お風呂さん、ありがとう
今日もあなたに浸かることができて幸せです
あなたの清らかさとあたたかさが
今、とても尊いものに思えます
わたしは寒いのに裸になりたい
裸になりたいのにあたたまりたい
....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
雲がのびてゆく
編み目を広げて
ただの雲と思うなよ
まだまだ空は広いから
犬の甘え鳴きが
のびきってほどける日を
知らせようとしている
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
綱わたりをしていると
月がきれいだったので
僕はまっさかさまに落ちていった
形の良い吉川くんがそれを見ていて
僕らはレンガ遊びを続けた
吉川くんはレンガをちゃんと地面に積んで ....
フォーカシング、そして放した
私のものじゃない
から 、別に失くしたりもしなかった
分厚い衛星の空には
不思議と温かな穴が開いていて
その向こう側に 掌を衝き出してみても
何にも触れない
....
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった
ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
{画像=081102135729.jpg}
解釈を越えて存在するもの
人に評価されることを拒絶する
見られること
それ自身も拒絶したい
自分は自分であり自分でありつづける
その完全なる ....
流れついたものが内に秘めた記憶に感応するように見えてくる形がある
それを現実の世界に引き上げることだけに誠実にノミをふるってきた人
立ち上がる形は僕の解釈なんていとも簡単に呑み込むように静かで確固 ....
血液は旅をする
一生の半分は心臓を目指し
残りの半分は心臓を懐かしむ
何周も何周もするのだから
何度も何度も繰り返すのだろう
プールの前に体温を計る
血液が今、何を思うのか
知るため ....
介護施設のベッド
幸せそうな家庭が
そこだけ
作り上げられている
洗剤のコマーシャルに出てくる
清潔そうなお嫁さんが
わたしの代わりに
お祖母ちゃんの世話をしてくれている
に違いない
....
廃村の外れで
垂れ下がった電線が風に吹かれている。
壁や窓を叩いている。
置き去られたカラーボックスに
アニメのシールがでたらめに貼りつけてある。
清掃車のオルゴールが近づいてく ....
掌は舟
温かくて何も運べない
体液を体中に満たして
今日も生きているみたいだ
塞ぎようのない穴から
時々漏らしながら
階段に座って
ラブソングを歌ったり
駅前の露店で
プラ ....
音楽家は線を引いた。
空には太陽と星と月。
じめんには土とくさばな。
でもそれってわたしのじゃないし。
あなたのゆってることマジわからん。
落下する音符、のおと。
今朝、垂直に打ち ....
故郷での暮らしは
けっして貧しいものではなかった
手に入るものは手に入り
手に入らないものは手に入らない
ただそれだけだった
小さな都会で暮らして
もう二十年になるけれど
....
これが泣いている、
という行為
大粒の雨が
ぼたり、ぼたり、と
音を立てる
わかってあげられない
ティッシュを差し出すこと
背中をさすること
それしかできない
それで ....
リューヌ 思い出して私との約束
おまえはどこに行ってしまったの
ある日突然いなくなった私の猫
リューヌ 何度もおまえの名を呼ぶけれど
私に答える声はもうないの
ただおまえに似た夜がそこに ....
{画像=081028104443.jpg}
種の起源を遡る
鯨にあるという地上の記憶のよう
身体の記憶に繋がる原初の記憶
納屋の藁束の上に横たわり
こころを拡げて探り当てる
目を瞑り腰 ....
僕と妻にとてもよく似ていて
そのどちらにも
似てはいない
それが彼なのだ
君はいったい
誰なの
と息子の目を見てそう問うと
不思議な顔をしてる
ふと思い出す
僕と妻は
....
夏までのあいだに、吐き出すだけ吐き出そうと思って、さまざまな詩にまつわるものをつくった。
そして、現状、いまじぶんがいるところが、丸裸になるようにしたのが夏でした。
丸裸になってしまえ ....
{引用=副題:狙われた街/狙われない街}
こんな日はめったにないけど
たとえば
なにもかもが真っ赤に染まる絵のような夕焼けの日
空は思いのほかよごれてしまって
あるいは記憶のな ....
わたしの
両眼は野良猫なので、まれに
きみの影で化けている
部屋の隅で、まれに
息の根を止め損ねたあの子が見えるのだが
わたしの
言語は蛭
だったのだ、たくさんの日本語が
彼の血を ....
うさぎの眼 泣いてないよと 睨む{ルビ金星=ほし}
通学路 さようなら僕 吐き捨てて
明日から 殺してしまえ 皆悪魔
{引用=先生見てくださいこれが現実です。}
Nさんが日記で書いていた。Nさんが賢治について書いた批評について、批判があったらしい。某所のチャットで、「このレベルで留まれたのなら幸せだったんだろうけど」「賢治について書くなんて怖いものしらず」みた ....
お弁当忘れてるわよ
という声が
10km先のパパの会社まで聞こえて
あ、まだ作ってないんだった
という声が
10cmしか深さのないママの口からこぼれた
私はひとり
ピラフを解凍し ....
1
昔、ひとりの修行僧がいた。彼は、心が完全に澄み、あらゆる悩みや欲望が彼を通過していき、何物にも動かされない境地を目指した。物事に動かされないようにと、彼はどんどん重くなっていった。瞑想や思索 ....
わたしの声帯から延びた
蔦が
ビリジアンの意地悪だった
集合体は頑丈で 瑞々しい
唇をつたって、ずるずると
出ていく
あのひとの唇をつたって
入っていく
取り返しのつかない色
取 ....
シャワーヘッドから
ほとばしる呪文で
昨日までの身体を
洗い流したら
有効期限切れの
プラシーボを
ペリエで飲み下して
街へはみ出る
手にした青が
全部フェイクだったから ....
某所で、
>意味がわからんと言っていた軟弱者が何人かいましたが、
>意味を伝えるだけなら詩なんか必要なないじゃん。
>詩は作者と読者の共同作業であるべき。
>僕が1から ....
容赦なく不機嫌であるまなうらにひろがる無数の鶏頭の赤
いちにちを作業療法すると言いビーズ細工にこめるかなしみ
いけないよ爪を噛む癖孤独癖マニュキア塗って待ち合わせしよ
右足をアンクレ ....
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