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エアコンのごーっという低い音で部屋はゆらめいて、またたき、のような、わたしたちは、いつもまたたいて、細いろうそく、生まれたての火のよう、なにもかもつけっぱなしで、スイッチも ....
とおくからデッサンしていた。いつも。
▽
減ってく音にまもられてた。はいいろにぬりたくったせかい。りょうてとりょうあしを伸ばしたらなにかにあたった。これがぎりぎり。 ....
きみのおくの ひかるとかげ
ねむそうで やさしいしるし
触れようとした すこし
ここも ひんやりと
朝の気配に 湿ってしずかだ
空になったペットボトル
森のなかの ....
シンプルに濁点をひろう
歩幅は正確に保ったままで
ぼくたちにはちいさな物語しかない
そうしたフレーズには語弊があって
信号に、プロミスの看板に、防空壕に
わらいながら灰色の花をか ....
きみがイクときイったときイったいまを感じます、
ひどく硬い音のつるでした、まるで噛んだ噛んだまま、
やみくもな金属のいちぶになってしまいなさい、
ほそくおれて終わりになってしまいなさ ....
毎日はどこまでも続く微熱のテンション。きのうのじぶんを殺しながらめざめた。散文の日々。ネジを閉める穴が空いていた。見せびらかすように、太陽で暖まる前のコンクリの上を急いだ。
....
pray for.
ある、祈りがあった。そこ、ここに立つ、柱があった。薙ぎ払い、覆い尽くす水があった。黒い水があった。語るべき言葉はなかった。奪われたまま立ち尽くす、今、今の物語 ....
ウルトラマリン。ここは深い海だ。部屋に積まれた延滞のDVD。小さな囲いをつくってきみと1000年間ねむってる。名前も忘れられた古生代のさかなみたいに。だれもたずねてこなかった。枯れた窓 ....
朝焼けをふたりじめして。
舌に乗せたらいいよ。ひかりのバター。
とけるものは。ぜんぶさみしいから。
すきなもの。屋上にあるもの。
給水塔。ふるい排気ダクト。
埃の匂い ....
古くなったクリアファイルは
表に細かな傷がついていた
ひとつ拾い上げて、爪の先で
かたかたと光の溝をなぞる
そこに流れていたものを確認したかった
旋律に音がないなら
ゆっくりと ....
罵倒してもよかったんだよ
ボディソープの淡いにおいのぬけがら
輪郭だけ纏おうとしても
乾いた夜に、まぎれて消えた
皺の寄ったシーツと
その影の濃淡
なにかに傷つきた ....
*
ケータイてふしぎ。緑やら黒やらちいさくひかる固まりを手にとりそれぞれの速度でひとは文字をなだれこむ。きみの分身をうすくふりつもらせる。地上絵はモザイクのこうずいみたいで。 ....
みえるもの
触れるもの
ゆれるもの
遺された体温が、シーツの
皺にまぎれ
薄くひかっていた
指で掬って、軽く混ぜて
水の匂いのような
ものと遊びながら
何 ....
あとの2分30秒は余分だったから、ipodを一時停止した。すきなものもきらいなものも、足りないくらいがいい。筋肉質に憧れている。
週末午後の烏丸通り。春の空気は煙ったような青。し ....
くちびるからこぼれた息の糸は青くのびて、しなやかに細い鋼材として夜を螺旋した、あなたと交わした指止めはあまり物の工具のようで、小さな廃墟のテーブルと、小さな廃墟のランプと、よわい背 ....
メガネをかけたままキスをしてもかちゃかちゃフレームが触れ合うばかりで、ひろすぎる部屋の中ではほかになんにも音がしない、孤独とはこういうものだと不意に悟ってしまう夜があった、わたしにもきっとあな ....
ミスったっていいじゃん
アイラブマクドナルド
君のゆめには
カロリーが足りない
点滅信号のループ
タイトルの長い歌を
ひくい音量で流してた
どのガードレールに
ぶつかればよ ....
さびしさは針金のように折れ曲がり息を低くひそめていた、キーボードを叩いてもaやoの母音は狂っているから、わたしたちは正しく夜を装飾できない、室内灯ひとつで照らしだせる安心の内側でねむってい ....
良い係会をしていた
わたしにはいつもビールが足りなかった
九条葱の鍋を頼むには予約が必要だった
足りなかったのはいつもビールだった
架空に計上された注文票が
どこか遠 ....
無防備な機械が肩口からのぞいているので、見ていると胸を締め付けられる気がする。きみは突堤にちんまりと立ち、用途不明の其の羽を気持ちよく海陸風になびかせている。明けがたの水平線は紫とダークレッド ....
暗闇のつくりかたはおしえてくれなかった、調剤を違えたことで淡くにじむ夜に、わたしたちの薄い網膜は死にかけたダイオードのようにうつくしく墜落していく、埃を纏ったディスプレイの熱を、いくつ ....
フレデリカ、日々は
青い円筒のかたちをしている
耳栓をきつくしめて
きみのための水泳をつづける
硬質なつめたい水面にはじかれるのはよわいこころだ、よわいこころだときみが ....
やわらかく、いま
はっきりとした
輪郭で、ミシガン
名もない傾斜に、着岸
している、濡れる
髪のひかり、ひそやかな
荊、起き上がれずに
うわごとのように
ミシガン、破れ ....
ちいさな腫瘍があった
おそらく、せかいというものから隔てられた朝
ぎこちなく、触れることで
ぼくらが確認していたのは
痛みだったのだろうか
{引用=
この詩は、きみの
平 ....
キコ、あの頃みたいに
カッターナイフ遊びがしたいよ
廃校の裏に捨てられた注射器に
ためた雨水を夕陽に透かせば
遠い異国へ運んでくれる
琥珀色のモルヒネになったね
キコ、無人 ....
ラムコークのきらきらする泡を
退屈そうに、くだき
ちらすように
わたしのやさしすぎた
まちがいを
切っていった
微粒子の単位で
つきささる凍てつきの
ちりちりする
い ....
触れあうと 音もなく
はがれ落ちた 鱗は
ひとつひとつ 淡く発光して
僕たちは 喪失のただなかに
いびつな突起物を
あてがいつづける
いくつもの 鮮烈な傷跡を
つめたい指 ....
かたん。
わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅して ....
ゆうぐれをあびると
くびすじから、すこし
てんしのにおいが
する
だから もういちどだけ
とべる
きみも ぼくも
もう もどってこれない
こくばんに
らくがきしたかっ ....
夏のおわり
夜風をあつめて
帆をたたみました
骨のぬるい晩のことです
しん、と澄み切った屋上の一隅で
片付かない、ちっぽけな一匹のままでした
(金属製 ....
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