片野さんはシステムで
片野さんはその前には詩を書いていた
片野さんがシステムを書き出したので
片野さん、システムですね と言うと
片野さんは、詩ですね、と答えたのだった
片野さんの最終ロ ....
僕の中で爆発する
バクとハツ
バクは奇蹄目バク科バク属に含まれる哺乳類の総称である
ハツは架空の人物、性別は女、推定年齢七十歳前後
幼少の頃、本家から分家に養女に出される
分家の ....
自転車で
それは
全身がうす桃色に塗られており
まるで幸せを知った少女みたいだった
現実に乗っているものとは違い
錆なんてどこにも見当たらなかったし
ペダルはきいきいと不快な音 ....
自分の読んでるものが
自分の書いてるものが
たまらなく
たまらなく 卑小に見える
あたしって
なんて アタマ悪いんだろう
19から成長してないよ!
と思ったら
だれかが ....
正確な数値はわからないけれど
たぶん5%くらいになったあなたの体が
目の前に横たわっている
よほど熱かったのか
素手で触れることはできなくて
箸で摘まんでいる
かつてあ ....
この部屋は まるで 水槽
口をぱくぱくさせている 光のあわいに あわせて
線路から 水があふれでて ドアをたたく
6:10 6:20 6:30 6:40 6:50 7:00
電線を雲がは ....
退屈という時間を抹殺したい
エナメル線に火をつける
行きつく先は爆発だが爆発の恐怖を忘れている
錠剤が、錠剤があれば大地震も大丈夫
(あのね、良い詩を書くときは服用をさぼるの)
錯乱 ....
高架橋のところまで
電車を見にいく
生まれる前から
そうすることが
決まっていたように
電車が来るのを
待っている
死んでしまったら
できな ....
木立には
そう、夕闇がたっている
じっとして
僕じゃないものが
僕よりも、もっと素晴らしい中身が。
小さく膝を抱えるのは、
積もりつもった、
過去視の、少年
くくるるどどう
小声で鳴いている
行儀良 ....
心はいつも溢れる洪水の岸にあるけれど
この身は独りモロッコの砂丘にある。
鳥が落とした棒切れを拾い上げ
星形の砂漠に
蜘蛛と猿の地上絵を描く。
砂紋を横切るように
てんてんと残 ....
柔らかな日射しに包まれて
梅のほんのりと香る今日の良き日に
鳥となる準備は整った
目まぐるしい日常の中に
留まることを許してもらえない代わりに
整理整頓を行うための箱を貰ってきた
捨てるべ ....
俯いている
苛立ちはこころを駆け
涙は机に下垂る
ー愛に育まれた女たちは
夜は眠る時間だと
知っているから
....
父は風呂に入りながら
トランジスタラジオを聞いていた
湯船に落としてしまっても
乾かせば直ると言っていた
実際お湯に沈んでも
ラジオの音は止まなかった
僕も父の真似をして
....
二階の窓から曇る夜空を眺めている
降りだしそうな雨をむしろ望んでいる
雨に撃たれてしまいたい
世界に射抜かれる前に
この街を焼き払おうか
*** ** *
持ちきれないほ ....
今日もはみだしている
淀みのようなところで
濾過された水が
次の流れへとはみだしていく
必要のないものが残っている
昔大切だったなものが
今は地名のように残っている
....
自殺者が私にこう告白した。
「いつの間にか「シ」という音が俺の全身に転移していった。初めはこの「シ」は「詩」なんだとか「史」なんだとか思おうとしたが、そのような思念の枝分かれ・芽吹きを斬り落として ....
気がつくと、俺は漂流していた
大洋のど真ん中に、俺ひとりだった
広い海は恐ろしいほど青く、そして黒かった
小さな板切れに横たわっていた
頼りなく波間に揺られながら
自分が置かれている状況 ....
朝、目覚めると
四十歳になっていた
王選手が
七五六本目のホームランを打った
ポスターが貼られた
四畳半の部屋で眠っていたのに
昨日は小学校から帰って
庭でスキー遊び ....
生まれたときから
屈託のある顔をした君は
赤ん坊のくせに徹底していて
怒り出すと
……いやっ
興奮し出すと
顔が赤黒くなるまで興奮して
泣いているのか怒っているのか
とんと僕には分から ....
おとなになっても
われない実が
ぽけっとの中でまだ
じっと待っている
かたん
とあごのはずれた人形の
ぽけっとの中で
じっとしている
握りしめるたびに
昨日のことなんかも ....
青灰色に輝く海岸沿いに
小さな赤い屋根の家が立つ
その家には
ブラウニーの妖精たちが棲んでいる
小さな妖精たちは
茶色のボロ着を身にまとい
いつからかその家に棲みついている
....
大きな引き出しは
アングリ口を開け
ようこそ、よくできたお客様です。
などと歯の浮いた世辞を言って
そのくせ、舌なめずりの音が
家中に響きわたっている。
それでも人の良いインテリ面した ....
会いたいのに
会えない人がいる
帰りたいのに
帰れない家がある
戦争を知らずに
僕らは生まれたけれど
争いを避けずに
僕らは生きていけなかった
いつからなのだろ ....
昨夜の雨を吸った落ち葉はぶよぶよと柔らかくなり
いくら踏みしめても何の音も鳴らさなかった
足跡さえも吸収してしまいそうな弾力は
寒さを忘れそうなほどの優しさで失望を覚える
冬はいつだっ ....
くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express
埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな ....
漢字の練習とかでさ
同じ字をずっと書いていると
突然
あれこの字ってこんな形だったっけと思うことあるよね
娘がポツリと言う
漢字の書き取りではないけれど
仕事で文字ばかりを ....
ジャングルジムでの遊び方を忘れたのは
威勢が良いだけの雄叫びが、もう通用しなくなったからで
不安定な足場で怪我するくらいなら
帰り道でつまずく方がカッコいいと思っていた
汚れを知らない白いスニーカーが ....
どうして
いい人は
急ぐように逝ってしまうの?
あたしの中には
まだ 父が住んでいて
いつも 問題が起こると
はなしかけている
ときどき 緊急事態のときは
夢に出てきてくれる
....
{引用=
順序など何もないのだと
つぶやいた瞬間に重い書物が
飛んできた
角が尖っていて
すごく痛い
世界を何重にも描いても無駄だ
扉という扉の奥には新しい平面がある
息も絶え絶えとい ....
家電に生まれて
気がついたことがある
わたしには声が無い
たとえば
ファンヒーターは
ファンヒーターであるために
温風を吐き出すことで
せいいっぱいだ
電子レンジは ....
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