聞き捨てた
島へ渡る船なんて知らないから
僕らは港を探しに歩いていたんだ
見たこともない白い浜辺
ただひたすら国道のガードレールに沿いながら下る
海は眩しくてずっと近かったから
額から ....
今日は
風がお休みだから
空気がのんびりしている
日向ぼっこをしている庭を
転げまわる
子どもたちが
僕の人生の
すべてになる
老いるのも
成長するのも
同じ時の流れ
【 流石の沢蟹】
沢蟹は、歩く
沢を 歩く
さわさわとした沢を歩く
沢蟹も 花見をする
タンポポの花が 咲いている
その花弁を
器用に 切り取り
....
およそ文芸である以上読者がいて、個人的な人生あるいは社会的になんらかの影響力をもつもの、あるいは芸術としての愉悦を読者に与えるものでなければならない。
詩として
C42 サンフランシスコブ ....
にれは祠に奉られていた
遠い昔の話だけれど
少なくとも言い伝えられるだけの
価値があったのだとはるは言った
ことばの少ない子どもだった
幼い頃から空を見上げてばかりで
地上 ....
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ごく、
近視眼的思考で
詩のようなものを書いたなら
....
てのひらからこぼれるままに
ことばを拾う
忘れていた物の色やかたち
あてはまる隙間のない断片をかかえて歩く
なつかしい風景に返すためにあたためる
星々をめぐる
それは散在する島々のよう ....
そろそろ
おいとまをしようか
たくさんご馳走になったし
ずいぶんと愉快に笑った
これ以上長居をすると
ますます帰りづらくなる
それに遠慮がなくなって
無礼なこともしてしまいそう
今なら ....
しんをちょうせつして
つつをもちあげて
すこしだけすきまをあけて
まっちでひをつけて
しめるとどうじに
まっちをふってひをけす
ごっごっ と
おとをたてて
かなあみまでひがのびて
あ ....
横浜・野毛の老舗「村田屋」の座敷にて
鰯丼の傍らに、置いた
味噌汁の真ん中に
豆腐がひとつ、浮いている
(天井のらんぷを、小さく映し)
澱んだ味噌汁の、只中に
くっきりと、立体的に ....
俺は、風を探している。
退屈極まり無い日々を
ぶおおおうっと一掃する、一陣の風を。
――それは、生きてる本を
開いた頁のすき間から、吹き
――それは、熱いライブを
終えた無人の ....
平行線がモニターに表れて
力の抜けた父の身体は
関節を失った人形のように
母の腕の中で横たわる。
(星がいつもより余計に輝いて、ファミリーワゴンの屋根が強く反射していた。)
....
客席の端に座り
マイクの前に立つ声を聞きながら
抱きしめられない寂しさでうつむいている。
「去年の今頃は、あなたのことを知らなかった・・・・。」
聞き馴れた音楽が流れ
そ ....
とうめい が
好きですよ
漆黒も
好きですよ
漆黒が とうめいな日が 好きなのです
玄武の闇漆黒の岩石の中でケイセキは ちかっと 輝いて
その輝きは あまりに ちいさいので ....
「父が居なくなって、自由になった。」と言われたので
(縛るものが欲しい。)と
戒律を作った。
心に硬く
心に巻きつけて。
私は目隠しをしてから
自らの全身を巻きつけた。
....
影送りが
色濃く映る空の下
火葬場の入り口では
これから家を見る妹が
父の遺骨を抱えている。
後から来る私は
父の遺影を掲げ
笑った顔に笑い返し
すっぽ ....
六本木の美術館に、足を運び
蕪村の水墨画の風景で
「東屋に坐るひと」が聴く
滝の音に――耳を澄ます頃
ポケットに入れた携帯電話がぶるっ…と震え
展示スペースの外に出て
「もしもし」と、 ....
様々な波長のことばに耳を傾ける
舞い散る花びらのように光をもとめて
あるいは影に紛れてかたちを失ってゆくものたちよ
羽化して浮揚する繊細な翅を持つ蜉蝣のように
永い水底の想いををうたにして ....
返事の無い玄関先。
「ただいま。」と言って
父の姿を待つ。
去年の今頃は/一ヶ月前までは
奥のリビングから父の歩く気配がした。
今は私から靴を脱ぎ
畳部屋の父の祭壇 ....
「花見、くる?」日取りが決まってから、もう一度きかれるだろう。 そのときに「行きたいけど、人が多いのが苦手で、どうしようか迷っている」と、正直に言おうか、迷っている。 「そんなのあなたが勝手に決めれば ....
奇跡が起こる瞬間を描いて
苦しい毎日を過ごしていたのに
一番の奇跡は
母と娘たちが引き起こしていた。
数年と言われていた父の寿命は
2倍の10年目を数えた後
一つの ....
大きな一呼吸
(ピーッ・ピーッ)と鳴る心拍数
閉じたままの瞳
左回りの一針が
小さな不安を呼び起こす。
(高い鼻・長いまつげ・尖ったあご)
顔立ちが美しいと
....
桜並木の木の下には
死体と狂気が
埋まっています。
今年も桜の木の下で
散りゆく花弁ひらひらと
桜並木の真ん中を
足早にすぎる風一陣
見上げる花は真っ盛り
目も眩むばかりの ....
つぼみの中で育まれ
花びらが連れてくる
それが春、出会いの春
想像する明日
ひいさまのおはじきがいつまでたってもあたらない明日か
やっと来る
おひさま
昨日言われたひどいこと
まだ生きてられる
強いんじゃないが
ただ
まだ
ぷつんと切れて ....
起きてから息をした
水面をくぐる鳥たちに似合う
きれいな羽を編んでいる最中だった
きっと君はもう随分前に
仕上げてしまって
春の水音の中へ
飛び立っていったのだと思う
あた ....
あなたがわたしの中から消えてくれない
きっと、愛の言葉より 後悔が多かったから
きっと、愛の言葉より 口づけが多かったから
私の父は、明という字に彦と書いて「明彦(あきひこ)。」という名前だった。
小学生の頃国語の授業にて、名前の由来の話になった。
当時クラスには、「彦」という名前を持つ男の子が2・3人いた。
昔 ....
星になったお父さん。
緑色に染まった大腿骨
熱が残る銀の台。
星になったお父さん。
布団の上に置かれた守り刀
それを手に取り
喉元へ突き立てる。
白く覆われた空が
泣くのを見ら ....
顔を上げると、あなたは笑っていて
私を見つめる瞳は、逸らされることも無く
固定されている。
「ただいま/行ってきます。」といっても
自分の声だけが響いて
あなたはただ
....
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