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あごに手を触れると
地図のようにひげが生えていた
道に迷いそうだったので
ふとんから抜け出した
トイレのドアがパタリと閉じた
目を上げるとまた
パタリと閉じた
天井に三日月が掛かって ....
庭に日の差す縁側で
かげろうにゆらりと手をかざす
つかめないな
銀のコップが透き通って
細く光る指先の丸み
着られなかった
紺の制服をまとって
うっすらとたなびくおまえ
好きだ ....
斜めに西陽の差す南向きの玄関から
黒光りする板の間を
やわらかく抜けていくと
暗い茶の間で
老人が折り重なって
お茶をすすっている
欠けた茶碗が
指先でかさこそと音を立てる
奥の部屋で ....
黒板のように冷えた庭に
青い椅子を二つしつらえ
朝の風を呼んで座らせた
そして二人で思い出した
夕暮れの曇った空を映して
川の水がうわごとのように黒くうねっていたこと
雪の木肌から生ま ....
黒々としたものが夜じゅうぼくを焼く
それは祈りであるのか いや
白いもの 白くて細かく膨大なものを台座に見立てる
それを崩す
台座に見立てたものの上に数冊の本を置く
それを崩す
....