見えないものが
ほんのわずかなそれが
あなたを侵している
それはきまって
夜に
ひどく湿度の高い
月がかすむような薄明かりの中で
増殖する
「眠れない」と
呟く
そう
....
なにものにも覆い隠されること
なく、きみは
ある
そのようにあるはずの
夜に、ほんとうの
ことが分からない
まま、損なわれて、分からない
まま、傷つけている、
そのように、きみ ....
独り暮らしの古家から
週に一度
玄関から門前に出て
杖を手にワゴン車を待つ
「おはようございます」
ドアが開いて下りてくる
孫のような青年の
腕につかまりながら
車 ....
目を覚ますと
ベッドの上にいた
白いシーツがどこまでも広がり
睡眠中
あつくてはいだのか
山のように連なる毛布から
上昇する太陽が
まっすぐわたしを照らしてる
もう三日歩い ....
ぼくが
わるかった
あやまっても
なおらない
きずもある
せめて
うらんでは
くれないか
そのかちすら
ないらしい
ばっしてさえ
くれなかった
ろうをつくって
....
葉っぱたちのとがったきっさきをさっきから風がはげしくゆらして
じべたに並べられた各種弾頭のことを考える
雨上がりのひんやりとしたゼリーのような中を
ゆっくりと自由に空気を押しながら
あたしは記 ....
空の
高架下のピアノの下
ストレートの風が駆け上がる
シャツの中を駆け上がる
緑の思い葉が揺れながら海
夢見てる海
ピアノは相変わらず同じ曲しか
トラトトトン タ ....
君の右眼は
スピードメーターになっていて
時速はいまや
300キロを超えようとしている
そんな夢を見て目覚める
とりわけ悲しい夢でもないが
涙を流す理由は充分に内包していると思う
....
時間という単位も
人間が考えたものだから
流れてるような気がしてるだけで
それはお金のようなものではないのか
お金を借りたら少しだけ
時間ができたような気がして
貸してくれたその人と ....
彼方にいる、きみは
夜、
あらゆる
ことが
あるうちに、目は見ることを
やめて、
いま
きみがいるここで、失われたひとつの
もの、それを失ったのはふたり
だった、もういっぽう ....
投げつけていけ、きみの
死を、
まだとじている傷に、
きみが
われに返っていることを
憎むために、
しっかりと、どれだけ
殺しあっていた
か、
分からないまま、頬ずりする ....
もう会うこともない
君がくれたボールペンだけが
この手元にある
君は自らが去る前に
どんな思いを顔に浮かべ
商品棚から
このペンを手にしたのだろう
これからの日々を ....
もしかしたら
病気で半年前に退社した
若奥さんのUさんは
日々ずっこけるこの僕を
きらいじゃなかったかも?と
今さら思う
僕は特別Uさんに
ホの字だったわけでもないが
....
あなたはわるくない
そう、悪くない
突然の告白も
そう悪くない
私はは言わない
何にも言わない
愉しんじゃわない?
ここで善いんではない?
誰も見てない
判官びいきの都合で
方眼い ....
カメラに向かい
天気図を背にして
「午後から雨になります」
と伝え
小さく頭を下げ
辞表を提出し
その日の午後
先生は雨になった
それは小さな雨だったが
傘を ....
やわらかな
やさしさを
つめこんで
ぬいぐるみが
やっと
かんせいした
つきひはながれ
ぬいぐるみは
しぼんできて
わたを
たしてみようと
いとをほどくと
のう ....
わたしのいつも見ている景色です
ありきたりです
でも、たまに
はっとして
おもわずカメラで収めたくなります
記憶に留めるだけの時もありますが
後に悔いてしまいます
焦ってカメラを構えても ....
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった
下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった
....
彼らは雨の打つ水溜まりの中に
弦を弾くような哀しい旋律を落としたり
大雨に傘を差しながら
鍵盤を叩いて波打ったような足跡を残したりするのだろうか
夕方の沈んでいく草の色に
作家を満た ....
僕はこの歌を知らなかった! この歌手を知らなかった!
http://jp.youtube.com/watch?v=Y_vXzY5Unlg&feature=related
なんとまぁ、いい曲 ....
雨戸をしっかり閉める
窓をしっかり閉じて
鍵をかける
電気機器のコードをすべて抜いて
ガスも水道も止めて
明かりも消して
それでも
どこからか音が聞こえてくる
時計の電池を抜いて
....
炎は自由
ごうごう
ごうごう
積み重ねた薪は崩れ
自由を奪っていく
自由になるために積み重ねないと
輪になり囲んで踊れ
自然と一緒に
炎は自由
ゆらゆら
ゆらゆら
こうして死んでいく全てのありがとうにさようならをして横たわる。眼下を流れていく、ある程度フォーマルな日常。バニラエッセンスのにおいはどこにもいない。自分のために動いていたはずだったのに、なりたい自分に ....
TVから溢れるノイズ
インターネットから溢れるノイズ
ブログから溢れるノイズ
ノイズ/情報の濁流
ヒトの生理的リズムを無視して
社会は勝手に転がっていく
置き去りにされた僕たちは
....
・
わたしの家の郵便受けには
朝になるといつも
赤い花がいっぱいに届けられる
露を含んでぽったりと
流れ出しそうな赤い花だ
どこかにわたしを好きな人でもいるのだろうか
捨てるに捨てられな ....
大きめの呼吸をスーツの内側に用意して
品川改札から人の波にとびこんだら
高層ビルという名の大きな魚の口に吸い込まれていく
ちいさな私たちは、たぶんプランクトン
生産したり分解したりの役割の中で ....
震える手で引いた線のおしまいの部分
そこから少しだけ離れたところに小さな点を打つと
その点から黒い煙が垂直に立ちのぼっていく
火葬場の煙突から吐き出されるものよりも弱々しく
煙草の煙よりはずっ ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない
誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる
*
夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
同じもの、きみと
わたしとの、
きみのように
あることと、わたしのようにあること
の、
彼女のように、包絡して
いく、
刈り取られた、夜夜の
同じものが、きみときみの
わたしに、 ....
{画像=080513015507.jpg}
春が過ぎて、
夏になった。
けれども同じように、
ぼくの目蓋は痙攣する。
ひくひくと
嗤うような調子で、
ぼくの目蓋は痙攣する。
ひくひくと ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511