魚嫌いの女 寿司屋に連れてきてしまった
引越しの朝は
言い換えれば
旅立ちの朝
窓を開ければ梨畑が広がる小さな部屋であった
季節が巡れば白い花が再び咲くことだろう
春の雪のように
ほんの仮住まいといえ
思い返せば数年の愛着 ....
誰が知っただろう
わたしがあの日 おふろ場で
声をころして 泣いたこと
誰が知っただろう
わたしがあの日 公園で
宙ぶらりんに なったこと
誰が知っただ ....
*
短詩が感覚的に合う。一切の説明は不要。そこにある存在を描写し配置することで無を表現できる。もともとそういうふうに存在を見ているのだから。読者の思い込みに付き合う気はないが、思い込みの底に届 ....
(春の午後)
日曜日と自転車一台をここに置いておきます。
あとはお任せします。
(シーン3 路上)
「・・・・・」
「・・・・・・」
月明かり 猫二匹
....
晴れた日に口紅を買う
いろいろ遠回りをしたけれど
やっと自分に似合う色をみつけた
女はもともと紅い口紅をつけて
生まれてきたのに
日々の雑事に追われて
いつのまにか
それは色あせ ....
冬の終わるところへ一緒に行きませんか
さやかな声に振り返れば茶色い子
翼がふるえている
寒さにふるえている
融けないままの樹氷の絵がみえる
、いつの間にかここは冬の国
もとっか ....
回る 回る 回る廻る 廻る廻る廻る転る
転る転る転る 回る 回る 登る 登る の
ぼ る 降る 降る 降る降る降る降る降る
回る 廻る 転る 転る転る 回るまわるま
....
高層マンションを
見上げている人がいる
最上階のベランダから
飛行機雲を見上げている人がいる
青空を ....
日曜日 うっかりペットショップをのぞいてしまう
生まれたばかりのかわいい仔犬が
ガラス越しにじっとわたしをみつめてくる
さっきまで泣いていたかのように黒い瞳が濡れている
この人はここから連れ出 ....
「kakidashi」は、小説や散文の書き出しがランダムに表示されるサイトだ。
羅列された「書き出し」には何の意味もないが、詩的にみようと思えば、何かそれなりにみえるかもしれないと思えてくる不思議さ ....
ちっちゃな{ルビ削げ=そげ}
いつの間にかウチの一部や
そやから、ときどき、チクリ、チクリ、
「削げ」の意味
1 竹や木の端の削がれたもの。また、それが皮膚に ....
うまれたままの
まだかたちにならない
くず星のことばを
いくつ集めて
かざればつたわる?
なにもないの 掌には
いきをすることで精一杯
葉が揺れ 雫が落ちる
私のせいではない
普段通りの朝に
『普段通りの朝』とタイトルを付け、
鏡に映った私ではなく鏡面そのものを見るために
一行あけて
喫煙所 ....
雨は嫌いじゃないけど
何日も降り続いたら
さすがに気分が滅入ってしまう
部屋の中のカーテンやクロスまで湿って
身体が重く感じるのは
雨の重力のせいかなあ?
陰鬱な閉塞感に
ついに頭ま ....
横向きで寝る
いっさいの灯りを消しても
消せないものが浮かんでくる
まぶたを閉じても
眼球が光のない世界で動くように
スイッチを切ったつもりでも
同時にもうひとつのスイッチが押されている
....
転職を考えている。
今まで肉体労働を考えてきた
しかし部活も文系で
体を鍛えていない。
勉強ばかりしてきた。
頭脳労働を目指すべきである。
自分の特技は考える事
組み立てる事。
....
その空っぽの瓶には「無」とラベルが貼ってある
そこに私たちは無を見る
その空っぽの瓶には「 」とラベルが貼ってある
そこに私たちは意味を見る
その空っぽの瓶には何も書いていない
....
夕刻の道
ヘッドライトをつけると
うす暗い未来に
灯りが
ともる
おまえのゆくべき道は
目の前にあるではないかと
指をさすように
向こうからも
ふたつの光の輪が
あらわれて ....
人の爪の根元に、白い浮島があることを知ったのは小学生の頃。
「これね、大きいほど元気な証拠なんだって。病気になると薄くなったり、小さくなったりするらしいよ」
友達から教えてもらったなんの根 ....
黒い服についた 絵の具の白色
それは汚れでしょ
心を真っ白にして 無になって……
ムラサキ色の心が 決して
虫に食われた イチョウの葉であっては
ならないなんてね
....
契約社員の給料は安い
だからアルバイトも必用になる
午前四時前 朝刊配達に出かけると
山のふもとの住宅地
時折いろいろ見かけるが
エゾシカを見たのは初めてだ
角ある雄と雌のつがい
街 ....
秋の
おだやかなひだまりを選んで
猫が
優しいけものの形で眠っている
堅いボンネットの上で
その寝顔はとても気安く
しばし駐車場で私もうたたねをする
ほんとの君の正体は
西方白虎だ ....
これからの社会は2つの道がある。
?愛に満ちた生の社会
生きる事を大切にした社会です。少数、少量で循環した系を持ち、
分け合う心を持っています。苦しみ、努力が多く大変ですが充実感はあります。 ....
きょうレインボーブリッジを2度とおった
ゴールデンゲイトブリッジは世界有数の橋だが
カリフォルニアの海風は太平洋を渡ってきっと
お台場の空を見ているにちがいない
つかの間サンフランシス ....
東の方角からその 訪れが告げられると
愛らしい小鳥たちの一日が始まる
まばゆい永遠の訪れが告げられると
嫌われものの黒い翼の一日が始まる
東の方角からその 訪れが告げられると
エスプレッ ....
やさぐれた町に、カップ酒の男がひとり
あまりにしっくりしていて、存在すらわからない
そのポケットに色あせた息子の写真があるなんて誰も知らないし、興味もないことだ
寄ってくる女はすぐに去って行く
100円で買える幸せポテチかな
ここは東京 刹那街
沈む夕陽は 茜音色
お他所とおんなじ懐かしさ
さよなら さよなら
今日の 東京刹那街
ここは東京 刹那街
朝陽の空は 菫礼色
お他所とおんなじ爽やかさ
おはよう ....
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