死んだらエサになってやるんだ、と幼稚園の本堂でお釈迦様へ向かって言ったんだった
もし、死んだら、あんなふうに焼かれないで箱のなかに囲まれないで
死んでまでひとに囲まれないで
大地に
....
弟は人に触られるのが怖かった。触られると電気のようなものが走るし、よくないものがうつる気がしていた。ただ、兄だけは平気だった。
弟が足をくじいて一人では不自由した時、兄は黙って弟の支えとなってやった ....
秋晴れの空に向かって窓が開いている。本棚ばかり大きい部屋には姉と妹。
妹は死んだ小説家の本を取り出しては「これは手」「これは肺」「これはくるぶし」と姉に教える。小説家は自らの身体と臓器をそっくり文字 ....
自転車に乗ってあなたは、海のもの、
山のもの、空のもの、あなたは、
すべてだ。
折りたたまれた 古い
手紙を開くと 今でも
あなたの声 ....
私の右頬には
すぅっと一本の線があります
おさないころ
北海道でも有数の豪雪地帯に住んでいたころ
いつものように、母は
空とも陸ともつかない厄介な白と闘っていました、必須アイテムは
鉄 ....
林の向こうに星が落ちた
遊びつかれたカラスが
西の方へ飛んで行った
あたりはワイン色になって
夕闇に沈んだ
遠くで一匹犬が鳴いた
町に人影がなくなった
青白い三日月がひとつ
水銀灯の上 ....
詩は死んでいないのに人は死んだことにする。
言葉が死んでいないから、
詩は死んでいないのに人は死んだことにする。
[街へ出る。
旅に出る。
私の足は裸足にラバーソール。ソール。ソール ....
無鉄砲な人ほど
やさしい人はない
人を撃つことの
痛みを知ってるから
無鉄砲な人ほど
ひどい人はない
人を撃つことで
守ることができたのに
社会は答えを
ただのひとつさ ....
PC画面の暗闇で
林檎が独り
浮かんでいる
紅い皮の傷口から
白い肌を晒しながら
( 昔々、楽園にいた
( アダムとイヴを誘惑した
( 私は紅い林檎です
....
木枯らしに吹かれて
落葉たちが駆けていきます
その先で
誰かが待ってるかのように
子供たちが
追いかけていきます
それは
生きるための
練習のようにも見え
あるいはいつか死 ....
くるくる剥いた林檎の皮が
包丁持つ手にぐるぐる巻きついて
気分はまるで蛇使い
蛇の色の鮮やかさに恍惚
とする自分にエクスタシー
赤い風船 くもり空に飛ばして
太陽みたいだね、って
指 ....
・
空が晴れていると
どこへ行ってもいいような気がして
ふらふらと遠出をしてしまいたくなる
そんな時はスーパーへ行って
掌にちょうどおさまるくらいの大きさの
果物をふたつ買って帰る
右と ....
ビーバップ・みのるが好きだ。
ビーバップ・みのるはAV監督だ。
ビーバップ・みのるはすこししゃくれている。
ビーバップ・みのるの声が好きだ。
ビーバップ・みのるはドMだから、
自分のしてほし ....
あなたの肩越しには
そっと燃やされた虫のひとみ
氷点下のやさしい冬の陽
夕闇すきとおる薄紫も
青白いミルクにできた膜が
弟だと教えられたまるい小さな手足さえ
やがてすっかり被い隠してしまう ....
先生
今年も忙しさに思想が流されてしまう
そんな季節が来ましたね
あなたは貴婦人だったり豪傑な男の人だったり
駆けだしの幼い人だったり するのだけれど
先生は 忘れた頃に
夢枕にきりりとた ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
とてもしなやかに
折れ曲がる森があったので
そうではない多くの部分は昼と呼ぶことにしていた
迷い込めない、かくれられない、だからみんな怯えて
おびえるべきであって
きみが ....
あなたのこえはすきとおりすぎて
ほんとうにあなたのこえが
ぼくにはきこえていたろうか
あなたのすがたはまぶしすぎて
ほんとうにあなたのすがたが
ぼくにはみえていたろうか
ぼくにお ....
六花は冬に生まれた。
濃いグレーの背中に白い斑点が6つ散らばって
りっか と呼ぶ。
六花はすっきり背を伸ばして、両足を揃えて座った。
爪を出すような不様は見せなかった。
新しい水が好 ....
とりとめもなく書いてみようと思うのは、ポエムについて、ということは同時に詩について、ということです。
すこしだけふれておきたいのは、たまに、ポエムはだめで現代詩はいいとか、その逆とか、そうした話 ....
授業を終わらせるチャイムが僕らに
仕舞い支度を促し、先生は
名残惜しそうに黒板の裾に触れて
開いた小さな穴へと3色の
チョークをぽとりぽとりと落とす
号令にやる気なく起立する僕らは
椅 ....
ぼくらは夕暮れ
チョコレートを食べすぎた
赤いランドセル
黒いランドセル
へんなランドセル
長い影
おうちに帰る歌 べろんべろんにのびて
絶対音感ちがって 耳を切る
血がち ....
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは ....
朝起きて僕はまず
鳥かごのひよちゃんとちよちゃんにあいさつをする
(おはよう
(ひょひょ
(ちょちょ
今日は曇り空だ
傘を持って家を出る
(いってきます
(ひょひょ
(ちょちょ
....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に
湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと
関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
{引用=
あかもん行きーー
この電車は赤門行きです。ご乗車の方はお急ぎくださいーー}
がっちゃん と音を立てて路面電車が動き始めた。
「あぁ、間に合った。車掌さんごめんなさいね。」
「 ....
ねえ
ちょうちょあそび、しよう、ひそひそと。
おわったら、ぜんぶ、けすの。
おもいでにしか、のこさない の。
おもいでは
すきとおって ....
君がアルバイトで
会えなかった日
自分勝手な寂しさに
俯きそうになった僕は
こころに
一つの山を
思い描いた
雲に覆われ雨降る夜も
雲が流れて日の射す朝も ....
せせらぎは
言葉を濁すことを知らない
そこはかとない波のゆらめきに
疲れた手を浸し 剥がれてしまいそうな
うろこか言葉かわからないようなものを
さらさら、と流し
そして しぐさを落と ....
ちるりるはらら ちるりるはらら
小動物みたいに笑う
雲のように風のように溶けて流れる
そんなみんなの胸の内
涙落つる止め能はず
両の手のうえ細降る硝子の雪
肌に刺さら ....
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