この両腕で抱き締めてきたもの
大事に大事に持ってきたもの
気がつけばみな鳩に変わって
飛び立ってしまった

あまりのあっけなさに
少し笑って、少し泣いた

はた、と立ち止まると
夢や ....
また春の風が
額を過ぎた
ふっと
潮の匂いがした
ような気がする


{引用=なつかしい声}

振り向くと
海がそこまで迫る
海は光る
反射して鏡のように


指を浸すと ....
 
 
遊歩道 風化の隅にももいろの雨が逝く午後 そっと手つなぐ




触れられるそばから羽化をした 二度と同じではない スプリング・イズ・ヒア
紅玉のホオズキが沈むと
空は青玉のあたりにまで透き通ります
蓮花色のパパラチアも散りばめられていますが
どちらもコランダムなので大変相性が良い

ホオズキから更に最後の光条が走ると
空は大 ....
 
 
手をつなぐと
僕らはまた
別な生きものになっていた

それは家族だったり
友情だったり
恋だったり

そんな名前で
手をつなぐ
生きものは呼ばれていた

ここには
 ....
歌の缶詰がみつかった
黒く水を吸った
砂浜の海揺れる昼間

味を知らない白い鳥が
つついても 食べられないから
不機嫌に おいていく
黒く夜を吸った
砂風の渦過ぎ去る木陰

のまれ ....
薄ぼけた郷里における仰臥にあって
ロックンロールの焦燥を体躯に引き受けていた少年 は
押し花のように

忘れられた、ってわけでもないのだが
ファミレスでの勉励は
もう転がり込む先をなくした ....
夜が終わる前に
銀河がサイクロンになって
いらない文字を吸いとりに来る
(サクラ、サクラ、琴のおと)
貼りついてしまったものを
ひとつひとつ
はがしてみれば
どれも忘れがたいもの
けれ ....
急に入院してしまった昔の恋人に頼まれて、花見をしていた奥多摩から病室へとかけつけた。携帯電話の充電器が欲しいのと、家の荷物を明日届けて欲しいので鍵を預かって欲しいということだったが、本当は誰か .... 午後、雪がちらついたので
積もらないと知りながら
見知らぬ人の痛みと
繋がりはじめる
指先ならばよかったけれど
溶け合うようになじんで
本当の痛みなど
知りもしないのに
まるで火を潜り ....
いま 窓の向こう バスが通り過ぎた
家の近くの停留所
僕の乗ったことのないバス
バスは走っていく
静かな夜の街路に
大きなエンジン音を響かせて
十字路を真っすぐに横切り
マンションの四角 ....
 きみのなまえをしらない
 しかし柱を折る方法を知っている
 きみのなまえをしらない
 しかし一杯分の奢りかたはしっている
 きみのなまえをしらない
 いたちごっこの後を片付ける
 きみの ....
ぼくは仕事ができない
ぴかぴかしたのとつやつやしたのの区別ができない
鈍色の玉が転がるのを捕まえることができない
持たされた白い機械の置き場がわからない
箱を左手に札を右手に持って
一歩 ....
子犬はふくふくと温かかった
抱くのに心地よい重さだった
ゆっくりと地べたに子犬を置いて
あたしは
5階まで全速力で階段を駆け上がった
息を弾ませながら窓の下をのぞくと
子犬はきょとんと座っ ....
切通しの森より
艶やかな靄の衣で
じっとり舐め尽くす

貫通扉を抜け出して
男がひとり
つったってる

細長い腕
コーデュロイに合わせた色の鞄で
絵描きと名乗る

白樺のコート ....
 この星系のどこか
 色でけずったメタンガスにちかいどこか
 バスの墓場がある
 何億台もかさなりあって絶命している
 すすけた錫がキーンと光っている
 純粋だと主張する天頂方向に

 ....
ひいばあちゃんはな
いっつも縁側で内職しとったんやわ
そこでいちんちじゅうな
つるらるらーって数珠みたいに
ぎょうさんつながったしょう油入れを
ずーっとぼじっとってなぁ

( ほら、おす ....
誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
 ....
写真機博物館とわたし



ひとりぼっちなわたしがひとりぼっちだというと
みんながぼくもひとりぼっちですという
じゃあ、わたしひとりじゃないんだ、みんななんだ、というと
みんながすうっ ....
むしろ、さくらではなく
今朝の濁った空色が
薄灰色の風となって
じんわり染みこんでくるのを
わたしは待っているようだ

三寒四温の春は寡黙に地を這って
あたらしい芽吹きを迫る
枯れ枝に ....
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆ ....
{引用=たとえば、
透明な風が吹いて
きみがぼくだよと言ったら
信じてしまいそうになる、





なまぬるい強風が吹く
こんな夜には
きみんちのカーテンを
ひら ....
たくさん
たくさんたくさん
たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん
の、はな

*

汚れた雑巾で机を拭きながら
それでも掃除をしてるつも ....
 
軽やかな装いの男が
日がな一日長椅子に座っている
うららかに、年老いた象の目回りに皺が刻まれ
陽気に溶ける大袈裟な風船どもを
バービーたちが追いかける
とりわけ足の速いバービーが
長 ....
電灯が砂の雨を遮る
右肩がざらつく
悴んだ小指
血の管が萎れる時は
無力だったと思う

音は暗い風の下
焦げた海には
おとなしい月が泳いで
引き込み線にお辞儀していた

やがてト ....
ほの暗い
雲のもとでたたずみ
空をつかむ
透けている火影姿のこぶしから 零れる灰が
無風地帯へかえってゆき
つかみとおすこぶしは
遠い声にもほどかれることはなく
    透明 ....
 
 
玉葱のにおいがしている
玉葱が匂いになって
何かしている

夏祭り
まだ日は高く
午前中のうちに宿題を終えた
小学生たちが集い
がまん大会に参加する
冷水が満たされた青い ....
何度も修理して
乗ってきた自転車の
寿命がきた

鍵付きで放置しても
無くならないほど
錆びた車輪

届いた新しい自転車は
ピカピカと輝きを放ち
眩しくて目が痛い

古い自転車 ....
チェーン店のカレー屋で 
「グランドマザーカレー」
を食べていた 

自動ドアが開き 
ヘルパーさんに手を引かれた 
お婆さんが店に入り 
隣の席にゆっくり  
腰を下ろした 

 ....
無限小と無限大とよばれる番いがちょうちょを啄ばんでいる
雨上がりはまだ地平のむこうにひそんでいる
くちばしにこびりついた燐粉が死んでしまった!を水煙で香るが
雨だれの音楽葬でさようならする
 ....
夏野雨さんのおすすめリスト(3676)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 浅井実花自由詩309-4-2
海へ- 石瀬琳々自由詩19*09-4-2
_________- 石畑由紀 ...短歌6*09-4-2
砂漠の中の砂時計/ストリート・オブ・サファイア- 海里自由詩209-4-2
手をつなぐ生きもの- 小川 葉自由詩309-4-2
渦雫- 砂木自由詩10*09-4-1
ポアレは腕で振れ- 吉岡孝次自由詩109-4-1
サクラ銀河- 唐草フウ自由詩17*09-4-1
春の入院- 猫のひた ...散文(批評 ...509-4-1
(無題)- キキ自由詩5*09-3-31
バスが通り過ぎた- 北野つづ ...自由詩409-3-31
円玉- aidanico自由詩609-3-30
ぼくは仕事ができない- れつら自由詩409-3-30
拾った子犬- 北野つづ ...自由詩709-3-30
画板- しべ自由詩209-3-28
バスの墓場- コーリャ自由詩19*09-3-28
ひいばあちゃんの話・働くこと- 明楽自由詩5*09-3-27
月夜の草_- 服部 剛自由詩909-3-27
写真機博物館とわたし- m.qyi自由詩7*09-3-25
あまのじゃく- 銀猫自由詩12*09-3-24
産声- たちばな ...自由詩24*09-3-24
キャラメリゼ- ゆうと自由詩3*09-3-24
祝辞- れつら自由詩709-3-24
春、摘まれたとして- 嘉村奈緒自由詩809-3-23
支線- しべ自由詩209-3-23
帰る空- こしごえ自由詩10*09-3-23
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自転車- 未完自由詩3*09-3-22
稲穂のこころ_- 服部 剛自由詩1109-3-22
雨をスケッチする- コーリャ自由詩7*09-3-21

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