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久しぶりに洗車する
マスカラが涙で落ちたような数本の薄汚れが
泡とともにコンクリートへ流れていった
この数日
見て見ぬふりをしていたものに決着をつけてほっとする
助手席に乗せた犬は真顔で少し ....
小さな小さなキミは
迷路遊びが好きだった
渦巻きの道を
ぐるぐる進む
勇敢な旅人
お気に入りの小さな雨靴で
ずんずん歩く
僻地で
草も花もない道だったけれど
ときおりバタークッキーの ....
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
朝、いつものようにキッチンに向かう
痛っ、イタタ
キッチンの入り口にぶら下がっているのれんに頭をぶつけた
昨日まで柔らかい麻布だったはずだったのれんが
硬い板状の物体と化していた

一体こ ....
{ルビ冬の雷=ふゆのらい}マクドナルドは混んでおり

紙の白寒しインクは北斎の藍

餅の黴削ぐ母在りて台所

冬苺 逢いたい、だなんて今さら

倒れこむ人の音かと しずり雪

空咳 ....
ちいさな灯りを枕元に遺しておこう
キミが真っ暗闇でも
夢を掘り起こせるように

閉じられたまぶたの下で
かすかに動く気配みせる眼球

昼間の世界とは別に
もうひとつの世界があると知った ....
「明日は黄砂が降るでしょう」
天気予報の声はAI

曇りマークのない混じりけなしの晴れマークなのに
洗車したばかりなのに
布団は干せないなあ
とか 少しばかり
黄砂のことを恨んでみる
 ....
夏の雨が降るとやってくるシロイルカ
冷蔵庫から勝手にサーモンなんか出して盗み食いしてる
(いいけど、いいんだけどね。そのために買っといたんだけどね。柿の種もあるよ)
腹が満ちたら、さてっと、やる ....
あんまり桜がきれいだから
少し寄り道していこうか
寄り道はいくつになっても
心が踊る

野焼きを済ませたばかりの土手は
あっけらかんとした楽しい黒焦げ
ショートカットにしたばかりのうなじ ....
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい

川のほとりで
すすきが日光浴している

若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささや ....
ぐるりとしつらえられた
アイアン製の肋骨
鳥は出て行ってしまったけれど
残像として
生きている 今も

初冬の夕暮れはまばたきするごとに暮れ
憂うるわたしたちは夜を迎え撃つ
そのうち弾 ....
人がいなくなった庭は
草がぐんぐん伸びて
かつてその地に眠った心臓のありかを隠した
もう探し出せないし
探そうとする人もいない
よく見ればブルーベリーが細々と実り
小鳥が集う楽園になった
 ....
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
 ....
この世でいちばん大きな生き物は何だとおもう?

暮れゆくばかりの秋の問いに
ふとたちどまる
たちどまることは忘れがちだけれど
時折とても大切だから
スニーカーの靴底で
きのこをおもう
 ....
降り始めたちいさな雨粒を
ひとつひとつ
こぶしで撃っていく

敵のいない闘い
ボクサーのロードワーク

撃ちきれない雨粒のなん粒かは
火の玉になり
眼球の中で
また、道々の砂利のす ....
犬が
風に毛をなびかせている
冬毛はやわらかな鎧
夏毛はワーカホリックな諜報員
さっぱりと生まれ変わった夏毛たちは
世界を傍受する

遠い国のミツバチの羽音
湖でおぼれたアリがもがく音 ....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした

それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた

あれはやっぱり声だった ....
祖母を助手席に乗せて島へ渡る。「死ぬる前に海が見たい」と彼女が言うからだ。高齢ということを逆手にとって(ぴんぴんしてるくせに)欲望を叶えたいとき祖母はいつも死ぬ前にというワードを足す。すいっちを押され .... 足で漕ぐのは
オルガン
という名の舟

音符の旅
息でつなぐ
ときおり苦しくなって
とぎれる
生きていたという波の上
気配だけになった猫
ふんわり鍵盤の上を渡る

秋の日は
 ....
波の跡が
空に残って
だけど
いつのまにか風が消していく
秋の雲はことさら
はかなげで
明日にはもう
冬のものになってしまうだろう

空は
海のなれのはて

今はもう絶滅した海 ....
 とある街で

金木犀が香る
だけど金木犀はみあたらない
探しているうち
何年経ったろう
すっかり風向きは変わってしまった
行きついた先で
仕舞い忘れられた
軒先の風鈴が鳴った

 ....
台風のあと散らずにいた
白い小菊の花びらの中に座り
濡れた髪など乾かしながら
やっとひとごこちつく
清涼な香りに
生き返るここちする

草むらで横たわった猫は
生き返らなかった
その ....
夕闇に溶けてゆくまでほおずきは小さな庭を灯すままごと

窓際にほおずき掲げ猫を待つおまえはどこに行ったのだろう

ぴりぴりと外を破れば顔を出すほおずきの内はト或る秘め事

昨日より幸せにな ....
夜のまぶたは
だんだんに重くなる
(誰かの優しい手で撫でられているから)
歯磨きのミントの香りもなくして
完全にこの世界が閉じられて
安らかな眠りを得るまで
安らかな死というものを
ふと ....
朝が来たらしい

いつのまにか雨の調べは遠ざかり

ぼんやりと明るい
そして
うっすらと温かい

光が温かいのは
きっと誰かが決めたこと

光が遠ざかれば また
冷たい闇に抱か ....
月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
猫の喉奥から
小さな雷鳴が聴こえる
やがて
雨が降ることだろう

さみしさを埋めようとして
猫を飼うということを
怒っているのかい、

六月の保護色みたいな灰色の毛は
なでられる ....
月の砂漠のベンチにも誰かが座った体温がある

明るい雨が降る砂漠一輪の誰かの薔薇になりたかった

ダイヤルが周波数を捕まえて指に伝わるピアノ・ソナタ

近くまで来たからちょっと寄ってみたア ....
熟れた苺は
三温糖の甘さで身をもちくずし
林檎は
シナモンの香リを身にまとわせながら
北国の樹を忘れてゆくだろう

{引用=ずっと果実でいたいという純心は
換気扇のはねに吸われて}

 ....
冬のあいだに育った
ふわふわの毛に包まれてみる夢は
ねじ巻き振り子のようにかなしかった
(なんでアンゴラ山羊になどうまれついちまったのか)
けれど
春のひざしに
あたためられて
気化して ....
たまさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(252)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
助手席に犬を乗せる- そらの珊 ...自由詩10*24-2-10
渦巻き迷路- そらの珊 ...自由詩9*24-1-26
対岸まで- そらの珊 ...自由詩12*24-1-22
のれん- そらの珊 ...自由詩8*24-1-18
冬の雷- そらの珊 ...俳句3*24-1-15
眠りに埋もれた夢のいくつか- そらの珊 ...自由詩6*24-1-15
黄色い砂たち- そらの珊 ...自由詩10*23-12-9
シロイルカとの日々- そらの珊 ...自由詩8*23-8-7
春の雪- そらの珊 ...自由詩8*23-4-5
日光浴- そらの珊 ...自由詩9*22-12-12
鳥籠- そらの珊 ...自由詩6*22-11-26
青空オルガン- そらの珊 ...自由詩9*21-8-6
西瓜な季節- そらの珊 ...自由詩9*21-8-2
きのこは愛なんか歌わないけれど- そらの珊 ...自由詩14*20-11-6
ボクサーと燃えたカエル- そらの珊 ...自由詩13*20-7-4
アンテナ\ネバーランドはどこにもない- そらの珊 ...自由詩919-7-17
梅雨空に- そらの珊 ...自由詩23*19-6-8
まにまにダイアリー③おっくうがるはいずこ。- そらの珊 ...自由詩319-5-11
秋の部屋/えあーぽけっと- そらの珊 ...自由詩2218-11-5
思慕- そらの珊 ...自由詩17*18-11-1
ダイアリー- そらの珊 ...自由詩16*18-10-5
花暮らし- そらの珊 ...自由詩17*17-10-30
ほおずきざんまい- そらの珊 ...短歌5*17-10-12
出航- そらの珊 ...自由詩18*17-10-10
柘榴の国のお姫さま- そらの珊 ...自由詩13*17-9-29
秋窓- そらの珊 ...自由詩25*17-9-8
そういう生き物- そらの珊 ...自由詩15*17-7-10
風と旅する- そらの珊 ...短歌717-5-17
五月はジャムを煮る- そらの珊 ...自由詩15*17-5-6
アンゴラ山羊のみる夢は- そらの珊 ...自由詩14*17-4-8

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