部屋の窓にヤモリがいる
よっぽど気に入ったのか毎日張りついている
そのうちもう1匹住みついて
今では赤ん坊もちょろちょろうろついている
ヤモリの一家はよく虫を食ってくれる
家守は本 ....
100726
軽々と海を渡るからカルガモ
海を渡れないのがアヒル
ケリを入れるのは昼
中学生のくせに
朝から飲んだくれているのがグレ
一緒に酒を ....
理想の母とは
いつも友人の母だった
決してとることのない仮面の笑みが
もたらす安心の温度にほどけていった
なぜ母は私をよぶとき
まゆげをきりりとたてているのだろう
目の端が尖っているの ....
積み重なる日常
怠惰な瞳を凝らして見ても
モノトーンな色彩が
おまえの心を締め付ける
何も変わらない
おまえはそう呟いて
何事もなかったように
うつむいたまま家路につく
....
山岳部だった。山は眺めるものではなく、征服するものだと教わった。そのころ使っていたピッケルやハーケンなどが、刑務所近くに建てたバリアフリーの我が家の壁に、今でもぶらさがっている。
四季を通じ ....
昔には流れ星のことを
天つ狐といいました
空のマッチ
狐尾が灯す狐火
天つ狸といったら何でしょうか
ぼわわんと
化けたら化けたで
一晩中そこにかかっているだけの彗星?
一晩限り ....
雨を収めた油燈を持ち
光の先を追っている
呼吸の近く 銀は増し
振り向くたびに水は映え
標と標の会話をふちどる
沈む沈む
水は遠く 地も遠い
話しながら髪留め ....
季節風を操作して
思い出を計測するための
単位を探している
藍色の総譜には
奏でられない音符
アレグロの雲の行進
秋の実りにむけて
受け取りきれない
痛みと喜びを
....
抜けられぬ肌いちまいも超えられず「苦しい」と笑う夏 午前二時
不格好に欠けた{ルビ湯呑=ゆのみ}が
窓から光をそそがれて
嬉しそうに
{ルビ煌=きら}めく{ルビ水面=みなも}を、揺らしている
みえるもの
触れるもの
ゆれるもの
遺された体温が、シーツの
皺にまぎれ
薄くひかっていた
指で掬って、軽く混ぜて
水の匂いのような
ものと遊びながら
何 ....
※アメリカのライト・ヴァースの経緯については「ライト・ヴァース雑感2」をお読みください。→https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=215625
こちら、 ....
反響している>拍手はおめでとうという意味だったが <壁と壁を行き来して >徐々に薄まりもう残っていない <うすくしろいバスタブ >詮をぬくと水がつつぬけていく <逆方向 >ずぼずぼと音をたてる <反 ....
夜の夏に迷って
昨日の夏をたどった
歩きつかれて座る
椅子は今日もある
太陽は沈んで
君を隠してしまった
星の君は優しくみえる
ほんとの君みたいに
過去にもどされてみたかった
....
頂点を仄青く明滅させる三角形が
部屋の片隅に居る
銀のお手玉をしながら
華奢なアルルカンが宙を歩いて過ぎる
星のいくつかが
音符に変わり また戻る
硝子瓶がひとりでに傾き
グ ....
十年、こもった
もう良いかと思った十一年目の春
伸びた髪の毛が邪魔だった
二十年、こもった
意を決した二十一年目の夏
世界の熱量に敵わない気がした
三十年、たった
重い腰をあげた ....
瑠璃色 空がはぜる
祈る子の贖罪がおわって
世界に太陽を取り戻した
水面に満ち足りて
みなぎる光を
トンボたちが拾っていく
きらめいて
またふりまいて
運びきれない
....
三角方眼定規で
下くちびるを切った
風が薫って
夏草が
指から
ほどけていった
立体裁断で
ドレスを裁つ
いつだって
晒されぬままの布に
踊り
今はおそらく
泣いている
....
{引用=
夕方の交差点にあふれだし出会う
苛立のつぶては骨までずぶ濡れにして
肩の汗に流れず浴室は
からだの痛みと感情の軋みをうったえる場所
真夜中につぶやきをひとつぶひとつぶ垂らし ....
雨を欲する街が
コンクリートのサバンナだとしたら
ぼくは群れからはがれた
いっぴきのガゼルになって
待ち伏せていた風に食われる
舐めてもいいよ、と
赤い花々のうつわがひらき
惹か ....
夕立に西日がさす
顕れた私の表皮のように
小さな個室にて
スチールと硝子の板が
点と点で結ばれてゆくのを聴いている
白いシャツの青年が
自転車で脇をゆく
ずぶ濡れの帰り道には
明日 ....
高層ビルのマンションが
あまく灯るころ
隣のビジネスビルには
まだ冷たい灯りが残っている
欲望と
欲望を支える人々の
コントラストの
夜景が今日もまぶしい
明け方
....
みんなで
海、行こう
今すぐ行こう
水中メガネなんて
海で買えばいいよ
母さんの
あの向日葵のボレロな
裾をめくって
叱られる前に
駆けぬけようぜ
追いかけて
波を追いか ....
僕は
夕焼けになった
君を照らそう
君の頬を
遠くで
生きる君のこと
僕は
君を照らすことで
君の虹の
ほんの少しの
スペクト
そこにまぎれていこう
君の奏でる
....
境界を分かつ分厚い朝の4時
最近、ライト・ヴァースや大野 新という詩人に興味があり、調べたりしたのですが、本が図書館にあまりないので、その二つの言葉でひっかかった天野 忠の詩集を借りました。
ところで、ライト・ヴァースって ....
はやく留守電になれよ
追いすがるような絵になってしまうじゃないか
用件さえとどけばいいんだよ
夜のカラスがちぎれて言った
留守電までの時間6秒ぐらいにしろよ
夜が明けきらぬうちに
息で曇ったメガネを通して
見える街灯の明かりは 屈折して
一つ一つが
完全な円形の虹のようだ。
こんな時 寝床では まだ
おそらく 多くの人がもぐったまま
それ ....
100702
地震が来るとブロック塀は崩れやすく
危険です
3段以上積むのは非常識で
人の安全を考えない自分勝手な人です
新しい標語 ....
こずえとこずえをむすんだ線で空を区切ってください
右側にあるのが悪い雲
左側にあるのが良い雲です
どちらにも雲がなかったら
そこが天国です
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