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ほどなく
空は なだめるように
いくどかのまばたきをした
何度目かの夏
もうすぐ花柄の猫たちが
砂丘のほしに
帰ってゆく
波の音
水平にひろがる
君のこきゅうと 両腕
ほど ....
あの日
びるのてっぺんは
どれだけ
さみしいひかりがみえたの
むてっぽうなことで
きみも
やっぱり そんを したのだろうか
そっとちかづこうとすると
花をちらすみたいに ....
{引用=近道して
とおりぬけた石段に
昨日の雪が つもっている
桜に降る
ちいさな雪が
毛布のように 町をくるむ
あなたは
商店街のゆるやかな坂を下り
あおく ひかる
....
こっそりと
ゆびわをかじると きいん とする
ぽっかりと
ちいさなあなのあいた夜
空の一部を
せろはんてーぷのぎざぎざで
ひかりのかたちに
切り抜く
わたしのへやで
ちか ....
花のあいだで
ゆれている、そらの
うすくひかる すずの音に
目を閉じずに
さよなら は言えず
いちばんかんたんな発音で
ゆびのてっぺんを空に向け
開いたままで
ふいに
....
1.「ナオタへ」
{引用=すこやかなよるに
知らないこと を
ふたりで 机にならべた
フライ返しで
ナオタは
ひとつずつ
ひっくり返した
ナオタは
ゆびがやわらかくて ....
ころがる
しずかな すいへいせんの上
あさ
お茶をわかしながら
てのひらで
背骨をなぞった
恐竜のように
そらへとつづく梯子の ように
あなたが
つづいている ....
手袋の
こすれるすきまから
しろい空気を ふー、と
吐き出すと
それは
青い空にのぼってゆく
きれいなけむりに
よく
似ている
それで
つむじは むずむずして
町も ....
ゆびわに
そっと磁石をちかづける
朝
ななめのばしょで
かたむいた空にみみをつける と
ゆびさきから
そまる
淡いあさやけのいろで
誰も彼も
うすまってゆく
呼吸 ....
{引用=
金色が ふる
まちがすこしずつ
つめたいもようをかさねた ゆうがたのこと
きみが
道路の真ん中で
おおきく手をふっている
さけぶ声はきこえなくて
きらきら ....
ほら みて
ふってるよ
と
あなたが言う
窓の外をみると
ぎゅ っとひざをかかえた雪
みたいな雹が
こつこつと
じめんにおちてきた
なんだろうね これ
ひょう ....
あなたは
きえそうなひかりのまえで
手をかざしている
胸元から
オイルの切れそうなライターを出して
何度も 鳴らす
うつくしいけしきの
まんなかにいる
いつも
き ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈
きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
おへそに つめをたてて
ぎゅっと押す
ざらざらとはみ出してゆくのは 宵の空
じいんとしていて
冷たい
暖色の
とうめいのふくろのなかに
とけては完結 してゆく
線路の上 やねの ....
花瓶の中の水曜日は
ゆっくりとながれてゆく
水のように透き通って
ざらついた日々が
回覧板にぶらさがってる
今はビニールの袋に音もなくおさまっている
でもそれも
ちりぢりになった ....
南にむかって
角をひとつ 曲る
てのひらに
陽の照るように
ゆっくり
あなたのほほからたちのぼる
あたたかなあめの 午後は
甘くて
空をむかえる地べたのように
五つのゆびを ....