ある日突然窓を開けて
一羽の鳥が飛び立ってゆく
ある日それは静かに晴れた朝で
まるで船出のリボンをなびかせて
とても陽気に飛んでゆく空を
私の小指にはリボンが結ばれていて
ただ黙っ ....
じん じん
蠢いているんだろう
いや、生きている、それ。
わたしのあしにいまだにすみついていたしろへびにあいかわらずなまえはつけてやっていない
ヒューズがとんだ
耳元 ....
墜落のいちじつにある街にむき とうめいいろのもちをたべてる
12時はカラスの群でできています 7時になるとゴミあさります
通話する 波のおとだけ鮮明で でんでんむしと ひとはいうなり
....
「つむいでいくことに対してすら疲れ切った僕がいるのかもしれん」と、雨の降る窓の前でぼんやりとそんなことを考えている。誰に何を語ることなく疲れ切って。何にもない言葉をつむいでいくことに対しての僕が、 ....
ヒーターの前で
犬とネコがひとつに丸まって
弟は買ってもらったロングボードを
組み立ててる
新しく買ったココアの缶を
さっそく開けてお湯を沸かす
お姉ちゃん
冬が終わったら
....
眠れないというあなたは夜を嫌って
薄いカーテンを少しあけるのです
ぴったり壁につけたベッドからどこかへ
ゆけるとおもっています
上の方の星には目もくれずに
下のほうの街灯もみないで
中 ....
私と君がバランスを取り合うこの世界は、い
くつかの悲しみによって支えられ僅かに綺麗
な側面によって、装飾されている。書置き。
降る言の葉。てのひらを傘のようにしてあな
たは、透き通る雨に打たれ ....
声が聞こえる
とても遠いところから
すぐ近くから
ここにいるよと
声が聞こえる
わたしの隣の席から
贈り物が届いている
箱を開けると
欲しかったものばかり
微 ....
うその花にも匂いがやどりすあしをみせるこまかい蝶々のむれ
うす皮をむくようなはだとうす皮をむくような思春期の目つき
曇天のむこうがわには陶酔とうすあおがともにめくばせてさく
さか ....
死んだ人の遺したそれは、決して起こらなかった何かを思わせる。
それは瞳に触れる直前に消え、冬のようにそこにある。
私はガラス窓に息を吹きかける。
そしてただ消えるのを待つ。向かいアパートのカ ....
桜の花びらに見えましたが
それはお墓でした
とても小さな墓石でした
とても小さな人が
入っているのだと思いました
ところどころ緑に苔むして
たしかにそれでも
桜の花びらに見え ....
坂道を 転がるように 終わってく 今日にさよなら 今日にさよなら
夕暮れの 葉桜並ぶ 散歩道 帰る時間だと からすが鳴く
さびれたバス停の時刻表には 過去の時間が流れていま ....
{引用=
花霞 目に映るのは君の背に散りゆくたったひとひらの夢
北国の君に(好きよ)と花びらで書く 南風がさらってゆくよ
首筋に君が降らせたひとひらは淡い花より ....
あのひと
どっかで
こきゅうしてる
がたがた
ふるえる
じめんの
ように
とうぜんの
こと
きのうおそうしきだったよ
おやまのふもとで
やかれたよ
こころのこりだったろうね ....
夜中に灯油をいれる
つばめが驚くから電気をつけられない
灯油をいれるもの
懐中電灯で照らすもの
ふたりで作業することになる
ひとりでできることなのに
つばめがぬくぬくとすごすために
....
ぼくは病院を経営していた叔父叔母に育てられました
ぼくの部屋は病室でした
かたくて高いベッドと狭い机しかなかったけれどなんの不自由もありませんでした
妹の部屋は病院の最上階、叔父叔母の居住するフ ....
スニーカーは高いし、デザインも良くなかったので買わなかった。冷蔵庫には買ってきたばかりのコーラが入っている。 そんな気がする。海外で開発されたやりかたで、休みもなく会社に閉じこめられていたのはいつだっ ....
100403
表面から融けだして
底まで達すると
真っ黒な地面が現れる
雪が溶けた
春が来たと思う
草が生えて
花が咲き
枝が ....
あの小山のてっぺんの公園に
十七のぼくは二十六の女と上った
ふとくてぐねったまっ白いアスファルトの道
したで買ったハンバーガーは
チーズの足腰のない冷えた匂いと
ピクルスと湿っぽいパンの淋し ....
線路を描く
薄暗がりの方から
ほのかな明かりを灯して
路面電車がやってくる
駅を描く
路面電車が停まる
後扉から乗る
チラシの安売りの服を着た女の人が
前扉から降りて行く
....
Englishman in New York が聞こえる
懐かしい香水の匂いが通り過ぎる
地下へもぐる階段で
地下鉄の隣の席で
自分の左手を見つめる
指輪がひとつ
そのほかはヌード
....
鳥かごの中で
小さなキリンを飼ってる
餌は野菜だけでよいので世話が楽だし
時々きれいな声で鳴いたりもする
夕焼けを見るのが好きで
晴れた日の夕方は
日が沈むまでずっと西の空 ....
あの遠くに見えるのが、
ダウンタウンのビルの群れ
ガラスの建物達が、光りを吸っている
白い家並みが黙っている木々の中
赤煉瓦の屋根は、みなが城と呼ぶ屋敷
尖塔を空に向け
放ち、教会のよ ....
廊下にある
黒板消しのクリーナーの台に
花も水も入ってない空っぽの
白い花びんがある。
生徒たちがふざけ合い、走り回るからそのせいで
花びんにぶつかるか、ぶつからないか
そんな状況をハ ....
この世という巨きな檻で
誰もがひとつの「非常口」を探している
それぞれの足首に鎖でつながれた
鉛の玉を、引き摺りながら
背後から迫る炎の手の、一歩先を
脇目も振らずまっしぐらに ....
左折レーンにいた
交差点にしゃがみ込む人たちを見た
赤い小さな水たまりを見た
音声を風が運んだ
がんばって…
がんばって…
助手席の彼女が見たもの
人の言葉を持たない小さな生命が
消え ....
あんなに強い西日なのに
青空がしろい
硝子の影が枯れ枝をくわえて
排ガスにはたかれた欠片が歩道に転がる
少しずつ少しずつ
細いものから音も色もころしてゆく
風は大きく旋回している
....
思い出そうとして、思い出せないまま
思い出せないことを、思っている
みんなキレイで、神様みたいで、
キレイだってだけで、みんな神様みたいにきれいだ
季節が変わる/ハンドクラッピング ....
ちょっと
散歩してきます
と言って
君が出てゆく
その背中に
さよならと言って
僕のほうが
消えてしまいそうだ
そろそろ
大岡川の ....
ときには素直に
夜の空の暗さをみる
ただ光がないだけの話で
じつは日中となにも変わらないように
ぼくの思うことも同じだ
々という文字を子供の頃
不思議に思った
それをつなぐだけで ....
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