真昼、
通りの向こうで叫びがあがったが
どうしても人間の声にはきこえない

おれは対角線上を通りすぎ
日陰から振りむくが
すでに何も見えない



何が叫んだのか
何を叫んだのか ....
アパートの階段を
上がろうとして
あなたの部屋は
2階の真ん中あたり
これは夢だ
そう思いながら
わたしはドアを開けずにいられない
小さな1口コンロで
焼きそばを作った
火力が弱いか ....
霧雨の降るぼやけた朝の向こうから
「夢の国行き」と{ルビ記=しる}されたバスが近づいて来る

後部座席の曇りガラスを手で拭くと
数ヶ月前に世を去った
認知症のゑみこさんが住んでいた{ルビ空家 ....
かあさんは裏庭にチガヤを植えなかった。
壁を緑に塗らなかった。
とうさんは健康的に山を登り、
かあさんは家で本を読み、
かあさんはおもての庭に紫陽花を植え、
家の壁は地味な灰色に塗られた。
 ....
マンションの地下11階に住んでいる。
このマンションは地上36階、地下12階建てで、築65年くらいになる。
結構古いけど、僕は特に気にならない。どちらにしても親が買ったもので、古いのは当たり前だ。 ....
  
  
どうして
こんなにも
遠くなってしまうんだろう


君の温もりの届かない場所へ
朝の
くうきを吸いに行く


そこにはもう

玉砂利の向こうで
手を合わせる ....
あの頃 夢の方角が記された地図を胸に抱いて
光る線路の上を閃く流星の姿で走り抜けた若人よ
気まぐれな強風に振り落とされた君は
いつしか線路上から姿を消してしまった

「腐った瞳の大人にならぬ ....
右へ行くと睡蓮が
左へ行くとアヤメが
池の真ん中で
悩むわたしは錦鯉
卵をたくさん産んだよ
こどもたちは
みんな
ヤゴに食われたよ
わたしは錦鯉
ゆらりと泳ぐ
バクバク食べる
太 ....
中野の図書館のプラネタリウムで
部屋が真っ暗になって
お星が一度にたくさんあらわれた時には
吸い込まれて泣けた
銀河は悲しいから
それで知らない隣の人と手をつないだ




洗濯槽 ....
まじめに働く六月に
少しは休みをあげようと
国が「六月の日」を制定
俺はまだ死んじゃいねぇと
迷惑そうな顔をして
仕事を続ける六月の
背中がそっと濡れていた





 ....
波がたっているからといって海ではない

しずかな水 おしよせ おしよせ
塩のない水 おしよせ おしよせ
こちらにやってくるときは なにか言いたそうなのに
いざ、到着すると そんな素振りはみじ ....
ぽつりぽつりと
街に明かりが灯りはじめる頃
点々とするビルの窓を見上げて
君が

まるでほたるが飛んでいるみたいね
なんて呟いたから

僕もいっしょになって見上げた
ほたるなんて ....
逆に
すべてのことを忘れないでおこうと思った。
感傷や復讐の道具になるとしても、
呪いと呼ばれたって
おぼえていよう。

みんないつかは昼下がりの平穏な家に住むんだね。

だから僕は覚 ....
朝の空気がこんなにきれいだから
きみは生きていていい

神様が歌っているから
朝焼きたてのパンを買いに行こう
ラウラ、ラウラ、ラウディ

神様の歌はとてもシンプル
きみは生きていて ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
好きだったのは
こうして静かに
時計の鼓動を聞きながら
ふたり黙ったまま
くるはずのない奇跡を
じっと待つ時間

それは永遠
無限に続く鍵盤のようだった

あなたがいなくなっても
 ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 .... しく、しく、しく、は
いつも夜で
いつも雨で


それらの夜の
それらの雨の
夏呼びの音が度重なり
しく、しく、しく、が、ひとつの
酷く暗い気体となり


ねえ、午 ....
からっぽだから
蒼いの

とうめいな翅を
ふるわせて
飛んでいったから
からっぽなの

埋めようとして
あなたが
抱いてくれたとしても
満たされないの

満たされない ....
さよならの「さ」は
さよならの「さ」

さよならの「よ」は
さよならの「よ」

さよならの「な」は
さよならの「な」

さよならの「ら」は
らっぱの「ら」

突撃らっぱ ....
ワイパーが傷んでいるから
拭いきれない水滴で視界がぼやける
思わず停めたパーキングで
いらだちが募り空をにらみつけた

そう これが私なんだ
些細なことに感情を左右されて
 ....
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている

カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
誘蛾灯の下でバサバサ
大きな腹を揺すぶって
分厚い羽をバサバサ
まるでモスラみたいにバサバサ

記憶のなかのオオミズアオは
そんなふうにとっても大きかったのに
こうして見ると
意外に小 ....
赤らんでゆくトマト、
緑に染まってゆくピーマン。
畑のトマトはトマトくさい、
畑のピーマンはピーマンくさい。
八百屋で買ったピーマンを台所で切る、
ピーマンの匂いがしない。
当たり前かもし ....
庭先にバイクの部品
雨に遊ばれて
貝が話す声を聴く

雲はただ
自在さに気づかず
恵む心が溢れて
太陽を説く

転がる部品が
小さな光を生むことをやめ
ただ風が吹けばいいと
雫 ....
もし世界が 黙るのならば
わたしは うたおうとおもう
そのくらいしなければ わたしは
この世界では 生きていけない

もし目を瞑っているのに 気づいたならば
できるなら 目を開けたほうがい ....
走って行く風船を
追いかけて
ぼくは手を触れるのでした

手を触れたとき
楽しいものがありました
楽しいものはそこここで美しい時間でもありました

それは見えないものでありました
夏 ....
わかったよ
きれいだよ
初夏の中で

乱れてる
その心も
きれいに見える


咲いた 咲いた
紅く 紅く
  

全てが淡く見える程に
自分の彩りを見せつける

何のた ....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど

あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって

繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです

そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
一日に一回
空は夕焼けに染まる。
晴れていたなら、だけど。もちろん。

夕暮れてゆく世界は私の手の中にあって
私は一杯のコーヒーを飲み干すみたいに
簡単に
それを飲み干す。

でも確 ....
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