きみの取扱説明書をみつけた
ちょっと古びて
もう保証書もどこかへいってしまった
皮膚を剥いでゆくように
すこしずつものを整理してゆく
基本性能だけでいいのだ
死ぬまでにデフォルトの ....
ある日
水槽の中で泳ぐ
熱帯魚が
テレビに映った
青い南の海をみた
こんな狭い
水槽の中では
すいすい泳げない
テレビに映った
広い海に憧れて
ここから
逃げ出そうと ....
右手の痺れがとれない
小指と薬指の感覚がない
いつもの山田先生はひとこと
これは頸椎だから松崎先生のところに行きなさい
まだ午前中で間に合うから
ちゃんと血圧も測ってね
松崎整形外 ....
お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ
金魚に餌をあげていたら
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
その ....
語れ、あなたも
最後には死ぬ者として
あなたの語りたいことを語れ
語れ
しかし自らを否定するな
されど他者を矮小化するな
あなたの語りたいことにも
また意味を与えよ
それに陰り ....
のばした爪に 皮をゆだねても
みかんは 指を求めていないのです
力ですか 許しですか
欲しいものを求めていますか
甘い実にも捨てる場所がある
どうしても受け入れられない
どこか ままな ....
世界には
無数のルールがあって
その
ルールの狭間で
私たちは生きている
お愛想、お願いします
そういったら
友人にたしなめられた
それは違うらしいよ
お愛想は
お店の人 ....
黒猫の背なの曲線今朝の秋
蜩や東京までは恋のなか
蜩の声や形見のハーモニカ
150817
私たちが全米一位のミュージシャンです
ちんどんちんどんまことに淑やかシャナリと鳴らす
全米とはお米のことではあるまいか
疑り深い私たちが鎮問屋を問い詰 ....
せみの大合唱
だるい
こんな日はお空にとけるねん
堕ち続ける夢をみるのはこれがはじめてでもない
ときどき浮遊する夢もみるが
たいがいは堕ちている
奈落に底が在るとしたらいつそこにたどりつけるのか
それとも俺は横方向に無限に移動している ....
熱い日ざしが 爽やかに木の葉を青く染める
夏休みになって 少し賑やかになった
迷惑なような 嬉しいような顔
普段は老人ばかりの 閲覧室の空気
戦争中のことを書いた本を広げて
いつかの ....
150815
原発が再稼動したのだから、パネリストは廃業だね
今度は、原発推進派に鞍替えて声を張り上げよう
太陽光発電の買い取り価格は高すぎる
原発が再稼動したのに ....
あたしはねわかってるんだよおまえさんが腹の底で何を企んでいるかなんて
綺麗事ばかり並べたて親切そうな表情でああ言えばこういう
はぐらかし話をすり替え丸めこむ
丸めこんだらこっちのもんだと思ってる ....
光で埋め尽くされて行く影
影で埋め尽くされて行く光
詩で埋め尽くされて行く空白
空白で埋め尽くされて行く詩
沈黙で埋め尽くされて行く会話
会話で埋め尽くされて行く沈黙
過去で埋 ....
また明日
と別れたゆきちゃんと
夜中にあいました
夕方、
星空、
寝てたら来る次の日は
まっさらな明日のはずだった
新しい明日のはずだった
夕方、
星空、
爆弾、
爆弾
....
太陽の厳しい陽射しにさらされて
赤黒く色褪せた
夕暮れを夜空に染める
とても細い雨降りの音は
真夏のRequiemのように
聴こえて微かに哀しい
久しぶりに
ゆったりと
寂しく過ご ....
あみ戸をほんの少しだけ開けておく。
すかさず外にいる犬がやってきて、
そのすきまのそばで入りたそうにしている。
すきまを少し広げる。
あたまがひっかかる。
犬はあきらめる。
ネコなら手で開 ....
亡くなった翌年の父の誕生日プレゼント
花束はバースデーなメロディ付だった
録音部の端を知らずに千切って
乱雑に放り出したらハッピーバースデー
痛みだらけのハッピーバースデー
それでも何百回父 ....
遠い夏は旅の果てにある 汽車が鉄橋を渡って
青い駅に着いたら スカートを翻し
湧き上がる雲を見上げて 目を細める
見慣れた飛行機雲が 交差する
引込み線には 背の高い雑草が風に揺れ ....
楽しみましょうよ
今のうち
自分の足で歩けるうちに
林檎の果実の熟さぬうちに
自分の言葉で話せるうちに
自分の頭で考えて自分の声で歌えるうちに
怒りましょうよ今のうち
自 ....
戦火を避けて祖父の家に疎開していたぼくの
ノートや教科書と一緒に
街にあった家が焼け落ちた翌日
父は硝煙クサイ鉄の筒を持ち帰ったが
それ以来 街の家のことは口にしなかった
道を挟んだ隣 ....
🔶
愚か者は僕だ
笑いながら 手は震えてた
伸ばしかけた手を伸ばす場所さえ
わからなくなった
落ちる雫を忌々しく思い
それに また笑った
いつだって あの頃の君がよかった
....
冷蔵庫の中でしずかになにかが貯蔵されているが
それはけっして常温の空気のなかにはでてこないものかもしれない
陽光のとどかない深いうみのそこで
眼のないいきものたちが生命活動をくりひろげていて ....
150812
残りの足は
宙で停止したまま
顔が引き攣っているのか
それとも誰かを威嚇するのか
正面に回りこむ余裕が無い
スマフォを持たない貧乏狐め
腹立たしい ....
雨が降り始めた
何処で これ以上 笑えばいい
景色の感覚を剥ぎ取られて
白い足の子供たちが
死の石と兎の上を
水蜜のように歩いた
さらわれてしまう耳目
暗渠から招く文字のうねり
疑問と ....
発火する手前で
なんとか世界は持ちこたえている
そんな暑さだ
空へのばした緑の手は
もはや力なく横たわり
おそらく
何もつかめないまま
花さえ咲かすことのないまま
明日には
残骸 ....
150810
名前なんてどうでも良いだろうと
本音を吐いたら、酷く叱られる
名前を間違えるのは、個人の尊厳を冒す
とても暴力的な行為なのだとも言われた
私は、酉年生まれ ....
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