きみが帰ってこないあの日から
砂時計の砂はさかさまにこぼれて、こぼれて、
しだいに、ちいさな子供になってしまう、夜
遠くで、つぶやくきみの言葉が、わたしの名前だといい
そんなふうにして ....
赤い満月が暗い密林を包む
琥珀の毛並みの一匹狼は
この本能がうずく世界で獲物を探す
純白の毛の一匹兎は
本能のまま世界を飛び回る
この世界で狼はどん欲な男
....
オメエ、死ぬのかい
――だったらよう、
せめて逝く前に鮨食おうぜ
肝っ玉据えて、俺と鮨食えよ
粋な麻暖簾くぐってさ
どうぞ勝手に席へ就いちまいな
捌いたネタと酢飯の匂い、
舎利の温( ....
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
....
あのひとから乞われた訳じゃない
成り行きでと言えばそんな感じだった
奥さんよりも私を選んでくれた
そんな幼い優越感が無かったといえば嘘になる
幸せだった頃に家族で訪れた事があると話していた ....
「平穏」という名の
鎖に繋がれていれば安全で
私はいつも、じたばたと
鎖の届く範囲でもがいてた
日の当たらないこの部屋は
いつでも、じめじめと湿っぽく
私は ....
冷却期間をおきましょう
二人が
恋にならないように
ほどよく冷却されたなら
ゆっくりと
解凍してみましょう
まだあぶないと
思ったら
また冷凍庫にもどしま ....
とんぽとんぽ、とん
排水溝へおちてゆき
プールの中へおちてゆき
海水の中にまぎれてゆき
バラバラになりました
わたしは 雨です。
いいえ、雨でした、
ともだちも形をかえ
知らない所 ....
幻想的な世界は
常に頭の中で回っている
いつしか幻に見せられて
気づいたらもうそこは知らない
隙間から見つめられている世界
回る地球は常に球体
まだあま ....
涙さえ君がくれているものだから生き抜いてみたいこの人生を
花は咲くのが仕事というのなら人はきっと生きるが仕事
とにかく
あっちに向かって
歩いてみよう
朝日が
わたしを
呼んでいるなら
この街でいちばん美味いという
来々軒のラーメンを食べていたら
いつまですすっても麺が途切れない
適当なところで喰い千切ると
あなたはひどい人だ
という声がした
たぶんメンマが言った ....
ねぇ、かあさん。わたしの初めての言葉って何?
「赤ちゃんのときの?
ぎゅって握った手を差し出して『うまー』って言ってにこにこって
笑うから、母さん、本当にうれしかった。」
うま?な ....
遠くの光は冷たい
近くの光は熱い
欲しいんだ
わたしを照らしてくれる光
わたしの手は夜の闇に融けて
わたしの手は光のシルエットに砕けて
あの向こう側に逢いに行きたい
照らしてくれる
わ ....
ひき肉を買った
何だか退屈な日常を少し変えたくて
冬のわりには暖かく
スーパーは少し込んでいる時間帯で
特売ってわけでもなかったけれど
料理レシピのサイトでふいに思い立ち
ひき肉
....
夢の中で私たちは
幾度もくちづけを交わした
あなたの唇はいつも濡れていて
舌を入れると海の味がした
まるで水中深く落ちてゆく
立ち昇る泡が遠く遠く輪を描いて
はるかな岸辺へと
夢 ....
夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま
くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける
傾い ....
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
中庭に
霜が降りる
春まだ浅き朝
もう少しすれば
太陽の光が
この白を
かき消すだろう
霜は
きらきら煌めいて
日陰の霜は
忘れ去られて
溶けることが
出来ずにいる
薄い緑の
若芽を隠して
━聞いてな━
なあなあなあ、あんたほんまにうちのこと好きなん?
どうせまた騙されてるんやないのって、お母ちゃんは笑うねん
けどな、うちはあんたのこと
なんでか知らんけど、信じら ....
キラキラした世界と サヨウナラ
ヒラヒラ浮いた僕と サヨウナラ
10年後まで生きていられる カナァ ?
飛んだり跳ねたりはもうできない
あなたが白いから
10年後ま ....
例えば
柵があるとして
気軽に助走をつけて
ひらり、と跳ぶひともいると思うんだ
でもボクは
柵の前で
怯え躊躇して
うずくまってしまう
そして
耳を澄まして
遠く遠くの ....
新しい季節へと
かわっていくなにか
さがすように風を嗅ぐ
子犬になれそう
正しいとかまちがい
とかはしらない
模造できないほんとうを
さがすように風を嗅ぐ
そん ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
愛してるよ
え!?
愛してるよ
え!?
愛してるよ
え!?
愛してるよ
え!?
愛してるよ
え!?
愛してるよ
....
恋が愛にかわる時
受動から能動にかわる
獰猛な目を輝かせ
強欲になる。
生きる意味がわかる時
苦しみの連続だ
楽しさは倍増する
自分を理解してもらえる。
自分を信じて
自分を ....
ミラノでミラー
パリで煎餅パリ
ボンでおボン
ワルシャワで悪のシャツ
モスクワでお祈りモスクわ
ハンガリーでハンガーストライキ
コルシカトウで凝る鹿塔
モナコで山本モナの子
ア ....
追憶の果て。
こんなにも狂しい夢を見ている。
君が歌った清らかな唄のなかにだけ
やすらぎを見いだす。
「サヨナラをききたくないなら
どうして涙ばかり見せるの」
「わかってる ....
涙が止まんなくて
カラカラの私
願いはサラサラ手のひらヒラヒラ
やだ、しょっぱい。
涙が止まんない
ねえ、こんなにしょっぱかったっけ?
そしてまた願った
いつ ....
人の輪ができる。
冗談言って
気づかって
けなされて
君はダイヤモンドのようだ
そんなに大切か?と喜んだら
いくら傷つけても傷つかない。
その位、図太い奴だ、と言う。
ボーリン ....
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