疲れはててソファーで泥のように眠っていました
さむい
友人からメールが来ていた
携帯持ったまま寝てた
返信して NHKは 心の旅
ピアノを真剣に弾いている女の人のテレビエッセイ
....
きみには本来だれもいなかった
血を分かつはずであった兄や姉はもう先に、
緑色のはなたれた地平で仲よくみつめあって
いた。ほとんど恋人のような握りかたの
手と手
は
かたくリボンで結 ....
{引用=
草の先を
むすんで
おくのだという
悪戯心
という
生易しいものではない
もっともっと切羽詰まったもので
おさない死児が
先に逝った親しいもの ....
逃げるな
電車は来る
連れていく
時間通りに
決められた
その経路を
なぞるために
伸びる轍だ
逃げるな
明日はくる
世界に
嘘の雨が降る
私の呼吸は
それに従う ....
君の母の納骨式が行われた日の夜
朗読会の司会を終えた僕は
仲間達に手をふって
高田馬場駅に近いコンビニの公衆電話から
( 今、終わったよ・・・ )と、君に言った。
久 ....
何だっていいからはしゃいでいただけの夢だったから振られたのかなぁ
なつかしいにおいの雨だと思ったがなつかしいのは雨の日だった
あられもない願いだったね 流れ星消 ....
長い夜が来て
ようやくほどいた指に
触れられてキズついた
胸の花
はずれたボタン
合った目線に
あしたまで踏み抜くような
きついアルコール
すっぱくて染みる君の味
ひらいて
こ ....
僕はケータイで
ニルヴァーナの
「十七歳の娘の匂いにむんむんむらむら」
を聴いていた
そうしながら
いつの間にか
旦過市場の異次元に迷い込んでいた
魚屋で一匹の
真っ赤な
鯛が
「 ....
ぼんたん飴をすりつぶしたように
雲がうじゃうじゃ
あとは青
みんなみんな神宮橋を渡る
横から波と風、羽、工場からのガス
大きな風車がいくつもいくつも見える
車はまっすぐに走れ
....
生活という
意味の解らなかったものに
私は浸っている
めいっぱい
空を目指して
夢中で枝をにょきにょきと伸ばしていた
わたしに
生活とは何かを
知らされることはなかった。
社会科 ....
空白は皿の上に在る
私はパンを籠から取り
ナイフで割る
そして
硬く焼きあがった皮を千切り
ワインを飲む
空白はやはり空白のままで
給仕が皿を下げ
新しい皿を私の前に据えた
....
無防備な網膜を焼き尽くすように
太陽が全力で燃え盛るなら
私は夏の夜になろう
草いきれの温もりと一番星の子守歌
小さな背中をくすぐる風で
零れた涙を何度でも拭こう
私の祈りは雲にな ....
本の索引をめくる
たくさんの指紋がついている
たどって行くと
エスカレーターがある
エスカレーターに乗って
植物の茎を昇っていく
やがて一枚の葉が終点となる
葉の先端には小さ ....
古ぼけた
駅の路線図にある
黄 赤 青 緑のライン
一番先っぽのほうは
背伸びをしても
よく見えないが
「とりまる」
と書いてあるように思えたから
「とりまる」「とりまる ....
食卓の{ルビ笊=ざる}の上に置かれた
柔らかい柿達は
それぞれに傾きながら
ひそひそと、会話をしている
( 厨房では蛇口から
ぽとん、ぽとん、と水が鳴る )
初老の ....
満月の宵、何処からか琴の音のする温泉で
畳の寝台に横たわり、いちめんの夜空を仰いでいた
霞がかった雲の向こうに灯るいくつかの星は
遠くから、僕に何かを{ルビ云=い}っている。
....
しってた
この空気 この色
のど飴がとけてる
いつのまにか
ぼくら季節をまたいだね
あした、またあしたと
進んでいくはずなのに 後ろ歩き 逆回り
ただトランプをきるだけの簡単なお ....
そしてやっぱり日々はつづき
宙返りした空が浮いたり沈んだり
それにあわせておれたちも浮いたり沈んだり
眼の覚めるような光の降る街!
けだるさや
ちょっとした絶望を明るく照らして
お ....
あなたしかいないと気付かされるたび 何度も0に戻る失恋
起きているときと眠っているときのひとりは違う孤独みたいだ
もうあなたのようなひとには会えないと思っても光る十 ....
あめのおとを
きいている
とおもっている
わたし
ひとのこころが
みえている
とおもっている
あめ
のようなきがして
まっている
すてられた
とう ....
今夜は、僕が特に親しみを感じる詩の友が集う忘れ得ぬ日なので、僕が最も大切な{ルビ女=ひと}と出逢った{ルビ縁=えにし}の糸を{ルビ遡=さかのぼ}ってゆくことで、人と人の・・僕と彼女の出逢いの不思議を ....
あなたはわたしに「ななし」と名付けた
それ以来わたしは薄い皮膜を漂っている小さな虫。
光らない星、開かない窓、結ばれない紐、濡れない傘、
ない。ない。ない。ということでしか ....
壊れた時計をいくつか
この部屋に飼っているので
どうやら時空にちょっとした罅が入ってしまったらしい
ふいに宙の思いがけないところから
時ならぬクロッカスの花が咲いたり
誰のものとも知れぬ指た ....
轟音が
前頭葉を打撃し
頭蓋は中空に
中空に咲くイメイジ
種子は咲けぬ地平に
飛び散り
干乾びながら
次の運命を待つ
飛散した眠り
目覚めは
触れぬ距離を保ちな ....
他のどの白い花木にも思わない山茶花だけが降る雪に似てる
結納を終えほっとした友の父「本とマンガは全部持ってけ」
落ちたザクロ割れ目ざっくりぎっしりとダリのルビーがのぞいて見えてる
....
小さい子どもを間に挟んで手をつなぐ、なんて
最初で最後かもしれない
そう思ったら
なんだか泣きそうになった
明日の保証なんてどこにもないし
想いを伝える日もきっと来ないだろう ....
なにかをやりつづけていると
なにかをやりつづけているなりに
できているわたしがいる
こんなこともできるんだね
あるひとが
あるわたしをみつけて
いってくれた
それでい ....
じゃらじゃらと指があそんでる
手のひらをすべる舟でゆく
月のない
だけど明るい砂の上
大切なものがさらさらと
くびれた小瓶に流れこむ
オールを漕いで 砂を ....
秋を洗う
ダイヤモンドの花
プラチナの雨
慈愛
このオレンジの果てを
思う
果てに止まない開花があるとして
それが 想像が及ばないほどに 美しいとして ....
この街の
いたるところにかけられた
モザイクを撤去する
工事がはじまっている
モザイクがかかっていた
懐かしい街並は
高層マンションに立て直され
その中の暮らしは
モザ ....
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