月 星 を 必要と しないよ
陽光を 恋さない つれない 夜
あたりが 眠りの なかに あった 夜 に
茫洋な 空路から たましいの まなこたち が
目ざめを 見開 ....
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
春、という5月の
光って市ヶ谷の駅の光って階段の小さな窓の
(その駅は、黄色い線の入った電車が水のほとりを走るところの)
ちいさい音楽を
グレーをつつみ隠す太陽色の平行四辺形が4つに
手のひ ....
誓いの しるしは
むすばれた
手でなく たがいを
うちつらぬいた
星のきずあと
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
水冷たく真白に染まる研ぎ汁と米のかたさに生き抜くを知れ
納豆の引いた糸にも闘えば今日も生きているのだと気づく
「あついわよ気をつけなさい」という母の声は無くとも御御御付け持つ
....
みきわめて いっせいに
ちらした そのわけの
まさにその ありかへ
りょうらんと はなを
おくって たむけとする
だれかれかまわず 噛みついて
信者をふやしているが
きみだけは天然のまま
わたしを
蹴ってほしい
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
ふるいうたを うたってよ
みどりもえる ことばを
きかせてよ せかいの
くちびるが いちばん
やわらかだったときの
とても美しいことを書けそうだと思って
さわりかたをそっとしたりしてみる
きみへ続く空中はゆらいで白く
物理学の本ならばたとえば
ペットボトルの曲線をなぜて
やわらかに跳ね返っている
春先の ....
さした花が花瓶を震わせ
波紋を作る
波紋は
カーテンの傍を吹き抜ける風と当たり
砕けていく
砕けた焦点を中心に
陽は射す
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
こんな寒い日は
どうしてもシチューが食べたくなる
早く帰ろう
家に帰ろう
どうしてこんなところにいるんだろう
まったく馬鹿みたいだ
足を踏まれるために都会へ来ている
糞を踏んだ足が
さ ....
誰かの悪口
雨と ふみならす 小声で言って
私のにおい
日本語の、あいしてる、を、
あの壁をこえてサ行の庭へ
サクラ サヨナラ シラナイ シ シ
....
あてどない という言葉と
鍵 という言葉
ばかり頭に浮かんで
要するにわけがわかんない
風を名づける人たちに
風の色を訊ねてみた
だあれも知らなかった
なまぬるいきさらぎの曇天
....
ぼくらは空に近づこうとする、いつも包まれるばかりでひとつにはなれない。ひろびろと伸ばしたつまさきをゆびさきを、リンととがらせる。新宿にアスファルトのあちらこちら。渋谷を通り過ぎるどちらこちら。ビルとビ ....
俺、台所で素うどん
このダシがね、またなんとも
粉末なんだが結構乙ですよ
こないだなんかはちょっと濃いめに作ったりしてね
塩分だけで生きてるわけじゃないから辛いのは良くないのよね
蝿に語る俺論
うどん ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....
不安定はいつも怖いけど
安定にはいつか飽きる
やさしいだけじゃ物足りなくて
つよいだけでも生きてけない
いつも満たされてたいわけじゃないけど
見たこともないような渇望を知るにはま ....
四分音符は
愛を告白すると
恥ずかしがって
髪の毛くくって
スキップして、逃げちゃった。
時間とともに わたしは
うしなわれる だから未来を
待ち望まない というのは嘘だ
明るいうちに できるだけ早く
きみのところまで たどりつきたい
こんな気がする。
書きつけるぼくらの身の上は怠惰で、
ありふれた人に、靴下の夜に、
まるい、まるい気持ちを。
ぼくには、いざというときはないからだ。
とるにたらぬ ....
一.
夜
と
おなじ速度で落下する
きみと
きみ
の 心中しようか
亡命 なら
考えたかもしれない
二.
きみに似ているもの
・深夜のガソ ....
日が昇って
息を延長してとどきそうな空は
その端を薄ピンク色にふるわせ
面倒を散らかしたまま押しやってしまう
力の限り力を抜いて
今日だか明日だかわからない日の午後から ....
放課後
教室の姿は冷たく
外では膨大な量の赤色が沈みかけているというのに
君は呟くように危ういねとだけ笑いかけるので
ぼくはそうだねと言って微笑むしかなかった
花瓶の中で枯れてゆく君を見つめ ....
ガリレオよ、宇宙をソラと呼ぶ人の名前を君は覚えているか
天地の神話が始まるまではあなたもわたしも素粒子だった
くるくると回る土星の輪っかから天体オペラが流れて ....
1.
ぼくは風邪をひいたので目を閉じる。まぶたは、いつもよりもなめらかに溶けていく。まつげの長さを、指のはらで確認する。ぼくは人よりもまつげが長いといわれるからだ。
2. ....
ぼくときみのねがいを
ぼくときみのこどもたちの
そのこどもたちのこどもたちのこどもたちの
そのまたこどもたちのこどもたちのこどもたちのあたりまで
つたえるにはどうしたらいい かんがえているうち ....
ぼくらは自分より遠くを歩きすぎれば疲れている。築数十年の日々の/ひびの入ったコンクリートの隙間に小さな紫の花。目を閉じたのはもう窓から闇に煙巻いた諸々を/処女をさらすように薄く白焦げた空気が入りだした ....
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