ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える
空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語
それを生 ....
そこまで行くのは ずいぶんだったよ
道があるとかないとか もうそんなんでなくてね
靴は 靴はまあいいのを昔買ってあったから
こう こうさ ざばあっと こう かきわけていくと あるわ ....
ひとつの
あいまいな
それでも
確かに
ちいさな明かりに
包まれていた
吸い込んだ潮風が
いつの間にか
冷ややかで
胸いっぱいに
広がるから
{引用=もう少し
....
告げようとした道順はほどけてしまって
あとはただ来た道を
捨てられた花のにおう坂
そのぬるい泣き姿を
思い出すことだけが残された
嘘なんかつかない
嘘さえもつけない
あのとき、という ....
肉も骨も脳も
いらないとおもった
ぼくはそれくらいやけっぱちで
噛み付くように吼えた
どういう言葉が人を傷つけるだとか
どういう力が人を押しのけるだとか
頭の悪い計算はしなかった
....
地元の駅が凍ってしまった、
夢をみた
誇張する胡蝶みたいにこちょこちょと
わけのわからない言葉を
おばあちゃんの形見を扱うみたいに優しくつぶやいた
・
ドトールのカフェオ ....
横たわっている、きみは埋没している
そのようにして
ひきとめられている何かが、横たわっているかつて息と
いっしょに投げつけられたもの。
みどりの、潜みで。
きみがぼくを迎え入れて、ただ
きみがぼくを
迎え入れて、ただきみが
ぼくを迎え入れて、
ただきみがぼくを迎え入れて、その
夜の
むこうでは、歳月
に
きみが迎えられてい ....
両の手にさしだされている、きみは推し計られずに
両の手にさしだされている、
きみは推し計られずに
どこからぼくを見ていたのか、きみは
時間について
話すように、横顔で
....
冷たいお堀の水の上に
桜の花びらが落ちていく
無音
しとしと
これは雨
影に
とじこめられる
鬱蒼と茂る木々のあいだに
用水路が流れている
ベンチに ....
ジーパンに足を通す
スニーカーを履いて
アパートのドアを開ける
ひとつの町に住み
その町に射す
乳白色の光の中で
生活をする
カンカンと階段を降りて
ひとのか ....
私の
私の良さを
文字にして
巨大なテロップで
渋谷の
新宿の
オーロラビジョンの隅々を
流れろ
流れゆけ
白地に赤の
強い文字で
意味よ
私の知らない
生きる価 ....
夏の雨が帰ってきた日
電車の行き交う河川敷で
嵐が運んできた枝で
薪には困らないなあ…って
ぼんやり過ぎ行く時間に蓋をして
現状のあまりのかなしさに
涙の雨も降らなかった日
写真にはやぎ ....
080925
キーボードの音が
かたかた鳴った
もう一度
カタカタ鳴って
ぽつんと切れた
夜になったが
キーボードの音を
待ちくたびれたのか
時季外れの ....
正直今日の日はえぐれるような1日だった
いろんな意味で
あたしはもっと強くなっていかねばならない
昨日よりももっとぐるぐるめまいがした
あたしはもっと強くならなければならない
....
ラピスラズリは、青い。
惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。
時々、水脈を聞く。
明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない ....
ながい腕を
まっすぐに伸ばして
陽ざしをさえぎり
さらにずんずん伸ばして
父は雲のはしっこをつまんでみせた
お父さん
いちどきりでした
あなたの背中で
パンの匂いがする軟らかい ....
秋分の日は久しぶりの晴天
スーパーへの道のりも
穏やかな陽射しに包まれて
欠伸している
のはこの僕だ
スーパーへの近道は
途中で寺の境内を貫いて
道幅が急に細くなる箇所がある
....
僕が机の上に
大きな地図を広げても
働き者の男たちは
こんなものただの古新聞じゃないか
と言ってバケツの水に漬けようとする
ほらここが
僕らの生まれ故郷だよ
そう指し示しても
男た ....
ハウステンボス駅に続く
長いレンガ道は凸凹で
今朝踏み入った水溜りを
たっぷり吸い上げた靴は
とてもとても重く感じた
時々涼しげな
大半は生温い風が
二つしかないホームを
せわしく ....
住んでいる町は田舎で
電車は一時間に一本あればよいくらいで
待合室があるのが不思議なくらいで
今日は一冊の小説を携えていて
外は雨が降っていたので
回数券を買った
駅の待合室で
携え ....
もう、ずっと、葬列のターンだ
山裾から行儀よく
山頂までの道のりを進む
お前たちの名前は
アダルベロ
だったり
クロデガンク
だったり
ジグラム
だったりする
高貴な熊や
有名な ....
カラスのむれが
夜をつくって
はやくねむれと
おしつける
よるよるよるよる
ビールを
のんでないから
まだねないんだ
かんべんな。
右まわりに触れられ
そこにいると知る
笛の音の房
こぼれる鈴の輪
細い光がたなびき
夜を分けるのではなく
既に分かれて在る夜を
ふいに消えた家々を描く
....
出発ゲートで恋人と別れた後、僕は一人で五階へ上り見学テラスへ出て特上ロース
かつ定食1100円を食べた。この前はここで一緒に食べたが今度は一人だ。食べ終わると
そろそろ飛行機が飛ぶ時間だった。テ ....
根は分解されて土に還っていた
枝の先にわずかに最期の吐息が残っていた
去年咲かせた花の種を形見に取っておくんだった
オー マイ リッラ
後悔はいつだって遅刻する
ぽっかりと丸い穴が空席 ....
夕空に5基のクレーンが聳え立ち陽を受けている博多駅じゃん
あああ最終電車
きょうもよくのんだな
さいきんのみっぱなしだよな
おまえ
ねむいよな
ああ鼻のおくが
ぶどうのにおいがすんだな
いいにおいだな
となりの席のやつが
ごち
ってがらす ....
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった
お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった
お ....
かたん。
わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅して ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123