また首になりそうだよ
顔のない父が言う
もうとっくに切り落とされた首を
また切り落とされるまで
明日もできるだけ頑張って
働きにいく
もの心つくまで
父の首が玩具だった
....
心の世界を出ていくときも労働者だった
失われた 財布の中身から
取り出された 午後のひとときの見つめさせられていた
砂利が蒔かれたばかりの 午後の工業地帯の片隅だった
僕はひとり 一台のト ....
魚には
冷凍船の
眩しさが
遠い海鳴り
故郷のひかり
強い風に飛ばされないように
セロハンテープで貼り付けるウサギたち
やぁ、君も手伝ってくれないか
ところ狭しと駆け回っている。
いや、私には結構だよ。
やんわりと断る
そうやって、散らないように努力する ....
{引用=
雨ふる夜更け
テレビを消した後の静寂
凪ぐ海辺
心拍数
きゅうに予定の空いた休日
おかけになった電話は、
電波の届かない場所にあるか、
電源が入っていないため、かかりません。 ....
自動改札機なんてまだ無い頃
駅員さんに
切符に切り込みを入れてもらう
そのタイミングを計るのに
ドキドキしていた
ちょうどよく駅員さんの前に
立ち止まることができるかどうか
改札に入 ....
エイプリルフール
ふいに飛び込んだ訃報
満開の桜のなか
見送られたあいつ
今頃なにしてんだ?
どんな顔してわらってんだ?
残された僕ら
いつもと変わらず過ぎる日常
少しだけネジ外れ ....
今はもういないあなたの席すわり苺みるくのストローをかむ
あこがれは。いつまでも。うたをきいている。えがかれた。おわらない。かなしみが。きえていく。くるしみのなかで。けとばした。こえ。さよならは。しずかに。すべる。せなかと。そら。ただただ。ちかくに。つきの。 ....
いくつもの音階なのだ
テーブルの上にある 声は
落とされていくその言葉として聞かされた
その言葉として そこで 転がった
言葉の響きを聞いた
テーブルの上にいた 僕は
今はもうすでにな ....
うそになる
うそにならないように
きもちをつたえると
うそになる
ほしいものは
ほしいとつたえないと
うそになる
うそにならないと
みんなどっかへ
どっかへいってしまう
うそになら ....
{引用=
雨だけが窓をたたきにやってきて 爪をたてて。とうずく腰骨
舌裏の孤独なすじをなぞる朝 きすの終わりはどこにあるの。
羽なんかなくてよかった きみ ....
つぶさに観察する 肌のふるえは
ワーグナーの夕暮 悲しいと口にせず
夜の海の不気味さ 重なっている
しのびよる闇に無限の波
新しい歌などどこにもない
はじめからあるものしかない
たぐり ....
ぼくのだいすきなキリンは
いまは海の底に居る
まだぼくの魂が
果実のようにやわらかだったころ
キリンが夜泣きをやめられないぼくの
なみだをそっと舌でぬぐってくれたのをおぼえている
キリ ....
電柱に
カラスの親子が
とまってて
海の向こうを
眺めてました
ゆらゆらしていたぼくらの帝国は終わりアジアがカンフーな世代に新しいものなんかないのです。iPhone裏面のリンゴの鏡面に夕暮れが切ない反射の家族atショッピングモール的な幸福に、はしゃぎまわる子供とは ....
鳥がみどりに
ひっかかっている
そこからはばたくそれは
とつぜん現れた影のようだった
今夜もまたワインよ
いちにちの疲れ
ぼくに差し出せよ
ぼくの疲れは癒され ....
雨が降りルーブルへ向かう足元を濡らす
とどまれないと二本の足が示すように
何事も今斥力ではじかれていく心のように
地下鉄から吐き出される人
肩を寄せ合って唇を吸う二人
一人冷たい空気 ....
夜に見上げる雨の
見えなくても見える軌跡でした
一度にざわめく夜でした
これからは みな
汗びっしょりだ
(たたんた たんた)
(たたんた ててて)
....
左目は熱く
左目に浮き
左目を照らし
頬に沈む
ハッカの花びらは
剥けて落ちるので青白く
外浪逆の上で
灯火の撒き餌になります
数滴
冷たい風にのって
持ち上がるのは
それは
大雪加です
見上げるほどに甘ったるい
葛 ....
ごめんね、とつぶやいて、終話釦をひとつ落っことしてみただけだと言うのに私は寄り添っていた心ぞうを引っぺがされるような気持ちになってたまらない。
爪をかけて思い切り剥がす。
心ぞうをさんざく声が痛い
....
長い間一人で頭を抱え込み
開けなかった扉を
無心で抉じ開け
小さい一歩を、踏み出したら
日々一緒に働く仲間達や
苦手だった上司まで
不思議なほどに歓んで
幾人も僕に、声 ....
純粋な愛は歌のなかにしかない
ひとりきりでずっといる
名前が散乱していて
それがいままで出会った
だれでもないことに
泣いても
みな立ち上がって
拍手する
純粋な愛は歌のなかにしかない ....
チョコレイトはいくら食べてもたりないね
まよなかちょこれいと
いくら言ってもおさまらない
ぼくらのあまいあまいことばを
残さず食べちゃって
そうして肥えろ
ちきゅう ....
今朝よんだ本にかたいものがはさまっていて
誤ってのんだらしい
私のカラダの中を
ゆっくり ときどき急いで
まわるついでに 観察してるようだ
なんとかとりだそうと本を探してみる
巨大 ....
{引用=
なぁぼくは受話器で泣いてるきみを抱けん。その泣き声さえも「ほんもん」ちゃうんや。
気の強いきみの受話器が黙るんは なんでかわかるよ、ぼくにはわかる。
....
春って、五感をなくしても、わかるような気がするって、
ずっと前から思っているけど、
ほんとうに、まぶしいんだ。
いたるところで生命がうまれてる。
みえるところでも、みえないところでも、 ....
障子越しの陽の光が、やわらかな色味に変わるころになると
あのひとは楽しそうにわたしを呼びつけては
「春を描け」とねだるのでした
わたしはあなたの枕の横に ....
ある日突然窓を開けて
一羽の鳥が飛び立ってゆく
ある日それは静かに晴れた朝で
まるで船出のリボンをなびかせて
とても陽気に飛んでゆく空を
私の小指にはリボンが結ばれていて
ただ黙っ ....
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