そう
幸運は思いがけずやって来る
ビリケン ....
歪みを補正しようと
身震いした球体の表層に付着した
病原体のような存在が
界面活性剤に流され
漂う芥となり
大洋に流れ出す時
芥に染み付いた
悲しみと喜びと
誇りと落胆と
憎悪と ....
フリルの青いふちどり 透明な金魚鉢
陽だまりに腰掛ける 丸く揺れる水
雲の尾びれが覗き込み ひとくち
指に 甘くて白い 隙間が 落ち
金網を越えて 草の上 風枕にのぼせた
黒い小石を ....
君のこと愛しているよ
って
叫べるほどに誰かを愛したことあったのかな
*
おとこの子
男のひとを「きみ」って呼ぶ
私に似合わないのは判っているけど
敢えて、そう呼んで ....
もう
よっこらしょ
なんすよねー
後ろ姿は去年と同じ
よ
おひさし
やっちゃったねー
はいー
やっちゃいました
猛スピードで
あはは
疎開出産
じゃなくて
いや
ほんと ....
三十五人のオーボエ奏者が
空へ空へ落ちながら
午後に銀を描き足してゆく
夜と雨
夜にうずくまり
入口の光を聴く
側道に 崖に
蜘蛛の巣に
書かれ ....
眠りによりそう
咲きおくれた百合の白い想い
写真のなかにおさまったあなたは、
昔見せた笑顔のままで
私をみつめる
じゅうぶんに苦しんだのですから
もう休んでもよいのです
生き ....
棚が倒れて割れた窓ガラスや試験管
フラスコやビーカーが床に散乱している
海水に浸された真綿が入るシャーレが傾いて静まっている
実験室の椅子にすわるかれの顔をおぼえていない
....
コーヒ−カップの底で
四角い哲学者が
溺れながら
プラトン的愛について
考察している
僕が
スプーンでかき混ぜると
永遠を
ひと時が飲み込んで
一行の詩が
生まれた
しんさいご
しばらくみなかったひとが
かえってきていた
しんさいまえと
かわらず
もうふいちまいで
えきまえでねていた
ひびわれた
ろじょうで
わらうしかなかった ....
東北訛りのひとは
酒飲みで 酒に弱く
東北訛りのひとは
腕が短く便所がながい
東北訛りのひとは
笑いながら 泣き
東北訛りのひとは
鬼のように やさしい
東北 ....
{画像=110331225208.jpg}
太陽に手を当てて
陽の光を集めてみる
春の力が
僕の冷たい手のひらに
集まって来て
力が集まって来て
風を肩に当てて
春の音 ....
二人で
ふとんをしこう
最後のニュースが
かなしい話を終えたなら
丁寧に
ふとんをしこう
僕らを責めたてる
光たちにつかれたなら
....
どうして笑っているの
たくさん わたしたちは生きている
どうして泣いているの
たくさん わたしたちは歩いている
どこにいっても
どこにいても
こどうとともに
だれかをおもう
こ ....
絵具が水に溶けるように
ゆっくりと変わる空の色
きみのハモニカのブルースと
ぼくのストロークのアドリブ
ねじまき時計は喋るのが大好き
流しの蛇口は促されるまで
ずっ ....
あなたは
毎月というわけではないけれど
三十二日目の決められた日に
季節は流れるのだと言う
あなたは
今日は三十一日だから
明日になればまだ冬の余韻の中
次にやってくるのは春でしょう ....
くされ縁
「好き」も「嫌い」も
紙一重
離れても
磁力みたいね
くっつく{ルビ様=さま}
ライバルか
敵か味方か
切れぬ糸
近所のスーパーの駐車場で
学校帰りの中学生が
わいわい騒ぎながらハイタッチしている
その頃
近くの交番の前で
原付に乗った少年が何やら警官ともめている
その頃
そこ ....
悔しさが
肋間神経痛をも
乗り越え渡り
めざす道 照る
自転車で
通りすがりの若者ら
元気いっぱい
ヒット曲歌い
さらにまた
歌声 響く
散歩道
日本 ....
しをかいてはいけない
おしりをかいてはいけないのと
いっしょで
かゆいからといって
かいてはいけない
そこにてが
とどいてはいけないのです。
)たまには違う(世界)を見せてやろう‥と
いやがる(猫)を無理矢理車に連れ込んだ 。
ひとつ先の(公園)で放してやると
猫は一目散に逃げ出した 。
(犬)は主と旅をする
)猫は旅を ....
この場合
祈り
とは、どういった理学だろうか
願い?
決意?
誓い?
善意?
舌先で呟くマゴコロの言葉で何が動き
誰が癒され、どの患部が摘出されるのだ?
こうした言辞は心霊治療を ....
あたらしい葉っぱたち
幽霊みたいないろしてる
まだ濃くなくてやらかくて
みず気があってむきだしで
うまれたばかりの幽霊が
かそけき煙りに浮かんでる
そして
・・・・濃くかたくかわいてゆく ....
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