2006/8/1
映画日記ということを聞いてぼくはびっくりした。AさんにはAさんの映画日記があり、BさんにはBさんの映画日記があるだろう。そこでぼくはこんなことを書いてみた。
もしあたしが映画日 ....
単線の始発に乗り、
誰もいない車両に一人きり
私はそっと小さな町に背を向けた。
振り切った家族の手とか
待っている恋人の顔とか
浮かんでは消えていく。
やっと始まっていくのだと
....
外から
窓を叩いている
さむかぜが吹いている
部屋のなかで
ふくらんだふうせんが
飛んでいる
鍵はかかっている
入れる扉もない
窓を叩き割ることも
思いつかなかった
ふうせ ....
すべてにけりをつけて
ゆっくり回りだす世界に
打寄せる思い出
消えるわけじゃない
最後にゆっくり
涙をこらえて踊る
涙色の照明に照らされ
「またね」
言葉に隠された
「さようなら」
....
この道は
君のカーナビには存在しない
私たちは海の中を走っていると言う
海の中の
あるのに無いという道を
私たちはただ進む
夜は飛行機をどこに運ぶのだろう
温かな ....
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった
あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
{引用=
水の中を
月が通り過ぎていく
旅人は何処へ行くの
水の中を
夜が通り過ぎていく
旅人は何処へ行くの
水の底を
風が歩んでいる
....
{引用=
金色が ふる
まちがすこしずつ
つめたいもようをかさねた ゆうがたのこと
きみが
道路の真ん中で
おおきく手をふっている
さけぶ声はきこえなくて
きらきら ....
出会ったのは夏のこと。それから、秋になるまで歩きつづけた。何も持たずに僕らは歩いた。夕暮れから夜になるまで。砂を踏む足音はやがて、乾いた枯葉色に染まっていった。
荷物を持たずに歩く僕ら。足 ....
満ちるとき 抒情の紙を
火にくべて なにごとも
語るすべなし 封印を
解いて 空を傾けると
月が ころがりおちる
もうダメなのかもしれませんが…
とりあえずみなさん、これ読んでください。
『詩学』バックナンバーのぼくのお薦めは、伝説の「西脇セミナー」と
いうのがあって、西脇順三郎さんと詩人が集まって、『Am ....
いつのころだったか、わすれてしまったし、どこからきたのだったかも、はて、となってしまった。体温のようにそこにあった、ぬくぬく、や、ぬるまゆ、や、ぬめり、にみられる、ぬ、的なもの。それ ....
いらないものがおおすぎるんだ
ねえ私たちは
両手でそらをはかろうとする
出来ないよ
できないよできないよ
わかってるのに希望をすてない
あしをとられて倒れこむ
砂地 ....
2006年8月27日
旅の話
前日は連泊のカプセルホテルに午前1時ころ帰ってきて
お風呂に入って布団にぱたり
気がついたらお午をまわっていました
同行した方々は7時ころ出発とお聞 ....
乾いてゆく風があった
薄れてゆく光もあった
綺麗にされた夏だった
目の前に拡がる
どこか懐かしい景色に
なぜかふるい歌を思い出し
海に腕をさし入れる
かなしみが群れているのは
きっ ....
あなたのなかをふるあめが
あなたのまつげをゆらして
あなたのなかをふるゆきが
くちびるをふるわせるとき
ぼくはあなたのてにふれて
ちいさくなみうつおと
ちいさくはじけるおと
あま ....
菱がたの声が地に灯り
空にも海にも届きながら
誰も呼ばずにまたたいていた
夜の鳥
飛べないのだと
想いたい鳥
水をざくりと斬る光
動かない縦の水紋
熟れた灯 ....
のどが呪文をとなえているよ
おふろでもないのにシャボンが飛ぶよ
とおくとおく
欄干があかく染まって忘れられない
だんだん
だんだん
からだをかさねるよりずっと
指のすきまの感 ....
ちいさな電車だった
いくつも風景をやり過ごした
乗客はいつも決まっている
新聞のにおいのする父と
たまねぎのにおいがする母
シャンプーくさい妹と
無臭のぼく
電車ごっこの紐は
....
彼は椅子を畳むのが上手かった
足を器用に動かして
瞬く間に畳んでしまう
八脚のパイプ椅子を分けて
両脇に抱えるようにして
収納スペースへと収めていく
彼は日々を畳むことに長けていた ....
朝、ぼくの季節は二十五歳で
ざらざらとした空を
東から西へ
たとえそれが夢だとしても
渡って、どんなにボタンを押しても押しても/押しても
改行できないでいます
ぼくが、ベーコン ....
まだ夜の明けないころ
街は少し壊れた
機械の匂いがする
昨夜からの断続的に降る雨が
いたるところ電柱にも
あたっている
いくつかの窓の中には
ささやかな抵抗と
使い古された ....
ある夜
友達がひみつを打ち明けてくれた
今まであった つらくて 悲しい 出来事
ひとつ ひとつ 言葉を選び
ゆっくり ゆっくり 話してくれた
友達は泣いていた
いつも花のように笑っている友 ....
おかあさんがね
はじめてかぜをひいたとき
3さいだったわたしは
すごくしょっくだった
ちきゅうがまっくろになりそうで
よるばっかりになりそうで
とにかくこわーくなって
なんとかせない ....
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
2006年8月26日
旅の話
そういえばカプセルホテルに泊まったというのも初めてで
なんだか蜂の巣みたいな感じを想像していて
まあ似たりよったりの感じで
にゃー、カプセルだー、ご ....
ひとりで
回転寿司に行きますと
何周もしている
モンゴイカにふと
周回遅れのじぶんじしんを重ねて
真向かいの
ホスト風の男が
うにいくらと注文しているのを
同じ色の皿ばかり積む私は
....
駅へ向かう道すがら
はいいろをした四本足の生き物が
とぼとぼと歩いていた
( )駅では
列車が遅れていることをみんな知っていて
でも
みんな口をつぐんでいた
恋人たちは
別 ....
この上私をせめないで
帰りの電車の窓に映っている自分の顔を見たくないのに見つめてしまう
おまえは疲れている、と確認するだけの私的な会話
ああ、この上私を責めないで
私はニュース ....
あの日
いつもより10分早く起きた
あの日
朝食はトーストとポテトサラダを食べた
あの日
うお座の運勢は第三位だった
あの日
重要な会議があるからと
君は三 ....
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