川沿いの道を歩きながら 
澄んだせせらぎを聞いていると
傍らを
自動3輪車に乗ったお{ルビ爺=じい}さんが
口を開いたまま
骨と皮の手でハンドルを握り
いすに背を{ルビ凭=もた}れて傾きな ....
目の前に桜の老木が立っていた

土の下深くへと 
無数の根を張り巡らせ 

空へと伸びる
無数の枝を広げ 

( {ルビ薄曇=うすぐもり}の雲間から 白く光る日輪が覗いた

太い幹 ....
クールなのが取り柄
みたいな顔してるけど
本当はそうじゃないよね
知ってる

君のことほとんど知らないけど
それだけは知ってる
それだけで充分だと思う
迎え入れてあげられる

多く ....
ねぇ、そもそも、
からだの中心ってどこに
あるのかしら?

ただ、
丸くなって眠るきみは
ドーナッツのなかま、みたいねぇ

まんなかの空白のふしぎがやがて
きみの中心のような気が ....
初めての模擬試験の点数は
不等号のみの
二百点満点中 四点
君と
僕と
あいつと
誰か
だったか
昨日と
今日と
明日と
なにか
だったか
そこんとこの隙間達へ

その記 ....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる

自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
 ....
雪の降った夕暮れ
すっかり冷え込んだ空気の中で
黒いコートのポケットに手を入れると
黒い皮製の手帳にいきあたりました


そう
全てはこの手帳が始まりでした


死神の僕にとっては ....
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ

土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ

風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
 ....
僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所

擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
 ....
傘を
返してほしい

名残りの雪は
綿のコートには冷たすぎて
ひとりで帰れる自信がないから

あの桜もようの紅い傘は
ほんとうはすこし空々しいから
好きではないのだけれど

 ....
 11

「地球は二酸化硅素の体を持った生物である
 ことが最近になって判明した」と
夢の中で見たプラカードに書いてあった

地球が寝返りをうった 地球がくしゃみをした
その際に起こりう ....
“眼鏡の度があってませんよ”
 
俺には死神のじぃちゃんがいる
母さんの名付け親だ


父さんが死んでから
母さんは死神のじぃちゃんと二人暮しを始めた
俺が面倒を見ようかとも言った ....
昔、人は空を飛ぶ方法を知っていた

両手を広げて羽ばたくことをしなくても
軽々と宙を舞った

渡り鳥のように暖かい場所を求めて飛ぶ
渡り人というのもいたらしい

でも今、人は誰も空を飛 ....
雨の降る仕事帰りの夜道
傘を差して歩く僕は
年の瀬に冷たい廊下でうつ伏せたまま
亡くなっていたお{ルビ爺=じい}さんの家の前を通り過ぎる

玄関に残る
表札に刻まれたお爺さんの名前  ....
いのちの外れをふらついて
月が見える窓にもたれる

二月の終わり

ねむいは深い深い深い

ベッド
指先がまくらの影をつきさして
おきあがれない
おきあがれない

芽が ....
夕暮れ
警察署の壁面が赤く染まる頃
帰宅途中の私はその前に来るといつも
自白する

通勤鞄の底のそこでは
見慣れぬ証拠物件が小さく笑っているが
立番の若い巡査はそ知らぬ顔で
手 ....
雪どけ水が
氷の下を流れゆき
定まらぬかたちの光となり
坂道を静かに下りてゆく


屋根の上にとけのこる
切れば血の出るような雪
月を聴く
舌を挿す


倒れた ....
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた



観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
路上で、ベルボーイ気取りの道化男が(※1)
呼び鈴を盗まれて、おろおろしている場面に
出くわした事がないだろうか?

ベルを盗んだのは僕の友人だった(※2)
そして彼に、ベルを返したのは僕だ ....
乾燥した始まりには
どうしても雨が欲しかったから
浅いじょうろを軒下につるして
ただ、揺れるままにしてみる
並べられた靴、窓を開ける順番
この朝も、毎朝と呼びたい

僕の
通い続けると ....
麦藁帽子の匂いがする
古ぼけた写真のなかで 
あしあとが波にさらわれている
すてられた古時計のように
何かが少しずつ狂っている
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた

 ....
 日記帳に落とした柿の種挟み僕は昔を思い出します

             *

昭和51年の春に生まれた息子を父が将軍と呼ぶ

将軍閣下御年2歳牛乳を飲まないわりにグラタンが好き

 ....
竹林には何がいる?
パンダ!
かぐや姫!
宇宙人!
わたし!
にょきにょき
にょきにょき
にょき

さてと
だれもいないね
透明になる
季節の変わり目には
どんどん色素が失われ

地図上に引かれた
ぶっきらぼうな交差線を
どんどんほどいていく


今日をほどけば、
明日のかけら
冬をほどけば、
春の ....
















と書くと すでに
鞘から抜き出して
相手と対峙しようとしている


銀光りする刃が 一本の筋を
身体に ....
曇り空の一日に
土手を歩く僕は
ふいに 笑いかけて転んだ
鳥が一斉に飛び立った

僕は誰もいないマウンドに立っている
フェンスに向かって詩を投げる
一行きりの詩を投げる
フェンスの向こ ....
おまえは どうして
生きているんだ という
今さらながらで
どうにも答えようのない 質問が

くりかえし くりかえされる

おまえは どこにいるのだ
おまえは 何をしているのだ
 ....
ベッドの上に君が
座った
誇らしげに
座った

理学療法士に
少しばかり
肩を支えられてではあったけれど
ベッドの上に君が
座った

中二のころの
強い瞳の
君が
座った
 ....
旅立つ前に少し気持ちの整理をしておきたくて、少し感傷的にぼやきます。
帰ってきて気持ちが落ちついたら、削除してしまうかもしれません。
永遠の迷いの痕跡をして残しておくかもしれません。わからないけど ....
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