夏の日が薄紫色に
透けて近いので
君になにかを書きます

花が開いては
落ち
黒い道路を汚しては
それをふまないよう
ふまないよう
すこし飛ぶように
歩き

振り向いたなら
 ....
さみしかったんだ
私は
さみしかったんだ

木々がその緑を
日増しに茂らせて

さみしかったんだ
ぽつんと

私だけが置き去りだ

あなたは
あなたの国で

こころおきな ....
新月の夜に
世界中が停電して
僕が誰だかも
わからなくて
原初の闇の中に
視界が境界を無くして
僕が誰だかも
わからなくなったら
初めてこの言葉も
線の一本一本をほどいて
かたちか ....
砕けた星が
スウィング・バイしていく
いまにも
純潔は窒息しそうで
そのうえ
日記は白紙で
小説も空白で
そのことにきづけなかったひとびとは
拡散するすんぜんだった



天体 ....
キューボルト
クレゾール
アルコール
買いもの 
必要なもん 電話にメモ
充電切れたらもう読めんくて
いみないな
だから覚えてるところまで
キューボルト(電池)
クレゾール( ....
いくつか
間を置いたあとに
白紙を折りたたみ
コートのポケットにしまう
しまってぼくは
身体の中を思う

朝の中
はじめて
瞳の色や
ふたえ瞼がわかるなら
さし当たりの悲しみより ....
 白色の波形を目でなぞった
うねりは遠く
目を凝らすほど直線的に
街の始まりで折り込まれ
目には見えないまま続いていった
そんなように思う

ひとみに映らないものを見ること
地下鉄の座 ....
あの頃
私は叙情の生き物で
君の全てが詩歌であった


差し出された手の平に
丁度良く収まる
この手を乗せると
合わさった部分は
いつもほの暖かく
淡い色合いの空気が
ぐるり ....
めぐすりの一滴
まるい瞳を覆うように
濡らして

顔を上げ
二本の指で広げ
くりかえす
くりかえす音
地下鉄は走りつづける
窓から漏れる明かりだけに
照らされる壁が
ながれる傍線 ....
隣の家のカナリヤが
萌黄色の羽根を少し震わせ
細長く高らかな声で
ちよちよと鳴いています

向こうから歩いてくるねえさまの
頭に飾ったかんざしには
うすももいろの桜がしだれており
控え ....
茶色い野良猫
わたしに呼ばれるときには茶色ちゃん
菜の花とともに
帰って来たね

去年の春
かわがっていたおばさんがいなくなって
夏と秋と
だんだん見かけなくなって
冬には思い出すた ....
{引用=きえない
ぼくは
かたちなく

きえない
ぼくは
かたちあるもの


きえない
きみは
かたちなく

きえない
きみは
かたちあるもの


きえない ....
 
 
見えているもの
それが少し
へんなものであっても
僕らは生きることに
必死だ

街ですれ違う人たちが
冷蔵庫だとしても
見えているもの
それが少し
へんなものであっても ....
発音は銀色に
ぎらぎら光る手すりの曲面だとか
ビロードの毛羽立つ座席の
柔らかなスプリングだとか
陽射しを受けて鏡のように
ホームに立つ自分を映してしまうような
ガラス窓だかに当たって
 ....
東京の晴れが泣いてる公園のブルーシートの青さに負けて


窓越しの隣の家のベランダのタオルのさくらのピンクのドット


蜘蛛の巣に桜はなびらひっかかる馳走だね蜘蛛よお酒が飲める
 ....
光っている、その表面を、触れようとして、手を伸ばしてみても、
それは、無色透明な、光のようなもの。

知っているよ、と、伸ばした手をそのままに、
ごまかすようにして、手の平を、開いたり閉じたり ....
歩き疲れていつものコンビニの前で一服
座り込んでみようかと思ったけど
ちょうどヤン車がきたから足踏ん張った
だっせーオレって一人で笑った

ふと顔あげたら桜が舞ってた
いや、ごめんうそ散っ ....
シャツはばっちりと糊のかかったものしか着ない
髪を梳かしかかったりもしない
そんな行為自体がない
なんて、
ファンタジーの行き止まり
青あか黄みどり紫いろのころも
散ばった
のだ、
夏 ....
プラネティカ 秋にむかう空 黄昏のプロムナード
プラネティカ 惑星の軌道を読む いつか帰る場所を探す

何かの終わりと引き換えに君が手にしたものは
夕暮れの空を流れる雲の記憶と雨の境界 ....
離ればなれにされたものの
ために、重苦しい


集めていく、
かつてはひとつであった
ものを、声に
ならないまま、それを
数える、いつ
いくつ、
きみはいつ
やって来るのか ....
僕の背に大きな翼を

  君の手に光の槍と盾を




一丸となって走り出せば

 二人は無限を手にして


       三次元を越え




四次元をも越えて ....
「やる気がない!」と朝の会
突然に怒鳴り散らす担任の春を
冷めた目で眺める日直の朝。
理不尽なされ方に敏感な、理屈っぽい女子高生が
キメ台詞を復唱しながら、日直の用聞きで職員室に乗り込む。
 ....
赤ちゃんの握りこぶしには
沢山の希望が詰まっていて
それを逃がさない様に必死に掴んでいる

あのね、僕はそう思うんだ
僕らは生まれてきて
自分で生きる事を選んだんだよ
だから自分で死ぬ事 ....
音のない息の浪が
寄せている
ひとつの曇の裏ごとに
くちびると闇はわだかまる


補色の先へ向かおうとする
水の上にしか映らぬ鳥
冬に軋る
冬は軋る


影の斜 ....
 
  
懐かしいことをしている
八十歳になった
私が今を
そんなふうに思い出す

つまらないことをしたね
本当に
つまらないことばかり
してたね

遠い目をして懐かしむ
八 ....
夜が明ける。見渡された地上には煌々と赤い光が射し込んでいる。もう四時だ。傾斜した山肌を仰ぐようにして羽を休めようと舞い降りた地上で何かに躓いた。カリ、という石にしては有機的な音だった。足元に転がってい .... {引用=

ガラスの目玉はなお黒々と
烏鳴かずに むくろをつばむ
ささくれた嘴 朱に染めて
過ぎし唄声 かすかにきこゆ
朧な月よ 頬染めよ
柿の若葉の柔らかな
木の香まといて いずこに ....
なにもかもを
ゆるせたら どんなに
なにもかもを
わすれられたら どんなに

でもそれじゃあ人じゃなくなっちゃうから
(どんなあなたであっても)

かべとかべがあって
1枚も2枚も変 ....
どこかのどかな
こうえんのこえ
ひだまりいどばた
おくさまかいぎ
きのうのだんなの
いびきのはなし
わたしはわたしで
あいづちとんたん
あらやだびっくり
いそがなきゃ
たいむせえる ....
街路を歩いた
抑揚は少なく
やりとりを続けていた
みしらぬおたがいを
たしかめあうために
たしかであるために


あの夜空の
どれか
星つぶてが
もしも死んだら
実況検 ....
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