すべてのおすすめ
亡くなった翌年の父の誕生日プレゼント
花束はバースデーなメロディ付だった
録音部の端を知らずに千切って
乱雑に放り出したらハッピーバースデー
痛みだらけのハッピーバースデー
それでも何百回父 ....
いつだか忘れるくらい昔のことだ
うたたねをしていたやかんは飛び上がった
お尻に大火傷を負い落っこちた
あららお水を入れ忘れた
それにしても駄目なやかんねえ
優しいおばちゃんは呟いた
無茶苦 ....
すべての昨日が置き去りだ
剥いだ蒲団は生暖かい
申し訳ないではない
悔しいではない
可哀想ではない
申し訳ないしかない
悔しいしかない
可哀想しかない
言葉の生む貧しさよ
....
君は一杯着飾っていたね
着けるだけ飾るだけ幸せになれると
友達も言っていた
君には複雑な鮮やかな柄が似合う
肌着はもっと暖かい真っ赤が良いよ
もっともっと着飾った方が
君はいつ ....
四番目の息が聞こえる。
父の息。
母の息。
私の息。
そして、聞こえる。
他には居るはずがない誰かの息が。
まだ幼かった私は、父母に挟まれ、狭い二階の一室で、毎夜訪れる暗闇と遭遇してい ....
【夜景】
月明かりが柔らかに肩を撫で
こんな夜は振り返ると良い
視界と記憶を超えて
永遠の束縛にうごめき
点々と小さく弱々しく
くっきりと何処までも続くのは
あれは夜光虫ではない ....
【龍人】
滑らかに曲がって
緩やかに曲がって
何時までも曲がって
何処までも曲がって
掌の記憶の球体
見覚えのある顔
球体を眺める
目の奥が笑う
掌の人の形
見覚えのある顔 ....
今日もひっきりなしに飛行機が通る
あの人だった人が外を眺めている
「沢山通るね」
あの人だった人は無言だ
体の何処からも表情が消えている
きっと見えないものを見ているのだろう
部屋を見渡せ ....
なぜだか私だけの四季を走っています。
それもたった一回しか無いのです。
春の始まりは夢との区別がつきません。
春の終わりは青く着色などされません。
夏は働き詰めでお盆休みなど無いのです ....
とても不思議だか
とても当然だか
わからないのだが
実は
自分しか存在しない
と思っていた
息を止めて
目を閉じて
瞑想して
苦しくなって
ブアッと吐き出して
それは
みな僕な ....
ぎゅうぎゅう電車がゴロゴロ走る
レールを潰してゴロゴロ走る
メール見るのに体をひねり
携帯取ればメールの先の迷惑顔
おっとおどきとお姉さん
通れぬ隙間を抉じ開ける
私の隣に入り込み ....
友を偲びつつ
窓辺によれば
窓ごしに見らるる春の四方
散りし桜の梢
若葉の木々
去りし日の想ひ出が
木々の梢にいざよふ
友を偲びつつ
窓辺によれば
窓ごしに見らるる春の空
乙女 ....