歳末特別セール
涙(ルイ)

たとえば洋服を買いに行って
最初に目がいく色ってあるでしょ?
私の場合は緑色ね


逆に まったく目がいかないどころか
手に取ることすらない色もあるでしょ?


時々、ふっと思うの
ああ 私って多分きっとそっち側だなって


誰にも選んでもらえなくて
棚の隅で埃被って
在庫セールで値下げされ値下げされ
それでもきっと 誰も手にとらない


たまに奇特な人が 安いからって手にとってみても
やっぱいいやって 畳まれもせずに放置される


私という色は 春の木漏れ日みたいなパステルでも
夏休みの宿題の絵日記みたいな 原色のクレヨンみたいな色でも
秋の紅葉みたいな 油絵具みたいな色でも
真冬の世界一面を染めるような真っ白でも
もちろん無彩色でさえない


いっそのこと何の色も持たない
無色透明であったなら
どんなに楽だったか知れやしない


私は知っている
あの人がキライな色を知っている
あの人は絶対に私を選ばない
たとえ天地がひっくり返っても
たとえこの世に私と二人だけになったとしても
私は知っている
あの人が私を嫌っていることを






私は知っている







自由詩 歳末特別セール Copyright 涙(ルイ) 2023-12-04 20:11:14
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