あなたの育てていたザリガニが
アメリカザリガニが
また大きくなりました。
時計台の近くで
風は風の音をたてて。
私たちの脱皮とは
いったい何だったのでしょう。
生きることと死ぬ ....
夕陽のあたる夕暮れの
古いレンガの倉庫街
漂うあの歌 あのメロディーは
港の悲しいエレジーで
昔の俺(おいら)の子守歌
港近くの襤褸アパートで
親父も知らずに育った俺(おいら)
酒場 ....
年季の入ったステレオが
不意に歌いだした
インディゴに沈む
コンクリートの部屋で
遠い国の流行歌
綴りも知らないけど
こぼれ落ちた無声音は
冷たい床を浸していった
誰かが作った ....
踊っちゃいけない国で踊ーる
頭 揺らーす
カカト 浮かーす 身体 跳ばす
踊っちゃいけない国で踊ーる
頭 揺らーす
カカト 浮かーす 身体 跳ばす
ある日突然 あった ....
あなたのかたい頬
思いのほかやわらかくて
その冷やかな瞳にも
熱い涙は宿るのだが
心の奥深くに一つの扉があって
それは故郷へと繋がっている
絶対零度の沈黙
この地上の何よりも冷たい場 ....
強さとは野蛮とは何
研ぎ澄まされた刃で誰を斬るのか
姑息な闇はもういいとおもった
死がもたらすものの方が正直だと
首を刎ね八つ裂きにしても僕は生きるのだろうか
キンメリア ....
すみぬり教科書を使ったのは
なにも
昭和に
限ったはなしではなく
ゆとり教育の時代にわたしたちは
せんせいに言われるまま
指導要領からはずれたところへ
だまって
すりすりと
線をひい ....
大晦日は
子供部屋のとびらを
あけておかなくてはならなかった
トシガミサマが来るので
トシガミサマ
というものがなにで
どんな姿をしているものなのか
わたしは知らない
ある年の ....
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
家に帰って、腰を下ろし
一才の周をだっこすれば
小さいいのちの温もりが
このお腹にあったかい
この両手を
短い足の膝下に組んで
右に左に、ゆさり、ゆさり
パパは君の ....
雲一つない青空に
紙飛行機が舞っている
一つや二つじゃない
それこそ無数に
たくさんの白い翼が
たくさんの願いをのせて
思い思いの方角へと
ゆっくり 漂う
涙を孕んだ雨 ....
大晦日 日系スーパーまで高速を飛ばして 注文していたお節を2組取りに行く
太巻きとシアトル巻き、上の娘の好物のイクラの瓶詰と、
私しか食べない刺身も一緒に買う
「Japanese noodles ....
おとうさま
きんととはどうしてきれいなおべべをきているの?
とうちゃんはおもうんだ
とおく離れた御池に
きんととは居て
落ちてきたもみじをおべべにって思った
おとうさま
がてんが ....
おっ 雪
景気は どうだい
見りゃあ分かるだーん
どかーんと絶好調よ
そうだな
まだ まだ
いや今日は もういいと思う
まだ まだあー
....
多めの玉ねぎとにんじんを煮て アクをその都度とり じゃがいもの皮をむきながら 別の鍋では鮭の切り身をひと口大にしたものを さっと湯通しする 玉ねぎも人参も大鍋に具沢山なくらいで丁度よい、玉ねぎは透明 ....
息が降りてこない
空へと昇っていったきり
呼吸が喉に引っ掛かり
上澄みだけが入れ替わる肺
足の指にたまる気だるさ
休日の果実を芯から腐らせていく
引き伸ばされた娯楽が中断するたびに
....
戦中・戦後を生き抜いた
ある詩人が世を去った後
長い足跡のつらなりと
ひとすじの道の傍らに
彼が種を蒔いていった花々が開き始める
今迄の僕は
別の場所で夢を求めていたが
....
初々しいと言えば
きこえはよいが
あのころの私はとても無知だった
結婚して初めて過ごす夫の実家でのお正月
おせちに「くわい」を炊くという
新種の宝石のような
淡い水色でつやつやの丸い物 ....
窓のすき間から風は吹き
グラスの筒に包まれた
ぼやけた蝋燭の灯は
世を去ったあなたの魂となり
赤々と燃えています
なにかを囁いているように―
あの日の歌の調べのように―
躍動 ....
フロントガラスの前に広がる
いちめんの里芋畑で大きい葉群が
わらわら踊ってる
ここは、公園の駐車場。
ベートーヴェンの協奏曲が
カーラジオから
生真面目で軽快なヴァイオリン ....
名曲喫茶の木目のドアに
手書きの黒いマークが
貼られていた
●Y
それはドアの真中で
諸手をあげて生を歓ぶ
ひとりの子供の姿であった
庭に戦車が迷い込んだ
大切に育てていた薔薇が
すべて踏み潰されてしまった
若い兵士が出てきて
戦場の位置を訪ねたので
近所の公園を教えた
もう迷わないように
地図も書いて渡し ....
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新たな年の訪れは
開け放たれた窓の様
目には見えない翼をもって
貴方は外界に挑戦す
見送る事しか出来無いが
年のおわりを
君といっしょに過ごせること
しあわせにおもう
雪がちらちらと降る
ありきたりな景色を
窓枠で切り取ってみれば
君とふたり
素直なきもちで佇んでいられる
一年を ....
{画像=121230203729.jpg}
托卵と云う習性がありまして
無責任と人間の倫理からすれば思われる
然し
命の巡りとしては全うで
巣の兄弟を蹴り落としても
....
{画像=121230201233.jpg}
ぼんやりくらいがちょうどよい
がしゅうをこれでながめると
まったくべつのえにみえる
おばかさんなわたしには
つきをもしたか ....
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく
クリップが
あなたの詩集だよ、 ....
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った
弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった
毎日、どこかで ....
夜の天幕はマグネット
キミが蹴ったつまらない石ころを
引き寄せて
星にすりかえる
朝が来るまで
せめて忘れたふりしてる
自分が永遠に満たされることのない
闇であることを
さみし ....
空の底の渦を見ていた
塩の海に降る
塩の陽を見ていた
岩から生まれる木を見ていた
息を吹き
声を吹き返される
上も下も
冷たい光の径
捕食の森の
....
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