出張から帰って来たんですね?
ああ、今朝ね
クアラルンプールは暑かったよ
今夜はいつもの焼き鳥屋さんに行きますか?
珍しいね ハチから誘ってくれるなんて
でも、もっと上手い ....
パスカルの「パンセを」を開いたまま
{ルビ転寝=うたたね}をした、瞬時の夢の一コマで
見知らぬ教師は
黒板の上から下へ
まっすぐ白い線を、引いていた
そこで目覚めた僕ははっきり、{ルビ識 ....
めらめらと、只めらめらと
燃えさかる火を、胸に潜めて
{ルビ一日=ひとひ}を生きよ――
気づけば、今日も
日は暮れていた…という風に
140110
新緑の町から湧き挙がるパワートレイン
ドリブンされた満腹感を味わえ
指令の下にひた走る亀裂だらけのハイウエイ
国税庁の管理の下に地下深く ....
光の子供たちが浮遊する緑野に
きっとこころの種もあるのでしょう
跳ねてはしゃいだり転げたり
悪さをして群れている子供たちに混じって
金色の繊毛におおわれてふわりと浮かんでいたり
葉に ....
焼き芋の包まれている新聞紙かすかなインクの匂いも食す
くくられた新聞紙の椅子の上あごひげという名の猫がくつろぐ
ちぎられて水にひたさればらまかまれほこりにまみれて新聞紙逝く
世の中の ....
目立たないように、だけでは淋しいので一点ものの封筒を買った
案の定きみはヴィンテージ切手風のシールを息を止めながら剥がしていく
少し厚みのある封筒
80円ではきっと届かない
不規則なぼこぼこで ....
夕暮れの空を見上げると
今日はお月さまがいない
と思ったら
真上やや後方から呼ばれた
「ココニイルヨ―」
ふりあおぐと三日月
こないだ見たときは
真っ黒な空の真ん中で
薄笑いの口みたい ....
広告の多い新聞松の内
西鉄の帽子やCHAGEの誕生日
たかじんの死んで雨降る浪速かな
瓶の中にとり残された
ピクルスひとつ
蓋が開くのを ただ
待っているだけの日々
見通しが良すぎて
すっぱい孤独
《ピクルス:2013年11月10日》
十六で嫁入りした祖母は
まだ娘だったから
近所の子供達と鞠を突いて遊んでいた
すると 嫁入りした女はもう
そんな遊びをしてはいけないと
誰かの叱る声が聴こえて来たという
春の夜 ....
東京駅構内
3歳ぐらいの男の子が
しまじろうのぬいぐるみを落とす
ハイヒールを履いた女性が
しまじろうをつま先でカスるように蹴飛ばす
20cm程前方に滑るしまじろう
し ....
時間はレンガとなり積み上げられてゆく
今夜はロボットたちと宴会しよう
私の手はロボットより冷たいから
本棚から現代詩を抜き取り
そこにレンガを入れる
ロボットたちにみせてあげる
ロ ....
腰が大きく曲がった
近所のおばあちゃんが通るたび
あの中には何が入っているの?
と、母に質問して
そんなこと聞いてはいけません
と、言われた
大人はいつだって
ほしい答えをくれやし ....
花柚子を貰った
実家のお向かいの家で
段ボール箱3箱も採れた内
実家でいただき、
そこから、
わたしも鍋いっぱい分けて貰った
柚子は好き
柚子胡椒も好き
柚 ....
小寒のハニートラップネオン街
ゼクシィの角で殴られ四日の血
水曜の月夜
頭痛には目を瞑って
メトロは川を渡り地下へ潜る
長すぎる日と日の間を捲る
短いスカートの権利は明け渡していない
いくつで
はじめます?
手も繋がずに坂を上って ....
正直そこいらへんは
曖昧だ
誤解していたよ
僕らはよく
人生の節目などと言って
「節目」を何かの区切りみたいに
扱っていたけれど
君たちの節目は
違ったんだね
普通の植物の
成長点は
先端の1カ ....
紅茶に檸檬の一切れを
ぎゅ…っと搾ったら
カップの中が
ぱっと明るくなりました
目の前のあなたにも
一日一回
垂らしてみたい
檸檬の滴
引き出しの奥に置かれた、消しゴムは
単なるゴムの塊です
空地の{ルビ叢=くさ}に埋もれた、車は
壊れた鉄の死骸です
消しゴムは白紙の文字を消しゆく{ルビ瞬間=とき}
車は道路を走る瞬 ....
黙っていのちを燃焼し
自らの体を溶かし
闇夜を仄かに照らしてる
あの{ルビ蝋燭=ろうそく}に、私はなろう
1995年
この道が好きで
通勤路にしていた
国道16号線の裏道
川間のあたり
季節の花がいつも咲いている道
楽しげな子供たちの通学路
ゆっくり車で走っていた道
ある時
父と ....
おおゆきが降った夜
雲の切れ間で
三日月につかまって
空中ブランコしてたのは
木の葉の舞う頃
行方不明になった黒ネコ
最初は新聞の折り込みチラシ
猫のアップの写真の下に
「飼い猫を ....
露草な心のまま こぶしを天に突き上げ
リズムを刻むたび 霧が 晴れてゆく
遥かな思い出は 縁側の飛行機模型
竹ひごをしならせて 夢は青空
若くて死ぬことも
老いて生きることも ....
言葉を編み
視線を編む
少しは暖かくなってくれたかな
夕方過ぎの薄闇の中
自転車に跨った
塾帰りの少年少女
信号機は止まれのままだ
いずれ青に変わる時が来るのだから
ゆっくり大人になればいい
僕はと言えば車の中
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182