sénṭəmənt
あらい



 ありのままに定めよ天馬は(苦い、)余裕ぶって
 山百合の旋律をそのままに見つめても気だるげで

この影は、
どの光も。書いた言葉が外縁を彷徨いながら
     頬は触れた感覚をもとめている

そのくせ雨季を慕ってはクチバシで隠れようとする

   青い鳥よ わかるかい?

弱々しいファッションのよう
木漏れ日はかがやくように
ひとつの詩篇を聞き取り
端を折り畳んでそっと隠す。
             あの輪郭の交わる境界
               風の音に耳を傾け
          無言のフタバのようなものが
                 静かに息づく

      淡く消えゆく線が、

  ピアノに炎が咬糞するような 脈動にみられる
     忘れられた暗渠に空気を探る手のように
     外縁を覆う意識は、静かに糸を紡ぎ込む
     切りとられた燃えさしの炭が指標を刻む
     蠢く銀の瓦礫なら 何もない重さを感じ

     いま、カケラたちは 
         針金で焦げた木の香りに思わせ
        漂うは存在だけ許されたところだ。

 遠く保つ無限は
 ちいさな音の波紋
   この静けさは 低くふさいで、何も恐れない

       コンパスの針が少し
        /震えが伝わる
         吐息が舞い上がる

     まばたき程度の夢のような光は
     酔った勢いで狭間にゆれる
   霞む空の軌跡は無数の空白をのばすと
 「まだ、うたいたい」と、静かに歩みをとめる


              ――ゆるい公園だよ。


低く小さく夜風は パチパチ咲いているだけなのに
水の中で響く、不安定な赤土を盛り緑青に告白する

     ――この端末の居酒屋に不時着した奈落
  まるで欠乏した砂に 土のうえに散りばめられ
  水面に触れるゆびさきは、分解されすべり降ち
 虚空を渡るその過程で 目に映るものは通りすぎ

存在しない旗がゆれる          
その軌跡は 焦点は 
   
あざやかに、まっていた――           


 伝票は白紙のまま、数えることを忘れている。
    錆びたポルシェとなにを話そうか
  午前二時。レースでできた礼拝堂は頷いて
   カラダが沈み込み、静かな航路を描く


             ――わたしは耽読した

まるで古い絹布がほつれるように旋回し
小一時間のんびりしたあと
深く肺に忍び込む形のないものを
(それだけの一瞬)
ばらばらにおぼえてゆく





『そのものの価値を認め、強く引きつけられる気持。
                  あい(愛)』



自由詩 sénṭəmənt Copyright あらい 2024-09-02 07:54:44
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