合格の通知来ぬまま卒業式
新札にて切りたる指や暖かし
やまびこ眠くなるまで
汗をかいた
汗で目がしみる
生物として
人として
うれしい
曇っていても
太陽を感じる
風が吹かなくても
体温を感じる
くよくよするな
汗をかけ
ひか ....
あたま痛い
こんな夜
乗り切りたい
寂しさも
わからない
響きあう
遠くのキラキラ
はんぶんのUFO
かじってみる
冷たいトマトアイス
....
私の スカルは 玻璃(はり)の うつわ
スキルは からっぽ なにもないわ
I am a ボーンヘッド頭が固いって言われてる
けど いつかきっと はじけるのよ
石頭なりに 夢見ているの
....
ただしい孤独は
凛として涼やかな音色であった
愛しい憂鬱は
窓辺に花をさして髪を梳かす
美しい季節は
褒めそやされて散る花びら達で
そこそこ保たれるものだ
どうしようもない時 ....
団地の狭い庭に桃を植えて
安くて新鮮な桃を食べようなどと
欲を張ったのだが
日当たりは良くないので
おいしい実がなったかどうか
それも分からないまま…
たっぷりの肥料と
水やりをし ....
飴を取るときはひとつ
飴を頂くと手のひらにふたつある
言葉の意味を調べてひとつ知る
誰かと話をしていると
いつの間にか言葉の意味をふたつ知る
買い物帰りに今川焼きを買うときは
ひと ....
団地の一階のベランダの下
ひみつ基地
アルゼンチンのサッカー場
はがされる
猥雑な清純が広がっている
オイルショックも
社長も東京もタクシーも
まだ青かっ ....
まだ見ぬ不安に
コントロールされる
動悸
圧迫
冷静
死ぬのがこわい
死ぬときはひとりだ
外灯にみどりが鮮やかだ
バスとすれ違う
夏の夜がにじ ....
ああ神よ どうか
四十五パーセントくらいの誤解をお与えください
少なくても三十五 三十は行き過ぎです
勝手な想像と思い込みで
悩んだり喜んだり
怒ったり主張したり
素敵な誤解を捧げあって
....
慈愛の糸でできた繭のような部屋は、安心だ。
管制塔のように 耳の中の音を分析する。
母の補聴器の購入のために 街にでた
街は祭り日。
耳の不自由な母と 私の世界は どれだけちがうのか
....
あの信号が変わる前に渡れたら
きっと うまくいく
ありふれた願を懸けた
決して走ってはならない
ありふれたルールを課した
早歩きがどんどん早くなる
早歩 ....
父の手をさする
硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように
節くれだった
頑丈な父の手
鍬を ....
本当の涙は右目から溢れ芝居の涙は左で光る
一片の未練もなく
人を切ることができるなら
こんな憂鬱な雨の中だって
やすやすと泳いで渡っていけそうだ
あなたは繊細だから、と
人にいわれた
それは褒め言葉ではなく
弱い人間だと露呈 ....
最近
中二の娘が笑わない
あまりにも無愛想なので
お前最近目付きがゴジラに似てきたな
と
言ったら
本当にゴジラみたいな目で睨んできた
あまりにも怖かったので
さっさと自室に逃げた
翌日
静岡に帰 ....
私は知っていました
あの林檎に毒が入っていたことを。
隣国の王子様が
私を見つめていたことを。
私は知りながら食べました。
毒の入った赤い林檎を。
倒れた私に王子様が
キスをくれ ....
青い線、白い線
白い直線、青い直線
上下につき
真中に茶色い基部
何となくふと涙ぐむ
黄色い灯りがともる
われらの居間
村岡花子の生涯
今テレビに観る
人は美し
あの時代に街を彷徨う男は
夜の気配のする街角で
剣玉を所在なげに操る
夕暮れの街灯の下
足を組んで剣玉する男一人
街灯から降り注ぐ
まやかしの光の粒は
ぼーっとした色を男に与え
髪 ....
曇り空に月が隠れている
それが透けて霞んでいる
不愉快な風も風は風なのだ
一掃きしてくれる風なのだ
赤字がひとを頑固にさせる
ひとを腐らせもし
不満のかたまりに ....
ダンボールに愛が1ヶ
ワレモノ注意
落とさないでください、くだけます
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(ジョウビタキの♀)
これまでは耳を開ける事はなく
いつも音楽を流し込んでいた
今はイヤホンを外して
外界の音を追っている
鳥の鳴き ....
根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛
古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛
依存することを嫌い
愛されることを拒んで
君は自分にな ....
蹴破る足はないが
閉された扉の前で待つ気もない
おれ自身が監獄
だから言葉は旅人だ
去り行く背中に
翼など無く
タダノモジノラレツ蟲は
預言の首飾りの哀歌 ....
海の匂いがする風が
過ぎていく時に
光と
圧と
匂いと
音で
描く
飛ぶ
鳥は
海風に向かい
まるで静止しているように飛ぶ
鳥は
生きる ....
>吹いて
<吸って
<吸って
>吹いて
あたたかい息が
リードをふるわせると
やわらかい音符があらわれる
>吹いて
>吹いて
<吸って
>吹いて
さみしい唇を
....
誰もシラナイ理由が無い
わずかな隙間を生きているような気がするんだけど
近代現代近未来
産業ロボットはやがてラインを離れて
どこへ行くの
母を殺し父も殺して最果ての
流刑の地さえも ....
夕鵙やひとり暮らしの部屋の窓
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