すべてのおすすめ
熱い日ざしが 爽やかに木の葉を青く染める
夏休みになって 少し賑やかになった
迷惑なような 嬉しいような顔
普段は老人ばかりの 閲覧室の空気
戦争中のことを書いた本を広げて
いつかの ....
遠い夏は旅の果てにある 汽車が鉄橋を渡って
青い駅に着いたら スカートを翻し
湧き上がる雲を見上げて 目を細める
見慣れた飛行機雲が 交差する
引込み線には 背の高い雑草が風に揺れ ....
閉じ込められていた扉が開いて 一斉に流れ出す
群集に紛れる 安心感に包まれて
たくさんの孤独は 水族館の鰯になって
同じ水槽の中を 泳ぎ続ける 死ぬときまで
独り暗闇に潜んだ金魚の ....
今日も雨 灰色に染まった湿気に
沈んでいく ヒザを抱えた狭い宇宙が
傘を広げて 縮んでいく 心地よい闇に向かって
落ちていく 余計な雑音の聞こえない場所へ
窓の外 紫陽花の下に 捨 ....
雨の夜の物語は 濡れた
石灯籠に絡みつく 蛇の赤い舌先に
想いは 蛍火にほの暗く 闇に
浮かび上がる 老いた眼は 涙に濡れている
森が深さを増し 光を拒み始める
明るい陽光に踊る ....
夕暮れの都会は ブルーに沈む
ビル街は華やかに さざめき始める
イルミネーションに飾られた 水の中を
お洒落した熱帯魚が行き交う 笑い声と
ビル街の吐き出す熱気が 淀んでこもる
....
電車の窓ガラスに映る
何か忘れ物をしたような顔は
別の世界にいる自分を夢見ている
手に入れたものと失ったものを 秤に載せて
手の中にあった 虹色の玉は
守ろうと握り締めた瞬間に ....
きみの悲しげな 薄茶の瞳が
雨に濡れた 捨て犬の耳に重なる
愛してるんだよ と 大きな声で
もし あの雨の日に戻れるのなら
真っ直ぐな思いに 応えられなかったのは
どこかに 罪の ....
花吹雪舞う道を ひとりで歩いた
分かれ道で手を振って きみは去った
あたしのことは すぐに忘れる
夏が来れば 陽の光に夢中になって
花びらは風にのって どこへともなく
青い月夜の ....
救急車が 走り回る
寝静まった街を 音もたてずに
誰かが 泣いている
悲しい出来事は もうないのよ と
地下街の換気口から ため息
焼かれた鶏の モツになった牛の
生暖かい ....
守り子の唄は 灰色の雨に滲む
擦り切れた赤い帯の 風車が回った
竹田じゃ雪に変わって トタン屋根が
静かになる しんしんと寒さだけになる
姉さまは 池に身を投げた
三条のぼんぼん ....
過去への扉を閉めて 歩み去った
思い出を 燃やしている その日までの
カレンダアに 印を付けるように
胸をつつく 夢の欠片を夜の河原に捨てる
葉を落とした 桜の小枝が 空に描く
....
骨だけになった 樹の群れは
古い写真の中で 諦めている時計に似て
遅れていく時刻 ついさっきまで耀いていた
枝の露は 跡形もなく消えた
誰かからの便りを 待っている
いつか訪れる ....
ピアノ協奏曲第2番が流れていた
雲の切れ間から射し込む くぐもった冬の陽は
積み上げる書物の埃を 頼りなげに
浮かび上がらせて ストオブの気流に乗せた
この部屋に 何年いたのかな? ....
風の止んだ朝 林は広くなって
生まれたばかりの顔をした 陽ざしが
汚れ果てた落葉を 白いレエスで隠す
あなたが霜柱を踏む 乾いた音
リズムは不規則で 頼りなく
不自由な足が もど ....
堆く積まれた 書物は昔のままに
午後の斜光に 照らされた埃の層は
舞い上がることもない 部屋は死んでいる
窓ガラスは乾いた風に ことこと揺れる
紙魚が食べた詩集には 空洞になった ....
「その紙に書いて…」
ぶっきらぼうに言った
彼女の横顔は デジタルに
その上 形而上学的に
LEDに代わった信号は
きっぱりと 黄色から赤に変わった
車のウィンカーだって 余情なく ....
リルケの詩集を 雪の積もった日に
重いコートの襟を立てて 携えてきた
大事な宝物のように 頬を赤くして
そんな時代に きみの後姿が重なる
茶色くなった 欅の落ち葉に書いた
秋の香 ....
月のない夜 銀河からの光に
山の端の木枝は 浮かび上がる 黒々と
花は眠っている 午後の明るい顔のままで
川音は 青くさざめいて 流れる
あてにはならない 行く末へ
いくつもの悔 ....
ぽたり ぽたり
胸の上に 滴る 暖かい
天井裏に隠した おまえの死体から滲み出る血
硝子の破片で刺した 傷口から
あの時 息の根を止めたつもりだった
どこかに潜んでいた 自己憐憫 ....
白ワインのグラスに 逆さまに
10月の雨に濡れた ムフタール通りが
もの憂げな 縮れ毛のきみの 髪の色と
愛した少年の 産毛の耀きが 悲しく重なる
こちらの世界に 繋ぎ止める すべ ....
柔らかい悲しみは 降り積もる
落ち葉に埋もれて 腐敗の暖かさに
林の樹木は無頓着に 日々を紡ぐ
自然な 季節の移ろいに 滑らかに
回転運動の 単調な繰り返しに
追随して耀く 儚く ....
大正生まれだった祖父が
復員してきた時 涙を流した
巻き鍵をお守りに持って 出征した
古い柱時計 曾祖母も大叔母も涙を流した
父は物持ちが良く
ガラスが黄ばんだ腕時計を
引き出 ....
芦沢 恵さんの藤原絵理子さんおすすめリスト
(23)
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日付
木曜日の図書館
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藤原絵理 ...
自由詩
5
15-8-15
入道雲
-
藤原絵理 ...
自由詩
9
15-8-13
電車
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
15-7-3
雨の日の情景
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
15-6-16
6月の雨
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
15-6-3
風の歌
-
藤原絵理 ...
自由詩
5
15-5-16
かえり道
-
藤原絵理 ...
自由詩
9
15-5-12
サヨナラ言えなくて
-
藤原絵理 ...
自由詩
5
15-5-8
春を送る
-
藤原絵理 ...
自由詩
8
15-4-22
街の風景
-
藤原絵理 ...
自由詩
6
15-2-21
戻り橋
-
藤原絵理 ...
自由詩
4
15-2-4
サ高住
-
藤原絵理 ...
自由詩
6
15-1-29
囲炉裏の上
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
15-1-19
去る人
-
藤原絵理 ...
自由詩
6
15-1-11
老いた冬に
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
15-1-5
冬の午後
-
藤原絵理 ...
自由詩
7
14-12-17
図書館の魔女
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藤原絵理 ...
自由詩
5
14-11-24
夕萓に
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藤原絵理 ...
自由詩
8*
14-11-8
千鳥しば鳴く
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藤原絵理 ...
自由詩
7*
14-10-28
迷い
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藤原絵理 ...
自由詩
4*
14-10-21
エルレーヌ追想
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藤原絵理 ...
自由詩
6*
14-10-18
もみぢ踏み分け
-
藤原絵理 ...
自由詩
8*
14-10-10
発条
-
藤原絵理 ...
自由詩
14*
14-9-22
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