震災忌ただただ涙溢れてくる
優しさで解決できないものは本来問題ではないのだな
めざしのような
ししゃものおなか眺めては
惚れたと思ったあの気持ち
いったいどこへやったのか
箸でみそ汁つついて探す
夕餉の残 ....
こころを見つめていた
だからなにをやっても
伝わっていなかったんだ
傍観者ではだめだったのだ
こころをこの肉体に
いちどはぜんぶ通してみなきゃ
傍観者ではだめだった ....
晴れた日にうたう歌がある
雨の日ににうたう歌がある
僕には、歌がある
意識の地中に
閉じ込められた想いは
言葉になることも許されず
凍てついた時間の底で
膝を抱え込んでいた
想い出したように吹く
溜息によく似た風を頼りに
出口を探したこともあったが ....
分かってる。
どうせ、
明日はくるんでしょ?
分かってる。
....
晴れた日 銀の洗濯棒は陽射しに熱され
光を宿し 立ち尽くしている
光を受けない所は 銀棒のまま
横にかけられた 渡し棒とまかれた鎖を支える
重しにはめこまれ 土の上に立つ洗濯棒
洗濯物が ....
孤独と隣り合わせの自由
愛と背中合わせの孤独
無数の愛と自由と孤独が春の風に舞う
窓から望む 菜の花畑は 春霞
重ねた手の温もりは幾つかの時のかけらを記憶の襞から呼び覚まして
....
化石少年は砂岩の中にある海中生物の
痕跡に魅入られていた
数十万あるいは数百万年の時を経て
無名の海底生物の生きた証左が地の中の眠りから
主亡き痕跡という奇跡の造形のままよみがえる
....
プラナリアに会いたい
永遠の命かもしれないプラナリア
世界は、春霞ではない 黄砂だ
降り注いでいる微妙な沈鬱が 世界を覆っている
それでも 季節はまだ めぐっている
水仙の花は ....
鼻がかったほのかな声
それを聞いていると
口では言いたくないことを
つよく固く思ってしまうのだ
おまえのすべてがうまくいきますように
すべてのなかのその一つが
しょ ....
露天の さまし湯に 独り
寒緩む月の右側に 一番星
やがて 一つ二つ
あとは
何を思うわけでもなく
考えるわけでもなく
湯煙と たわむれながら
....
絶望のしずかな荒野に
インスツルメンタルが鳴り響いていた
降りつもる痛みや悲しみ
こぼれ散るひかり
ゆっくりとゆっくりと
絶望のしずかな荒野に
インスツルメンタルが ....
古本屋のおじさん
ぽっかりあくび
あくびした先にほら小さな宇宙
小さな宇宙のなかに
あらやさしい雨
雨の中にまあ謎
謎の中にそう男と女
男と女がまたあくび
....
ものの芽を横目に証拠埋めている
マナーモードなのに大きな音で震えている
すごく苦しいよ
失うより
ほんとにましなんかな
すごくぼんやりしてる
黄砂とか
そんなん関係なしに
すごく会いたいよ
歩くとか
そんなのですまないから
すごく苦しいよ
失うより ....
この指の先に
宇宙があって
人が住んでいるとして
(たとえば人差し指に その先に)
ミエルデショ?
その人の指の先にもまた
宇宙があり人が住んでいるとして
エンドレス
....
(不器用であることは、罪ではありません)
林檎の皮をどれだけ長くむけるだろうかと
無邪気にはしゃいでいる間に
途切れてしまった命はいくつ
あの赤い肌をすべっていったことでしょう
....
できないさようなら
縁側でひかりだけ
生きていてほしいから
さようならできない
ひとりで今から
ひとりで眺めて
ひとりで歩いて
がんばっていたんだ
生きていてほしいから
縁側でひかり ....
黄砂で夕日が月みたい
悲しい痺れにうわの空
なんにも手につかない
なのに頭は頑張ってる
体が乗り物みたいだよ
こころを感じろ
こころで感じろ
それだけなん ....
人はどうして悩むのだろう
取り囲む壁を透明にできればいいのに
人はどうして迷うのだろう
目の前の道を一本に出来ればいいのに
人はどうして哀しむのだろう
二度と離れない紐があればいいの ....
墓荒らしにあったみたい
理不尽すぎるからだと心
あしたはここで
最後の朝だ光だ
あしたはここで
最後の目覚めだ
これで最後だ最後の夜だ
あれが最後か最後の夜だ ....
今日という一日に数え切れない
(ありがとう)が、隠れている。
よく晴れた日の夜空に
いつのまにか姿を現す
あの星々のように――
石巻の仮設住宅に住む
Tさんに新年の電話をした
「あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします 」
「いよいよ来月から
津波に流された場所に、もう一度 ....
人生は一瞬一瞬の光を増すための努力
最期は一筋の光となって空に流れればいいさ
亀とは
亀のようにゆっくりなペースで成長中の私の長女
この間9歳になった
その亀
学校以外の場所では
とっても朗らかでおしゃべりなのに
小学校入学以来
教室で全く口を利けない
少人 ....
小さなあなたに逢いたくて
路線バスを乗り継いだ
海を追って風を切り
バスは走るどこまでも
裸足のすがた追い ....
私がかなしいのは
海が波立つからではない
海が波立っているのは
私がかなしいからではない
あまりに遠いところから注ぐ
あまりにも薄い光を反射して
波がしらのひとつひ ....
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