タンポポを一輪だけ摘む
何も知らない貨物列車とすれ違う
水のように冷たいものを売っている所はありませんか
と、男の人に聞かれ
あっち、と指差す
あっち、に何があるのか行ったことは ....
雨上がり
郊外から都心へ向かう中央線から見えるのは
俺の気持ちを映したような澱んだ空
と思ったらそこには虹が架かっていた
濁ったブルーを切り裂くような鮮やかな七色
まるでささやかな希望
近 ....
東の山でテロルがあった
火のないところに煙がたった
晩秋の寒さの中ですぐに鎮火したが
不審火は続く
人気のないところからも自然発火する
空は雲を重ねて黒く笑った
風は目を光らせて時を伺 ....
何もないことの
咬み痕、きみ
はそれを頼りに
我に
返って、わたしには
ふたつの咬み痕が残った
解読する、
きみの名前を、数え
切れない
ものは
数えない、きみに口づけ ....
岩本町駅は秋葉原駅のすぐ近くにある
けれどアキバ地区の裏にあるから
いまひとつ道を覚えられない
乗り継ぐ時は一抹の不安を感じながら
未だ見知らぬ街を抜けて
岩本町/秋葉原駅を目指している ....
去年の8月
私に弟は居なくて
見なれない背中の同じ制服と
小さなヒイラギに似ていた
温かな水面に脈動する夜のはじめを
昂る夏がその都度握り潰し
ていくような予行
あなたが代わるがわる ....
神の妨害がゆるされるのなら
この身を捧げることなんて
鉄と綿を天秤に架けることくらい
結果はわかっていたことだった
地下鉄の階段から見上げた
地上の灯りはとてもましにみえ ....
朝起きて、俺
ヘビと戦った
その日はとにかくひどい洪水で
俺の大事にしていたポシェットも流され
銀行などの床も水浸しになり
家の冷蔵庫は野菜室まで水が入り込み
それでも、俺
....
日本ダービー。有力馬の一角を担っていた彼に跨っていたのは、デビュー3年目にして弱冠20歳、ダービー初騎乗の中舘騎手だった。
返し馬を終えてスタート地点に戻ってきた中舘は、慌てて担当厩務員に告げる。
....
全ての制止を振り切り無理矢理娑婆に戻って7日間。十分に満喫できただろうか。
まあある意味幸せなのかも知れないが、それは本人にしか分からないな。
呑みたくて呑みたくって仕方なかった酒を好きなだけ ....
「心で書かれた詩」という言葉を話すとき、藤井わらびさんの『むらさきの海』を外
すことはできません。
外すことのできない理由は、連動していることです。
連動しているのは、彼女の考えていることと ....
{引用=おまえ
なまえなんていうんだ?
わんわんしかこたえられないんなら
いぬっころでいいか?
べつにばかにしているわけじゃないんだ
ポチとかじゃありふれてるから
いがいせいをねら ....
夏休み前の教室で
ぼんやり先生の授業を聞いていた
教室の窓の外では
アブラゼミがうるさいくらいに鳴いていて
授業に集中できない僕の頭の中を
これでもかというほど占領していた
ジージ ....
すべてを
優柔不断なかまいたちのせい
にして
そこに何もなかったことにする
つもり
その傷のふたつみっつは
僕の記憶だったはず
なのに
ひざこぞうがわらいながら
泣き出した
....
少しだけ冷たいシャワーを浴びて
乾燥したタオルで頭を拭く
拭いきれない残り水はしずくになり
首筋を伝い背骨を沿って落下してゆく
つつ、つう、つう
風ひとつないこんな夜には
....
梅雨明けが近づくと
朝焼けが色っぽい
夕焼けも色っぽい
一日のはじまりと
おしまいが色っぽい
夏が来るのだ
待ちきれずに染まるのだ
桃と橙を
混ぜたような
絵の具がしたし ....
例えればあなたは
この砂漠に育った
風の紋様のように
年輪を刻んだ
太陽の灼くように
苦痛と恵みとがあって
月の照らすように
癒しと哀し ....
マックでメガマックを食いながら水が欲しくなる
砂を
噛むような孤独が押し寄せる
午後四時半
水道水を公園までチャリでいって飲む事に意義がある
そういってチャリで父は多額の借金ととも ....
あまりの暑さに立ち止まろうとしたら
影が自分よりも先を歩いていることに気づいた
慌てて追いかけてたどり着いた交差点
道路にはみ出した自分の影が
通り過ぎてゆく車にひかれている
何 ....
ホームの向こうに
鮮やかな花が咲いている
緑のなかに
ひとつだけ輝いて見える赤い花
風と戯れ揺れる姿は
まるで手招きしているようだ
しかし
ここは隔てられている
それでもあなたは誘 ....
料理のためにはさしすせそがあって
書くためにはかきくけこ
砂糖と塩と
酢、醤油、味噌がこの順番なのは
砂糖や塩は浸透圧で
味の道を開くからだというね
それで
書くことは書きますこ ....
終わることのない歌がある
地虫のように地を這うつぶやき
泥の纏のようなボレロ
リズムを踏んで女たちは集い
韻を踏んで男たちは散る
引き裂かれた舞踏の群は紙人形にも似て
伽藍にて響きだけをい ....
今日も月が出ていない
夢の中で迷わないように
照らしてくれる
君がいない
ぼくの願いをいつも黙って聞いてくれる
無口な君だけど
そっとあの子に伝えてくれる
ほんとは気のいいやつな ....
たとえば身に覚えの無いことで
誰かに文句を言われたならば
(すみません)とたった一言呟けば
事物は流れてゆくのです
流れるものは
流れるままに放っておいて
この世のことには ....
「大丈夫だよ」と
いつも笑顔で言ってくれる
あなたの後ろ姿が
本当はいつも悲しい
それは
あなたの言葉を悲しく思うわたしと
あなたが抱えている悲しみのせいだと
わたしは本当に ....
会えるかしれないと目指した河原を
どこへそこを
行ってしまうのかとサングラスを
眺めていたような 何の匂いもしない
外された上を泳いでいる
この世界を歩み
魚たちを描いた青い水が
続 ....
グラスの中で
水平を保つ
still water
水平であるということは
しかし
地球の曲線の一部でもある
その先の
水平線に沈みこむ間際
昨日と今日の隔たりが
グラスの中で出会いそ ....
空中と空域
風鈴と風音
陽射と陽溜
浮かぶ絵は
すこしかわる
透きとおるような青い瞳を閉じて
月明かりをよそに
思索する空
道標を失った者たちの
無数の悲しみが白い炎をあげて
燃えている
どこにも行けないという絶望を
焚き木にすら ....
水の中でしか
生きられないと
思っていた
日々
きみの
ゼリーの肌に最初に触れた せつな
素人の二人が 不器用に
一つになって
創造が始まった 夏 ....
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