相変わらず、生きている
でも
それでいいのだ
それが いいのだ
絶望と戯れるには 人生は短すぎる
真実から目をそらすには 人生は貴重すぎる
街人の手で 世話をされたサク ....
過去は変えられないけれど未来は変えられる
そんな箴言を吐く奴はうそつきだ
過去は変えられるし
過去を変えなければ未来は変えられない
あらゆる過去を変えるために
ひとは宇宙のあちこちで
あ ....
電線がそよぎ、枯木[こぼく]が揺らぐ。
片田舎の旧道に、どこからか舞い込んできた桜の花は、
はらほろと。誇張もなく、執念もなく、かといって無残でも無常でもなく。
昼下がりの淡い亜麻色の中、ただ静 ....
不器用なのだ
皆と一緒に
綺麗に泳げないから
海底の泥の中で
ぶつぶつと独り言を
溜め込んでいる
腹が減ると
ぬめったアンテナを
おずおずと立てて
雑魚をおびき寄せては
....
異星人の女
ぼくより背が高い
コトバをしゃべる
ぼくを見て笑顔を作る
食事にさそう
女はよく食べる
ベッドに行く
ちゃんと乳房がある
触ると反応する
「チキュウジンニ
ニテイルワネ ....
アクセルを踏んでスピードをあげる
普段は開けない車の窓を開けると
夕凪の匂いがふわりと香った
あぁ、なんて心地よい
名前は過去に置いてきた
積み上げてきたものは全部
トランクの ....
もう
勘違いで傷つきたくないから
実体のある
あなたの接触を
私はただ
待っているのです
充分過ぎる時間がありました
桜は毎年咲いています
年を重ねてもきれいに
....
何も浮かばない
雲も
どこかへ流されたようで
わたしは
ひとり影をおくる
ことばを
知らないから
と屈託なくわらう
君のあいさつは不器用なほど
まぶしい
出会った海辺を
....
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春に向う
眠りから覚めるがよい。
若者よ目を開けよ。
口を少しく開けたそのけだるい表情こそ
生得の感覚。
風を感じるがよい。
足の ....
アマゾンという
喫茶店の水槽で泳いでいる
あの魚はピラニアだと
まことしやかに
客の間では
ささやかれていた
根拠といえば
そこに
張り紙がしてあった
「指を入れないでください」 ....
古ぼけた桐箪笥の奥に潜んでいたウール地のハンチングを被っていて厳しく叱られた
銀ねず色に自転車で風を切り格好好いと友達にも煽てられ
些か得意になっていたので意表を突かれた思いでいたら
ハンチン ....
「二月」
貪欲がこの街の草を食み
鳩は広場の雪に足跡を付ける
紺碧には忘却のゴンドラ
「三月」
悲しみを折り畳んで春の子守唄
緩やかなカーブを横切って
風 ....
私は恵まれている
幼年期は暖かく程よく湿った腐葉土にくるまれて夢を見て過ごした
夢を見るのに飽きた頃には頭の上から冷たい水が落ちてきて目が覚めた
大きく伸びをすると私を守っていた殻が割れ ....
冷たい雨が降ってきた
おれは黒々と木のようで
心臓だけがガス灯
何を照らすでもなく ぼんやりと立っていた
小さな春は震えていた
おれの心臓に寄り添い 冷え切ったからだを温めた
....
百円で買った文庫本
アメリカのとある古い短編小説
マウンテンパーカーの前ポケに
ちょうどだからと出かけるときに文庫本
雨がぱらぱら
結局ざぁざぁ
一日降って傘をさし ....
花びらたちが役目を終えてきみへと流れ出す
きみから涙は出ないのに
あしもとには戻らないため息の砂塵がしみ込んで
希望が小さい竜巻のよう わたげのよう
くるりくるりのてーま
空けた球体の ....
新しい暦が生成している
遠い国で洗い上がったシャツの匂い
ためらいと高揚
背中に触れる唇の温度
インディゴに溶け込むマゼンタ
梢たちを過ぎて
吹き下ろす視点から
....
あきれるほどに雨
先だけが浸って
とがるように空
かかとを浮かして歩くには
すこし酔わなきゃいけなかった
街の風はわたしたちをさらうから
ぬるくて無神経で
とてもちかしいものですねって
みんなでや ....
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多くの季節を生きて
わたしは幾度も春を迎えてきた
そして 毎年
いろんな桜と出会っている
真新しい制服に身を包み
新たな出会いに心躍ら ....
コトバは音声と意味を結びつけるしくみの総体である
コトバの本質は意味を伝達する道具
それはぼくの頭の中の愛という概念を体の生理的機能にしたがい
aiという2音素の物理的波動に変換してきみの鼓 ....
愛したひとのお父さん
ぼくはあなたに似てました
黙っていても
たぶんふたりで泣けました
愛したひとのお父さん
あなたが壊した数ぐらい
感情の手鞠唄
ぼくも ....
いっぱい仮面をもってるよ
そう言ったら
そんなんみんなやろ
そう言ったね
いつのまにか桜が満開で
ふる雨に未練もなく散っている
雨と桜の花びらは
けんかもしないで散っている
....
愛したひとのお母さん
そろそろ寒くなくなりましたか
愛したひとのお母さん
膝や腰を勝手に心配しています
あなたの歴史を知りたかった
愛したひとにつながる歴史を
....
バスタブからあがった
ブロッコリーが塩と胡椒で
身支度を整えている頃
次から次へと切り出された
キュウリの楕円形の
車輪は朝日を照り返して
クロゼットからはがされた
レタスが ....
Y
あなたは樹木
草原に立ち
両手を広げ
Y
あなたはグラス
降り注ぐ声を
すべて
受け止め
Y
あなたは交差点
別々の人生が
いつしか
ひとつに
Y
ひら ....
川底がすきとおり
小石がみえる
そこにゆうゆうと鯉が泳ぎ
水上に白鳥が舞っている
うしろからうしろから押され
きれいな輪をつくりながら
前へ前へとすすむ
とおい海にむかう川
....
乾燥注意報だらけ
途方に暮れる街角
掌がからっぽ、というわけじゃない
するべき宛はある
ありすぎる
したい宛はある
ありすぎて
踏み出せない
なにもできない
白々と ....
死神を副業にする桜守
満開の冷えた桜に沈む船
堕天使も枝垂れ桜で白くなり
漆黒の翼の痕に桜KISS
JOKERが姿を消して花吹雪
夜桜の影で小悪魔服 ....
時折 背負った荷物をすべて下ろしたくなる
そしてまぼろしの中の風のように
異邦人たちの衣を揺らしながら
何も持たずに消滅したい
時折 鳥となって旅路の終わりへと飛び去りたくなる
....
私のDNAの塩基配列に
「ケ・セラ・セラ」という
遺伝子情報が組み込まれている
膨大な螺旋構造の宇宙には
母から降ってきた星屑が潜んでいる
突然の父の入院で
しばらくぶりに会った母 ....
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