戻らないこと、離反
して、
きみは分からないまま、もう
戻ってはこない

場違いだけが、そこにあると
して、
きみが話すがままに
する、
わたしの
もっとも奥で、きみが
他の ....
いつも同じ帰り道を
なんとなく遠回り
知らない道を進んでく
帰れなくてもいい

どこかへ行きたい

押し寄せる
ネガティブな風
たまに来る
気持ちい夜風
 ....
あなたはいつも
わたしの
開かれた窓でした
そこにはいつも
新鮮な空気が流れていて
清潔な水色の空とつながっている

たとえばそれは
岬の草はらの淡いスケッチで
たとえばそれは
ガ ....
                  
                


雨曇りに包まれた
135号線沿いの海を
古い友だちと歩いている
どんどんどんどん歩いてく
楽しくて嬉しく ....
恋かそうじゃないかって
いったい誰が決めるんだろう
ただの気になるひと から
好きなひと に変わるのはいつなんだろう

恋したのなんてずいぶん昔で
なんだかもう 忘れてしまってる

 ....
宇宙の紺を大気が薄めて
僕らに届く青は優しい青だ
あくび顔の5月の空には
雲と一緒に飛行船が浮かぶ
思わず追っかけてみたけれど
踵の靴擦れがちょっと痛くて立ち止まった

地平線をビルが削 ....
量るために落下する

側面にうつる

まよい

もてあます問いを

ふかくうめて

はずされたかすがいを

もうひとつの手は

握っている

風はやさしい。
夜の街道は

甘い匂いに充ちていた

火を付けるまえの

煙草の葉のような

甘い匂いに充ちていた


ぬくもり

ふれあい

ひこうせん


夜の街道は

甘 ....
電車の中で目をつむると
ずっとトンネルの中にいるような錯覚をおぼえる
でも実際の電車の窓の外には
それぞれの家々と
それぞれの生活を送る
それぞれの家族がいる
そんなことを考え ....
 雨の日にはかなしみに服を着せ、傘を持たせて出歩かせる。普段は裸のかなしみは、はじめ服を着るのを嫌がるけれど、すぐに慣れてはしゃぎだすのが、いつものこと、ぴったりした服 .... わたしのなかの夏、が
嘘をついている

生まれたばかりのやさしさと
おぼえて間もない過ちに
うっすら、として
汗をかき


絶え間ほどよく
やわらかく
涙の意味が熟するよ ....
{引用=ふたりきりでも まだ
さびしいので
ラジオをつけると あなたは
雨音だけで充分だと言った}

愚痴を云わないけれど聞けない
つまらない女ですから
晴れ女でいいねと羨ましが ....
僕達は容易に 
たくさんのものを失ってしまう
取り戻す事のできないものですら

時計はその時を
刻み付けたまま沈黙している
瞼の裏に
残響だけを刻み付けて

無くなってしまったものを ....
よなかになくのは
ほととぎす
あっ
おどろいた

ちいさくなってきくこえ
れいぞうこが
まんたん

ほととぎす
まよなかのさえずり
とおくへ
いっちゃった
でも
まだきこえ ....
埃がつもってる
それは雪にはならないので
もうすぐ季節がかわる

電話ばかりかかってくる
かけているのは私自身

足音だ
建物というのはおかしい
きのこの形をしたタワーのようなひとり ....
悲しみやら
目につけば
水に腕をくぐらせ
滴のきらきらと落ちかがやくさまが
この雨降り以外
かわかし続ける陸のうえ
路の上で

美しくなどないよ
とりあげられたある日は
何 ....
やまのてせん新宿でおろして乗り換え口がいまだみつからない
わらいかたをわすれたどうけたちのぱれーどをみてたかようび
らいむぎばたけでつかまらなかったあのこはまだみつからない
かいだんが怖いといっ ....
きみに
あげるものは、
ない

どうやって、わたしたちは
他人同士なのか、
きみも
わたしも、
何も
分からなくなったとき、はじめて
何かを
送る機会がおとずれる


 ....
森の夢―古いボート          前田ふむふむ

     1

青い幻視の揺らめきが、森を覆い、
緩んだ熱を、舐めるように歩み、きつい冷気を増してゆく。
うすく流れるみずをわたる動物 ....
そこにあなたは
いるいない
いるいない
どちらにもまばゆい

花があり
なぞる
花になれない
指のしずく

そしてあなたは
いないままにいる
いないあなたい ....
葉っぱたちのとがったきっさきをさっきから風がはげしくゆらして
じべたに並べられた各種弾頭のことを考える
雨上がりのひんやりとしたゼリーのような中を
ゆっくりと自由に空気を押しながら
あたしは記 ....
たくさんの人が祝ってくれるので
何かが始まったり
何かが終わったり
してしまうのかと身構えた
わたしは臆病なんだ
何も起こらないようなので拍子抜けだ

新聞紙がいくつも折り重なり
幾度 ....
なにげなく偶然に
となりどうしになった、名前
お互いブランコだなあって
思った、夜

こいでるスピードもたぶん違うし
わたしは何かとものを言いたがるから
足でとめて また土をける け ....
彼方にいる、きみは
夜、
あらゆる
ことが
あるうちに、目は見ることを
やめて、

いま
きみがいるここで、失われたひとつの
もの、それを失ったのはふたり
だった、もういっぽう ....
例えば、階段の塗装の匂いや空の高さで
なんとなくひとりだと強く感じても、
世界の濃度があがっているから、
少しきみが近いような気がして
マーブル模様の空を見上げる。

「この空は君 ....
もしかしたら 
病気で半年前に退社した
若奥さんのUさんは 
日々ずっこけるこの僕を 
きらいじゃなかったかも?と 
今さら思う 

僕は特別Uさんに 
ホの字だったわけでもないが 
 ....
                   080515





ゆるやかな坂を少し下ると
いつのまにか
なだらかな丘が出来ていた
防災無線のアンテナも立っている
狭い階段道を登り
 ....
わたしはあなたの顔をつかんで
こじあける 歯型 の
わたしの腕を救いだす

床板をたたく あなたのかかとが荒い
並ぶまで屈めて 指先で
ちいさくバツのしるしをつくる
しい と
前歯で息 ....
山岸さんは、
もう いない。
おさるさんに似た顔で
さようなら
もいえず
むねにちいさく根づいたきずが
うずくのである
おさるさんに似た顔で
いま
さようならをいおう
山岸 ....
ポケットのビスケットが
粉々に砕けて割れた
壁にじっと押しつけていたせいで
鳥が飛び立つのを見たかった
小さなクロツグミが羽を広げるのを
僕はしくじった
ビスケットは無残に割れてしまった
 ....
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