死に逝く間際
人は自らの人生を 遠く
心象風景として眺めると言う
ある者は石くれの丘に広がるぶどう畑を見た
長年の労苦のまだ見ぬ結実を眺望し
その芳香と甘さを味わうかのように
微笑みな ....
「明日」
ATMから引き出そうとしたら
お客様の明日は残高不足です とアナウンス
借金ばかりの恋で底を着いたのか
利子もあの子ももう赤字になって去っていく
振り返るのは嫌いだが
この ....
知らん間にこわがりになってもうてたわ
しゃぁないやんって、言うてぇや
なぁ、なぁ、言うてぇや
銀座には銀座の恋や水木咲く
ボール蹴る小さき足や夏に入る
性欲のあるロボットや夏に入る
彼女にあげたギャグ回収している
夜空の星を撃ち落し
野に転がった光の匂いを
猟犬の鼻に辿らせた
茂みに瞬く星明りは
拾い上げても尚
掌に小さかった
なぜならそれは
潰えかけた
希望だったから ....
ほとり 泉に 群れ 飛ぶ月の 彼方
行方 揺れる しぶき ふける 風に
釣り込まれる 草葉 影音 臥せ 夜
咲いて 咲いて 残す ひき むろ
小石に かせ 花に かせぬ 夢土
....
{引用=
山色も褪せる
賽の河原とよぶ 山の端に
鬼がいっぴき 住んでおった
大酒喰らいの 赤鬼
人に化けては 濁酒を飲みにくる
細かなことには、気が向かぬのか
角を 忘れて ....
針を手にした(無心の手)は
今日も、布地を進みゆく
長い間歩いて来た
あなたと僕の足跡は、あの日
{ルビ布巾=ふきん}の遠い両端から始まり
それぞれに縫われる糸のように
....
窓の外の遠くには
丘に建つ一軒の家があり
四つの窓が
目鼻のように開いている
□
□ □
□
あ、窓から子供が顔を出して緑の風に{ルビ靡 ....
ゆるゆると、海へと続く道のり。
キラキラと、柔らかな陽射しと微風。
ふわふわと、向こうの空を一羽の白鷺。
B,G,Mに、「Continuum」by.John Mayer。
....
ぱたぱたとひるがえるちいさな二足のズック靴
幼稚園への近道で
つないでいた手を離し
走ってもいいよというと
かならず笑い声をあげながら
細い坂道を駆け下りていった
その弾む後ろ姿を
おぼ ....
白いアスファルトの上を
やわらかい風が渡り
ときおり小鳥の影がすべる
小川の水がきらきらと光る
草が光を透かしながら揺れ
はだかのどろの木も白く芽吹き
細い枝々が一心に空に手をのばす
私 ....
新緑
けやきの葉は太陽の陽をとらえきれず あたりを染める
ゆっくりと濃くなり
また 薄く変わって
芽吹きの痛みは 遠い記憶
君よ
新緑の明日を 君の森を走って行け
踏み出した ....
大きくて、小さくて。
弱くて、強い。
前にいて、後ろにいる。
包んで、包まれて。
立ち止まり、走り出す。
....
悲しくて
からだじゅうの細胞が泣いている
でも涙はでていない
がんばってるからだろう
あいつもがんばってるからだろう
涙は細胞にまかせたから
ぼくは目のまえのことにがんばろう
呼吸もいち ....
なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その ....
嘘を百回繰り返してみても
それは本当にはならない
醜い自分を
美しい言葉で飾ったところで
鏡に映る本質は変わらない
皮膚の下に埋まった弾丸を
取り出して ....
目玉焼きの黄身が箸から崩れ落ち
食卓からも外れて床に落ち
砕け散った
バラバラのきみを
拾い集めては捨て
床の汚れを拭い取る
そして再び橋に向い
目玉の白目だけを食べ終わると
味気ない ....
ぼくはまだそれを途中だと思い
あなたはそれを
途中ではなく逡巡と受け取っていた
自然にまかせることができなかった
ぼくは不要だった
死を想ったら
もうなじんでい ....
計算して
失わないようにする
計算?
自由にならないことは
そう、計算!
損は失うこと
失うって何?
得は失わないこと
失わないって何?
....
切れ切れの
ビブラートが
君の内側に吹く
風の形を囁いた
痛みのような
ブレスが
君の内側を巡る
水の温度を呟いた
耳ではなく
皮膚の下の
毛細血管の先端で
僕はそれ ....
娘の担任の先生から突然メールが届く
件名は娘の名前
かすかな心臓の高鳴りを覚えながら
本文を開ける
文字が目に飛び込んでくる
“She had an accident!”
アクシデント!? ....
ポケットから取り出した
懐中時計が、暖かい。
妻の贈りものの蓋を開け
秒針の刻む、時を視る。
僕は今、在りし日の詩人の書斎で椅子に座り
木目の机上をスタンドの灯が照らして ....
貴方のいる街に来て、どれくらいの時が経ったのだろう?
多分、
思ったより全然短くて、吃驚するんだろうな…
....
最近姫が西洋音楽をはじめた
ヴィオロンとかいうキーキー言う楽器だ
まわりは大変迷惑千万昼寝もままならんし爺は疲れ気味だ
琴かせいぜい三味線ぐらいでいいと思うのだが
姫の西洋かぶれは止まらん ....
あなたが棄てたのは
金の人生ですか?
銀の人生ですか?
それとも
ありふれた人生ですか?
なんて
聞かれたとしても
うるせー、
なんも捨ててへんわい
阪 ....
アリスのレストランで君と午後のお茶を飲むんだ 素敵だろう
君に書いた手紙のなかにある恋の呪文 それを唱えて欲しいんだ
表通りは賑やかに人並みが通過して行く さあ恋の呪文を信じるかい?
....
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