掛け違えた光だとしても
あふれかえることに
消えてはゆけない
肩だから
底に、四月はいつもある
泥をかきわけて
そのなかを親しむような
見上げることの
はじまりに ....
あの時サ、カあサんにツケバ
きっと素直にパパに
おめでとうって
言えたかもしれない
あのひとが
好きとか
嫌いとかじゃなくて
どうしても
逆さまの箒と一緒に
さかさバケツ ....
十字架のネックレスをした女は
今日も「通りゃんせ」の鳴る交差点を
紅いハイヒールで夜へと歩く
人知れぬ部屋で
男に{ルビ接吻=くちづけ}られる
濡れた首すじに
垂らした十字 ....
もし生まれ変わるのなら
今度は男がいい
だってみんな言うでしょ
男がいいって
なんかそういえばそんな気がする
男になったら
あの子を犯したい
めちゃくちゃに犯すの
あの子が
大好き
....
パパにおねだりして買ってもらった
世界
始めはとても小さくて
なかなか言うことを聞いてくれなかったけど
だんだん躾を覚えてきて
今じゃちゃんと言うことを聞く
あたしが小さな ....
重厚な鞄を
コインロッカーに詰め込んだ老婆
最後の小銭が落ちていった
鍵は古いタイプのシリンダーで
取っ手は錆びついていた
老婆の背後で
人々は透過しながら
それぞれの歩みを止めない ....
こうやって一つずつ年が離れていくんやね
来年になったら
また一つ年が離れて
うちが十年たっておばさんに近くなっても
あんたはあの頃のままのあんたで
うちらの年だけがどんどん離れてい ....
南から風が強く吹いて
あ、
もうそんな季節なんだ
と静かに笑った
はなびらが
はなびらでいられなくなるように
静かに笑った
カレーライス!
って言う ....
冷めかかったコーヒーが半分だけ残っているカップを取る手が
僕の向かいの席に偉そうに座るのが
お昼にかかってくる電話やメールの主が
今玄関を開けたのが
ニュースにいちいち文句をつ ....
エレベーターの中は
どこまでもお花畑でした
見たことのあるような花ばかりだったけれど
すべての名前を言い当てることは出来ませんでした
ああこんなところまで来てしまったのだなあ
と感じて
中 ....
あなたに似ている
と。言われたくありませんでした
わたしはわたしに過ぎず
あなたのクローンではないのだから
あなたがいなければ
生を授かることはありませんでした
それだけは否定でき ....
西へ東へ
南へ北へ
飛んで回る
笑顔を絶やさずに
皆に喜んでもらい
人が寄ってくる
頼られ、断れず
腰が痛い
仕事から帰り
床に横になる
アップルティーを入れる
平井堅を ....
とりが
わたしをねむり
わたしが
とりをねむる
しんや
ばすか
とらっくか
おおきなくるま
のようなものが
いえのまえを
はしっていった
とりや
わたしが
めをさましたりゆう ....
あっ、春が飛んだ
今、飛んだ
すぅと、まっすぐに
春が飛んだ
とてもうれしそうだ
おや、あっちでは
春が跳ねている
清らな音で跳ねている
春のリズムで
なんだか楽しそうだ
....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね
欄干にもたれて
あなたの
い ....
人間になったときに
長いしっぽは捨てたはずだったが
ゆうべまた失くしたので
蜥蜴になろうと決心した
体が楽になったのは
まっすぐで生きられるからだろう
背中が陽に染 ....
線路上を逃げている。子供の暗殺者を殺そうとしている。
子供の暗殺者を屋根の上から投げ捨てると、子供は宙中
に消え、屋根の上に犬とも狐ともつかない動物となって
現れる。想念として、つぎをおぼえてお ....
ずっと見て居たかったから
すっと見ていようと 心に決めたけど
まばたき は するし
靴ひも も ほつれるので
約束 は きっと守れなかったのでした
君は 肩落とす 準備を ....
忘れなさい
静かな祈りのように
優しい言葉で
私は途方に暮れてしまう
思い 惑って
開いた唇
言葉を発する事も許さず
忘れなさい
と
祈りは薄く
で ....
写真では思い出せる
ものがたりは忘れてしまった
楽しかったことの記憶だけ
振り返ることもなく
通過電車のあとを追う
錆びた風であれば
印画紙を風の色に染めて
完成する思い出
岩 ....
幾多の苦難を
一つ一つ思い出に変えながら
今日も夜空には過去が浮かび
月影は淋しさをなぞるように
きれいな円を描いている
たとえば
「さよなら」の四文字を
どの星にあてはめれ ....
あんたの腕から
しなだれ落ちる
赤い糸を辿っていったら
どこに辿りつくんかな
いろんな女のとこ
ぐるぐる廻りながら
なかなかその先が見えてこうへん
女の人が多すぎて
....
あの人は
私の幸いをただ祈ると言った
けれどもし
私が彼女を不幸にしたまま
幸せになったなら
あの人は私を憎むだろう
あの人が幸せになれるだけ
私は不幸でも構わない
....
永遠に続くのではないかと思う
言葉の咲く道で
彼はずっと歩き続けて
ついに道の上に座り込んだ
そこから見上げる空も
言葉がたくさん見えていた
ほんの少し
ほんの少しだけ休もうか
つ ....
ただそらだけがある
ひとも
たてものも
どうしょくぶつも
わすれて
すみずみまで
ひろがっている
きおくのそとがわから
ことりがいちわきて
はばたこうとすると
そらはきように
み ....
一人の少年が少し前を歩いている友達に
石を投げた
石は彼の頭にぶつかって
その友達はとても痛がった
その様子を見た少年は
腹を抱えて笑った
石をぶつけられた友達は
少年 ....
俺は学校の
トイレでタバコ吹かし
銘柄の違うのに交換し
先生に怒られた
家では梅酒の1升瓶を
隠し飲んでいて
親に見つかり
お説教もらう
彼女にもらった
マフラ、手紙すべて
....
ダッシュボードに斜めに突っ込んだ
おもちゃみたいなラジカセ、レゲエのリズム
全開の窓から
おまえは
ほっぺた出して
ぶるぶるやってた
子供みたいに
俺は
クラッチとアクセル
ジャ ....
はじまりはとても静かであたたかで目を開けた赤子は咲く花花を見ゆ
るるるると蛙の鳴き声が聴こえてきた青い田園を目を細め眺めるそふ
なんども口づけを交わす祭りの夜の恋人達蛍や花火の真上で黙るつき
....
カブトエビ、という
小さな甲殻類がいるそうですが
さっきから門の前では
牛に良く似た人と
人に良く似た牛とが
縄跳びをしています
縄跳びが終わったらあの人と牛に
カブトエビの話を聞い ....
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