デイサービスに初出勤の日 
助手で乗った送迎車の窓外に 
前の職場の老人ホームを去る時 
手を握りあったお婆さんが散歩道で 
杖をつき、せっせと坂を上っていた 

( 僕も、新たな日々の坂 ....
「人生は、まさかという名の坂がある」 
ある日、同僚は言った。 

愛する{ルビ女=ひと}と結ばれた僕は 
30年住んだ実家を出て 
12年詩を朗読していた店が閉まり 
10年働いた職場か ....
有給休暇(というか、夏休み)をなんとか2日取り、
新幹線に乗って、
ある地方都市のセクキャバへ出かけた。
どうして、駅弁というのは、
列車が動き出さないと、開ける気にならないのだろう。

 ....
ついに漂着した朝は
まっしろくて水浸しでカーテンは透ける
明るいな
きみのよわい視力
それに傷つけられたわたしの背を
すこしぴんとさせるようだよ

ねむり
に、かたちをあたえようとする ....
かつてはお日様の下を気ままに舞い
華やかさを振りまいたであろう羽
埃にまみれてすり切れて
ひっそりと落ちている
楽しかった夜が明けて
魔法のとけた朝を迎えた様に
信頼で結ばれた関係が
ひ ....
                 110729
朝が早い
草の息吹を聞きながら
根本を這う生きものたちに嫉妬して
火炎放射器をぶっ放す
燃料が無くなり
あたりはうっすらと黒こげになっている ....
インドから来た 一隻のタンカーが 岸壁の前に泊まっていた…
だけど海は それを知るにはあまりにも広すぎた…
私の好きだったことは 一体 本当は なんだったのだろう
季節は 流れていく
そし ....
再び僕等は、ヴェールが落ちるのを見る。 
いつも目にする当たり前の風景達が囁き始める。 
新しい星空が僕等をさし招き 
魂は更なる旅路を、歩むだろう 

世界は僕等のまわりで 
新しいサー ....
「リサイシャです。」 
突然の呼びかけにハッと顔を上げる
カウンター越しにその女性は佇んでいた 
小さな女の子を二人連れている 
一瞬 何と声をかけようか戸惑う


胸の底に沈殿している ....
虹のない/あるせいかつ / コーリャさん
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=235936


すばらしかったです!現代詩フォーラムでも屈指のポ ....
緑色が波打って
濃くなって
育まれている
数えきれない夢たちを
数えてみる試み

1から10まで
10からまた1にもどる
5、くらいでたいてい数を忘れるから
また1にもどる
本当の ....
水浸しの裸を抱いた。夜のどくどくと凪いでいる日々だった。



川はあかるく光を受けて、真っ赤に血液のようにきっと球体をはこ
んでいく。すべての一過性がここで収縮している。看取り、看取ら
 ....
ぼくはいびきをかくらしい。
知らなかった。
なぜ、知らなかったかといえば、
ずっと、
ひとりで眠っていたから。


ふたりで眠ってみたら、
ぼくが、夜中に、
なんどもおしっこにいくの ....
とくん、とくんときみはうなずいて
真昼の空をひろげてみせた

背伸びして手をのばしてもまだ遠い
青の時間につつみこまれる

目をふせて きみは何かを想ってる
雲にかくれた月に似ている
 ....
僕は僕に必要なものを探して夜の帳の向こうへ旅立ったのだ。
冬山の上の祠にしゃがんでいると、尻の底から冷えてしまったが、
震えているのは僕だけではない、町にちりばめられたフォトンたちもだった。
神 ....
天井をかき分け浮いてまた沈む浮遊した昼チャイムは重く

ざわつきも混乱も日々続いてく国道沿いを見ては陽炎

いつだって風を待ってる蜃気楼オアシスがすぐそこにある

さみしい季節だと思ってた ....
(明日の朝には正確に、明日の朝が訪れている)

いつの間にか月は食われた。ムーン・バイト。気づいたら鳥のビューで見渡していた、よほどたどり着けないと憧れた真っ白い地点から、まさかの中心の遠心のほど ....
暗い街灯はくらいままシャッター商店街を抱え埋められた運河を踏みつけながらだましだましつづいていく沈みかけた灰色のこの街みたいに自分をだまし言い訳ばかりする口の動きと言葉の響きがずれる人々が低気圧と湿気 .... ダイヤモンドより確かな一瞬に
石版みたいな青い空をみつける
だれの名前も刻まれることはないし
法律だって記されていない
ましてや
墓碑銘なんて思いもよらないのだ
だれかが今も死にいくなんて ....
青らむ、夏の
わたしの首すじ に
風がひそかな挨拶をおくる


揺れやまぬ草の穂先のいじらしさ
痺れた指でもてあそびながら
あなたのことをかんがえる


青らむ、人の
まなじりの ....
起きると二時
ああ、夜中に目が覚めてしもうた
と、思いきや、昼の二時である
よく寝たな
と、テレビをつけるとサスペンスドラマの再放送
うむ。
面白いではないか
と、それから寝転がってテレ ....
あと
いくつ夏があるだろう
母のいる夏

母に
もしものことがあったら
私は
どんな風に送るだろう
出来れば

いくつかの詩と
数え切れない花束で
彼女を 包んで

黄泉の ....
世間の冷たい風に押されて君は、目の前 
の扉を開いた銀河の世界へ、逝ってしま 
った。地上に遺された僕等は、舞台で{ルビ詩=うた} 
う君の輝きを心象のネガに灼きつけて、  
冷たい風に抗いな ....
祭り囃子の遠のくように
とてもやさしい風吹いた

私たちの生まれたところ
とうさんの夢のところ
おかあさんの笑顔のところ
今年も同じように

線香花火の
蚊取り線香の
はじめての灯 ....
祝祭をかたどる歌が
背面にひろがる
真っ黒の水面に
跳ねる

雨を待つ暗がりの眼窩から
月がふたつ
とろり、
こぼれおちて
まぐわう男女の
たかまりゆく濃度に似た
風がとても ....
灯ったら
と思ったら
なんでかな
すぐ消えた

ここでお別れ
夕方五時の鐘
最後にひとつ
一番星をプレゼント
たいしたことなくてごめんね
できることがすくなくても
いつも
 ....
あたらしくなったすべて
ここで
はじまっていく
いまは
いまだから
とりあえず
わすれよう
めのまえに
ひろがる
こうけいが
すべてなら
どうだい

むかっていくあした
 ....
月の見える筈の窓で
曇り空を見ている
今にも雨が降りそうな
曇り空を見ている

かつては男だったし
かつては女だった

その人が見上げている
窓は 空は


月の見える筈 ....
あかちゃんが
いい
においを
させている
おかあさんは
花柄のタイツを
はいている
細かいプリーツの
スカートを
はいて
花が大きい
花が大きかったね
ベッドにつっぷして
 ....
港町を
女の子と歩いていた
正直、
まったく楽しくない
第一、話がまったく噛み合わない
彼女は体育大学出の
ばりばりの体育会系で
本などほとんど読んだことがないという
その点、俺ときた ....
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