一月の最後のララバイは雨の歌
戸惑ったままに眠りなさいと
優しくリフレイン
ほんの傍はみえなくて
忘れられた君はでもまだ居てくれる
帰る場所はここなんだよと
人間でいられるうちに満 ....
次女の髪を梳いた櫛に付着していた
薄茶のフケのようなもの
それが動いた!
二ミリにも満たない生物が
私に与えた衝撃
一体どこでうつされたのか?
GHQが散布した白い粉によって
やつらは絶 ....
ぼくはまだ生まれていなかったから知らないけれど
シーボルトさんはこどものお年玉に一両あげていたでしょうか
ぼくの祖母さんは裏藪で竹の皮を集めて
一厘とか五厘とか 子どもだったお父さんの小遣い ....
白い花
黄色い花
青い花
さくらの花
葉っぱになって
薫風に揺れ
あおくなって
どんどん
蒸してきて
赤い花
きつい色の花
、気がつくといつか
落ち葉と枯れ草
みあげれば裸樹 ....
記憶のほとりに座り
流れてゆく断片を
拾い集めながら暮らす
また泣いているけど
誰かに知ってほしいからじゃない
とつぶやきながら
、何をしたいのか
みえないから
つくっているのだろ ....
そとに出ると
花が増えている
風ならきっと南から
踏みしめるアスファルトに
いつもの靴はよく馴染み
足りない
違うと思う
そうじゃなくて
そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
....
夕日が沈むよ
きょうが死ににゆくよ
西が自分の墓場だと
ちゃんと知っているんだね
私には自分がわからない
舵取りもできない
そしていつかはこのまま
失ったまま終わるのだろうか
....
薄暗いその部屋で わたしの足にそれは抵抗した
拾い上げると白いおりがみ
おりがみだと思い込んだのは それが真四角だったから
左下に気持ちの悪い折り目がある
不幸なことに 左下 ....
あの日
さくらの頃
ピンクのセーターのなかに
白いブラウスそして
赤いスカートの
あなたがはにかむ一枚を
十二年後のいま
みているわたしはもう
さくらからは遠く
あなたより恵まれてい ....
一月も終わる
暖かな日曜日
夜になって
北西風が窓を叩く
ヘッドフォンしてなくてよかった
コブクロより君がいい
だって風よ君もずいぶん
さみしそうに聞こえる
こんな時にはあの砂場
バケツとシャベルと連れ立って
こんな時にはあの池の
ドロドロ具合よよみがえれ
シロツメシロツメ踏みしめて
むしったっても罪知らず
隣の畑のレンゲ草
この子の次の ....
北の海
冬のモノトーン
旅に出ます、なんちゃってさ
*平成22年3月 詩集「十二色入り」より
泣いたって
泣いたって
壁は応えてくれない
でもきょうも
ほらいまも
だってほかに宛てないから
君は遠くて
あの子も遠い
あなたは死んだし
あの仔も死んだ
さみしくてたまら ....
ピョンヤンの街が日を跨ぐ頃
乾いた靴音で少し先を行く
女 ロシア人だろうか
街灯に照らされて
骨盤で風を切る
右に左に揺れている
おしり
尻視欲 と 抑止力
激しい激しい
せ・め・ ....
初詠みで詠みびと知らず一首置く母さんあけましておめでとう
晩秋の苗からの君ベランダで匂う名前はパンジーという
ヒメジョオン春に一筆書くけれどごめんノースポールが可愛い
ラグラスかバニーテールかどちらでも可愛い君を呼ぶに足りてる
....
十二月下旬となればこんな日は夕日がかなしい歌うたってる
冬を言えそう言われたらわたくしはさびしいですと供養塔向く
リカちゃんもバービーもいま持ってない捨てた記憶も持ってはいない
....
思うのはみんなさくらのことなんです花びらみっつほしい病床
朝 目覚めたら
鳥の巣箱の中にいた
市会議員選挙の告示のニュースが
母屋の方から聴こえてくる
体を起こし 何となく上を向いて
首を伸ばしてお口をあんぐり
母がテントウムシを口移ししてき ....
キシキシと音立て羽ばたく{ルビ凍蝶=いてちょう}
温かいご飯
温かいお風呂
温かい布団
この三つは
心まで温めてくれる
寒い冬の夜
わたしは寝る前に
下布団とシーツの間に敷いた
電気毛布のスイッチを入れておく
しばらくし ....
けぶる空 さよなら
いつか またね
わたしを待っていてくれるのなら
きっと すみれ色で出迎えて
真夜は訪れ
いのちたちは
息をひそめる
ちいさなさよならの
行き交う街角
きっ ....
「ほろにが ください」
「いつもの ですね」
「そうです ほろにが」
あの{ルビ娘=こ} またほろにがなの
あの娘 まだ年端も行かないのに
あの娘 いつもほろにがなの
味 わかるのかし ....
あの{ルビ娘=こ}が部屋から出なくなって
もう既に一年の半分が過ぎたはず
年越し蕎麦も初詣も
僕へのチョコレートも無かったね
あの娘の部屋は
もう既に取り壊しが決まってる
古い古い ....
裏庭から
裏山を眺め
じめっとしたプライベート
地球は動いている
だから ぼくらは眠る
子孫のために 先祖に祈る
朝のじゃこ粥がうまい
俺の前ではみんなS
従順なあなたのわたしは疲れ果て
我がままなわたしのわたしが怒り出す
そんなわたしは、信じてあげていい
きみは五年の長さを知っているか
経つ、の意味を知っているか
帰らぬ意味を分かっていたか
どこへゆくのか悟っていたか
わたしは無防備だった
知る、分かる、悟るからは遠かった
でもいまでは ....
本当は違うんだよと
言える、言えない、言える、
言えない、
汽笛が聴こえる部屋ならば
きっと届けるこの思い
列車の駅はすぐのところで
かならず乗せてくれるチケットもある
ポケットを確 ....
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