モンタージュ
Lucy
うろおぼえの風景の中を
戻って行く
繋いでいく
抜け出したい
と思った時
光が見えた
根毛を伸ばし
水を吸い上げる
双葉を拡げ
光を浴びる
暖かかった
柔らかかった
冷たかった
硬かった
寂しかった
寒かった
美しかった
嬉しかった
ヒトのあらゆる感覚が
まっすぐに
伝わってきた
わたしは誰のふりをして
抑えられ
隠されてきたか
誰になりたくて
吊り下がり
乾いていったのか
幾片かを欠落させたまま
輪郭を保持するジグソーパズル
のようにではなく
摩耗したわずかな土器のかけらと
違うかけらとの遥かな距離を
白い石膏で埋めながら
記憶に向かい
立ちあがってゆく炎の姿
ヒトの想像力の前に
私は息をのむ
どんなに遠い歴史だろうと
土深くから掘り出され
いつか
私たちの世界の虚妄を
照らしだす
青白い光が降リそそぐ朝
伐られた木々たちの影が
雪原をどこまでも伸びていく