矛盾の人
フミタケ

僕はまるで
死人のようだ
poemの詩
ではなく
deathの
死だ
何の意味があるのかと
流したいつかの涙より
僕の情熱は
冷たくなってしまった
大切な事を伝えるために
どんな言葉を
話せばいいかも
もうわからないまま
声はそこまで伸びてはいかずに
君の手前で
途切れる
僕はまるで
死人のようだ
地中に埋もれ
時間をかけて腐っていく
その土の上では
悲しみを知らない子供たちが
10月の雨の下
踊るように
スキップをしている
けれど見落としてしまいがちな事は
子供たちほど
傷つくことに無防備でなくてはいられないという事
僕はまるで
死人のようだ
死人に似ているからといって
ネガティブにとらえないでほしい
それは
死人に失礼である
僕はそれを誇りに思う

僕はまるで
猿のようだ
動物園へ行くと
つい 長い時間
猿山を眺めてしまう
難しい事は
あまり考えないらしい
にぎやかなところが好きらしい
調子に乗るとどこまでもエスカレートするらしい
僕は猿のようだ
服を着て歩き
言葉でリズムに乗り
恋に落ちる
猿だ
猿に似ているからといって
笑わないでほしい
それは猿に失礼である
僕はそれを誇りに思う

僕の紡ぐ言葉は
まるで
低予算のB級映画のようだ
社会に何の役にも立ちそうにないし
行き当たりばったりで
その場その場の都合で
たとえ物語の途中からでも
コロっと設定を変える
作り上げたものに対して
愛着なんてなく
明日も見えないまま
無責任なほど
やりたいようにやるだけ
低予算B級映画に似ているからといって
脱力しないでほしい
してもいっこうに構わないが
それは低予算B級映画に失礼である
とはいわない
誰かのつかの間の暇つぶしにでもなれたらと思うよ
僕はそれを誇りに思う

僕の人生は
まるで
クリスマスローズのようだ
真冬に咲く
庭の小さな花
貴重な薬草として
重宝されるが
扱いを誤ると
猛毒
そんなふうに
この人生は
矛盾にあふれている
僕はそれを
誇りに思う


自由詩 矛盾の人 Copyright フミタケ 2008-10-22 00:50:28
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