ラプンツェル、ランプ灯して
真夜中のキャベツ畑で何をしている?
キャベツ畑そぞろ歩きのラプンツェル
魔女にひっこぬかれてしまうよ
ラプンツェル、
腰に吊るしたランプが揺れる
夜 ....
ニュータウンに大量発生した
クジラの話を
君はもう聴いたことがあるだろうか?
まだ小学校に入りたての小さな女の子が
クジラに噛まれただとか
男の子がこっそりと
クジラをベットの下に隠してい ....
081025
くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する
石ころを蹴っ飛 ....
広場は
すっかりと
犬たちで
埋めつくされていた
進歩的な犬は
後ろ足で立ち
保守派は葉巻を咥え
その時を待った
犬たちは
太陽信仰の信徒たちで
ピーっと
指笛を鳴らしたり
足 ....
あんた
さけ
のみなはれ
のみなはれ
ってうたってんのか
千葉の空が高い
ツーストのゼッペケのハチの羽音みたいな排気音も高く
犬吠埼へ行った昔
犬は ....
固く握りしめた
拳をぶつけあうような
ギラギラした発芽だった
街をなぎ倒すような
雨が降り続く深夜
裏口からもぐりこんだ
潰れた小さなブティックのフィッティング・ルームで
言 ....
詩について少し少し考えていこうと思う。
これが詩だ、と思われるようなことばのありようが、たとえばなにかどうか書こうとするとき、じぶんの内から浮かんでくるのではなくて、ことばのするすると勝手で ....
彼女は言った
翅があるんだって
臆せず言った
何所へでも飛んでゆけるのだって
でもその翅は堅かったけど薄くって
プラスチックの板のように脆くって
いつかぱきりと
音を立てて割れてしまった ....
まだ残暑厳しい午後の事です
蒸し暑さに喉をやられて
ちゃぽん、という音が部屋を埋めて
洗面器にビィ玉が1つ沈みました
わたしが落とした物ではありません
洗面器は横たわるわたしの ....
僕はまるで
死人のようだ
poemの詩
ではなく
deathの
死だ
何の意味があるのかと
流したいつかの涙より
僕の情熱は
冷たくなってしまった
大切な事を伝えるために
どんな ....
指先から入る
表面張力の
弾力にはじかれて
はじかれるうちに音もなく
入ってゆく
指の骨の
白い洞窟のすきまから
声が降る
あの声もその声も
白く堆積する
カルシウム ....
互いの輪郭を際立たせて
秋晴れの下で対峙
真白いオブジェと青空
特異点となって風景に楔を撃っている
オブジェとしてしか存在できないから
存在意義をまだあらわにしていないから
....
ベランダから見える青空は
薄暗い部屋からだと
とても明るく
雲が風の速度で動けば
この絵も少しずつ変化をする
ぼくは絵の具も筆も使わない
ただ風の歌を聴くだけ
頭の先はながない足の先指が 無い
からだの先からだがない骨のさきこねがない
まちがいのさきくるわない話を聞かない
それがすべて
私の先くだまった愛がある青色の愛がある
気持ち悪い愛と ....
口笛で呼んでください思い出を真昼の空に漂っている
だれひとり走りつづけることやめぬ屋上からみた校庭スロット
きのうより遠くでそよぐ口笛がきこえるならば、きこえるならば
何かが落ち 水煙がたつ
鳥が空に背を向けている
滴がどこかへ着くまでの
光のふるまいを見つめている
夜が海辺の岩をつかむ
幾度も幾度も つかんでは離す
道のまたたき ....
うたなのか がっきゅう会なのか
それとも朝なのに集まりなのか
しばらくの間 わたしは聞いていた
げんきな声を出す すずめたち
生き抜いてゆくのは大変ですね
鼻をかみながらそう ....
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる
返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる
こぼれた文字の
貝殻をひろう
....
{引用=
いつも考える私は黒い上下の服で
見つめる白い棺の中身に顔がない
}
たわむれに
両手でそっと抱いた母の
細さに泣きたくて
三歩
あゆめ ず
たわむれの
....
「柿色の髪飾り」
私はずっと窓の外を見ていました
お母さんが結婚して、お父さんが新しいおばあちゃんを連れてきました
何を話していいのか分からず
私はずっと窓の外を見ています
おばあち ....
触れあうと 音もなく
はがれ落ちた 鱗は
ひとつひとつ 淡く発光して
僕たちは 喪失のただなかに
いびつな突起物を
あてがいつづける
いくつもの 鮮烈な傷跡を
つめたい指 ....
目をとじて私の闇をあるく
蹲る人が耐えている
風化してゆく悲しみに
目をとじて砂の川で魚になる
私の想いは砂にあふれ
やがて砂の海へとながされてゆく
目をとじてスズランの咲く丘をお ....
陽射しが勝ち誇っている
圧倒される肌や
追いやられた雲たちを見まわして
自惚れている
晴天に
傘、
傘を抱えている、
チラ、不審、チラ、白い目、が、チラ、チラ、と、
きみの傘、
....
しんどいっていって、こころとからだがしびれるようなの、みすごしてね
たのしいことわすれて、しんどくなるの
しんどいてことば、もうつかわないの
こころとからだしびれちゃってうごけ ....
そういえば
結婚式しなかったね
ときどき妻が言う
僕は聴こえないふりをする
本当に
妻がそう言ったのか
確証のないまま過ぎてしまう
日々の幻聴のように
出会ってから
十 ....
我が偏頭痛は
シリウスへと羽ばたいて
ディラックの海が
泡立っている
くるぶしは水晶で
水と夜との境目を
滑ってゆく詩人の姿
ヒルベルト空間の果てに
夢を見る
つうか 買いものがえりのいちじく
にしんを三枚 ひらきまして
えぐるのです つまり私は
あとに残した いいわけ
ショートケーキならどんなにでも
ショートケーキだと知っております
つまり ....
本家の夜更け
障子のむこうの影を
目で追いながら
人の鼾と鼾を調和させ
命のありかを探すように
それらの影と音は
まだ幼い眠りの夢のように
瞬きを絶やさず生きのびていた
これ ....
夕焼けの上に乗っかった
深く透きとおった青色の空が悲しく見えたのは
その色の暗示する闇の到来によるものであったか
空が闇に染まっていく瞬間が悲しいように思えたのは
闇が悲しさを喚起するからでは ....
故郷の町を
その匂いを味わいながら歩いていると
偶々爪先に小石がぶつかった
僕はそれを拾い上げた
すると何故か
夕陽を見ているときのような
対象の解らないノスタルジアが僕を包んだ
....
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