こずえとこずえをむすんだ線で空を区切ってください
右側にあるのが悪い雲
左側にあるのが良い雲です
どちらにも雲がなかったら
そこが天国です
今年の梅雨は
ながく暗く
何もかも腐らせてしまうまで
終わらないようだった
水道の蛇口をひねると
締める直前に
白いクラゲのようなものが
ぬるりと出てきて
コップの中に浮かんだ
....
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている
水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るため ....
{引用=
夜が融け月明かりには雲の群れ網戸越しには緑が漂い
音が消え鼓膜に伝う夏の声雨上がりには雨乞いを
風を撫でていくゆびさきしなやかに瞼の裏で星を見ている
....
昔々の思い出です
冨山の薬の置き薬屋さん
いつも風船くれました
使った薬がないときも
怪我も病気もないほうがいいと
笑顔で風船くれました
冨山じゃないけど置き薬屋さん
今は銀色ジ ....
握りこぶしに八割の水分
寝具に横たわり
タンクトップも脱いでしまって
タオルケットに巻かれてしまえ
コットンが素はだかを優しく撫でる
身体感覚が昇るからうつぶせを楽しんで
ひと ....
ひとつしかない
祖母の乳房を
ぼんやりと見ていた
そういうものなのだろう
と思っていた
幼かった私
手術したのだ
その晩
どれだけの悲しみに
打ちひしがれていただろう ....
わたしが金魚の頭を
撫でているころ
ぼんやりとした扇風機は
薄暗がりの中で首を振り
幼い子どもが一人
どこかで帰る家を探している
ここだよ、と言っても
それはきっと
ただの ....
インディゴに染まる星空の果てに
ピンク色に輝く地球があって
だからこの手紙は
あそこからやってきた
皺くちゃの状態だったと思ったけれど
手紙が言うにはこれは正当な折り方で
かみひこうき ....
蝉時雨
もうすぐ初盆です
と言った義母の心が
くみとれなかった
その気持ちが解らないまま
私の口からも
同じ言葉が出てる
蝉時雨
記憶をたどろうとすると
嫁は不思議そ ....
日曜日
おまえと遊ぶよりも
おまえに見送られることが
多くなった
きょうもおしごと
といって
目を合わせて
目をそらす
自転車に乗せて
おまえと出かけられる日は
....
孤独でない人間なんていない。
その事実だけが、私を安堵させる。
職場の上司が、手品を始めた。カード手品ってやつだ。時々、その成果を披露してもらう。だいたいは金曜日の飲み会である。飲み会自体が手 ....
僕が持っている定規は
真っすぐな線が描けない
真っすぐな線を描くには
その定規の真っすぐな部分
それはほんの小さな部分しかないのだけれど
そこをずらしながらでないと無理だった
....
朝の訪れるたび
切り離されたからだを思う
昨日との交信が途絶えて
寄る辺ない
なまぬるい風に
輪郭を確かめる
季節がしみこんでくるのと
季節に染み出していくのが似ている ....
二十才
三十才と
越えて尚
胸に迫るよ
大したもんだ
彼女はきれいなシールをたくさん持っていた
そのシールを貼れば
どんなに汚いところもきれいに見えるようになった
彼女は通る道通る道にシールをどんどん貼っていった
それまで汚かった道も
....
僕の体重で沈むクッション
赤い残像が
まだ眼の隅にチラついている
暗転した部屋
何が起きたのか分からない
あれからときおり
たくさんの音が囁くのをやめたり
残像が色を取り戻したり亡く ....
かつてランボオという名であった
その喫茶店は、真昼も
赤煉瓦の壁に、洋燈を吊るし
仄かな灯を、ともしている
在りし日の作家が
夭折した友と懐かしい時を過ごした店の前で
あ ....
食卓の
醤油のように
泣いていた
女が一人
わたしの部屋で
醤油には
白いお塩が
入ってる 黄色い豆も
言い訳しないで
美しく
一升瓶を
抱えてた
彼女はお酒
....
夕暮れ中央道にのり込んだ
明滅するテールランプが湿度ににじんで美しい
すべての初めては心を激しく呼んでくる
生きている
くるしいし高ぶるし泣きたくて笑いたい
センテンス
台 ....
とまどったかたつむりたち目の前に信号がまだ青にならない
くちびるの荒れぐあいさえ忘れてる降り叩く雨呼吸の中に
いたむのは見とれすぎた胃ぶくろで蒼ざめるのはあなたの番だ
以上を持ち ....
もめんの色
出会い
かりそめ
息をつく
蒸気をとおして
戻すつながり
熱さまし
衣ずれ
目的地
季節と、契る
ちらばった雲に
指をさして
100612
晴れたので
トロンボーンを吹く
トランペットだと
昨日の人が泣くのだ
夏が来たと騒ぎだし
夜の石を捜し出す
晴れたので
....
うす青く空にひらいたドアの隙間から
輝く雲が覗いている
今も遠くはなれて君をおもう
見えない手のひらで
君をそっと抱き寄せる
(いつの日もよすがを探している)
(途方に暮れて)
あるいは ....
カニミソ2 / 番田さん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=211270
からっとしたユーモアに、若干ただよう物悲しさ。このなんとも言
えない ....
缶切りで鯖味噌缶を開封し背中まるめてわぶわぶ食べる
薄荷飴ひとりで舐めてさびしがる君のことなど想ってみつつ
朝刊の明朝体が目に刺さる夜明けどこかで鳥が鳴いてる
晴れた日の午睡が好 ....
そらを蹴って
そらを蹴って
つま先の
その先にある
ちっぽけな
ボクのうでが
鉄棒を
グンと引いて
成し遂げた
小さな充足を
夕暮れが
優しく包む
それだけで
よ ....
雨はまだやってこないらしかった。私だけが蟹をとり続けていた。友達はワゴンの中で寝息を立てている。カラフルなポールスミスの紙袋は、まだ彼の眠りを妨げているはずだった。青いバケツの中に一杯の蟹が溜まっ ....
100525
木漏れ日が地上に撮すのは
我らが太陽
吉祥寺が叫ぶ
渋谷はその名の通り渋い顔
しかたなく新宿に向かう
途中の明治 ....
海岸線に寝ころんで
国の皮膚が破れたところを見ている
ざぶざぶと水が侵入しては
さらさらと砂を溶きほぐして
ありきたりに
去って行ってはまた侵す
起き上がり
波打ち際に立って
まだふれ ....
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