0.はじめに

 例えば外を歩くという行為を考えてみよう。その際私は歩く場所として歩道を選択し、車道は歩かないだろう。そのとき、歩き方は「人間は歩道を歩くべきだ」という一定の社会的な規範に従ってい ....
写真集の中の写真をうつした写真家は

もう死んでおり

この世界にはおらず

いまも死につづけていて

モノクロームに象られた

すべすべとした紙のなかに籠って

かたくなに孤 ....
野には蜜酒が香り
冷蔵庫の中で
飲み残しのアルミ缶が
虹色の水蒸気を吐き出す

木漏れ日のタペストリー模様に
数学者が美しい定理を発見する
詩人は新しい詩を見いだす

空を行く雲が
 ....
 .
嘯嘯と渡る風 牡蠣殻の谷間
置き忘れられた巻き貝
さんざめく天空の波濤
人には気づかれない 水底{ルビ=みなそこ}の弾き手
 .
冷たい秋の雨の夜はあなたのいる
彼方から かすかな ....
上空フォフォフォフォンがやってきた

それは!

やってきたと言うより

上空フォフォフォフォンは木綿豆腐の香りがする

そして

髪をかきあげる

上空フォフォフォフォンの音 ....
長い時間を 
かけて
傷つき
破壊された肉体が

捻じ曲げられ
かしいで
柔らかな樹木となり

夏の
窓の外の
埃の浮かぶ
光の中を
静謐に往く

浮き草を揺らし
水霊 ....
くらい匂いのする国境のラインを
冷たい土を抱いたまま駆けぬける世代の
土くれに摩耗したブーツについた名前はプライド
硝煙たちが
演算されるコンピューター・システムみたいに次 ....
最近できるように
なった技
今までは
自分の事しか考えなかった。

我慢する
妥協する
許す
誤魔化す

君は一人で
歩いていって
しまった。
僕は一人佇む。
えーっとマン
えーっとマン
ハイッ?ハイッ?ハイッ?
ハイッ?ハイッ?
えーっとマン
えーっとマン

霞む瞳
遠い耳
薄れる記憶
ついに本格的
老化現象(鼻毛も白い)

あき ....
人の足跡や足音が消えて行くのは
目に見えるように分っていた。

あの場所では
自分を疑うより、他人を疑ったほうが
人の居場所として適しているのかもしれなかった。
今夜も、仕事から帰った家で 
待っていてくれた嫁さんの 
台所で、とんとん
野菜を刻む音がする  

僕の安月給でやりくりする 
我家の食卓 
  
昨日炒めた野菜の残りでつくった
 ....
 
 
朝の涼しい職員室で
担任の先生が亡くなっていた
若い女の先生だった
青白い横顔が見えた
海のように
とてもきれいだった
話は変わって
雲には感情がないと思う
感情があったら ....
最近自分の影を投げ捨てる人が多いと聞きます

一度投げたら最後、もう死ぬまで影はなくなるそうです

自分の体全体がぺりぺりかさぶたをとるような感覚であり

それはもう快感を越えたものである ....
夢の中で誰かの手が伸びてきて

グルグルグルグル

ねじまわしの音
目が覚めて
鞄を持ちながら
あっちの会社こっちの会社

くるくるくるくる

回って回ってときたま鞄を叩いてチャ ....
          111010




花電車がやってくる日に
チョー簡潔な祝いのお品
チョコレートのパイを焼く
暖かいうちに運ぶんだ
横断歩道の先にある
プラットフォームには人 ....
彼女は残念な人
塩と砂糖を取り違えるとか
それならまだいいが
今日はイオと間違えた
イオとは木星の衛星であり
今この部屋を
星の軌道がゆくりなく通る
女の子が産まれたら
愛子という名前はつけない
愛という字を
書き慣れてほしくないから
女の子が産まれたら
しのぶという名前はつけない
耐えしのぶなら
逃げてしまいなさいと教えたいから ....
まず起きたら
顔を洗い
歯をみがき
ひげをそる

コーヒー飲んで
新聞読んで
パン食べて
テレビ見る

皿を洗い
庭掃除
ドライヤーかけて
鍵かけて

行って参ります!
 ....
  封筒を買いに行く
  各駅で二駅
  なにもない街に
  とうめいな街に



  封筒を買いに
  最近の僕らは
  いたずらに言葉をついやし
  いたずらに歩きまわ ....
群れからはぐれたのだろうか
一頭のキリンが
丸の内のオフィス街を歩いていた
時々街路樹の葉を食べながら
それでもなるべく目立たないように
歩道の端の方を歩いていた
郵便ポストを見つ ....
おやすみ、あなたの黒髪にまだ青い葉をからませ
おやすみ、蔦は赤く、赤く血の色のよう


あなたの血のように赤く 私の血のように赤い
蔦を体に這わせ 木の葉の雨の降りしきるなか
そっと夢みる ....
つよく握りしめていた 
拳を、そっと開いてみる 

この掌は、いつのまに 
透き通ったひかりの泉が湧いてくる 
不思議な器になっていた 
君がつくってくれた朝食の 
おかゆを食べ終え 
茶碗の運ばれた、広い食卓に 
何とはなしに手を置けば 

木目に残る余熱は 
一つのぬくもりのように 
指から皮膚へ 
皮膚から体内へ  ....
「もう秋だ」
誰に言うでもなく
ただ、ポツリ、一人呟く

風がだんだん冷たくなり
空気が澄んで空が高くなるのが
誰にも言われずにわかる


スーパーでレジ打ちのバイトをしているが
 ....
海よりも深い青さで恋をして
夕日よりも赤い情熱で愛した
波間を漂う流木に この身を重ねるのは
今もあなたが 愛しいからでしょうか

かもめが水面近くを飛んでいき
やがて白い月が
東の空か ....
あの娘が出て行って一人取り残された僕
スポンジケーキの星が天井にぶらさがっている
悲しみのレールを音もなくビールの泡が走る
だからといって握り締めた携帯電話には雑草が生い茂るだけで何も歌わない
 ....
ばりばり書いたばりばり


「ざんねんながらその話
 すでに書かれたものなのです」


  ばりばり書いたばりばり


「失礼を承知で申します
 あまり面白くありません……」
 ....
旅ってなんだろう

帰るところあっての旅なんだろうけど

住んだこと無いはずなのに
慣れ親しんだ気がしてならない場所へと帰ってゆく

そんな旅路もあるような気がする




 ....
新しくポストを建てました

これで十二本目です

今のところはお手紙はいただいておりません

悲しくはないです

心配は

近所の子供が悪戯に石を詰め込むことです

さきほど七 ....
魚影のない河川
子どもの工場見学
秋空にぎんぶち眼鏡のつがい
おとなの暗い話題
 
人のかたちを真似るビルと
ビルのかたちを真似る人
沈む色紙の太陽
三角座りのキリ ....
乾 加津也さんのおすすめリスト(5083)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
詩作行為の倫理学- 葉leaf散文(批評 ...5*11-10-15
モノクローム- 「Y」自由詩10*11-10-15
春の断層- まんぼう ...自由詩611-10-15
キュリエ- Giton自由詩4*11-10-14
上空フォフォフォフォン- 空中分解自由詩3*11-10-14
- まんぼう ...自由詩311-10-14
アイテム- ホロウ・ ...自由詩2*11-10-14
人に合わせる- ペポパン ...自由詩2*11-10-13
えーっとマン- 花形新次自由詩7*11-10-13
場所がつぶやけないなら- yuugao自由詩3*11-10-13
残りもの家族_- 服部 剛自由詩1211-10-13
雲の話- たもつ自由詩811-10-13
影を投げ捨てる人- 灰泥軽茶自由詩8*11-10-13
オレンジ色のゼンマイ仕掛け- 乱太郎自由詩16*11-10-13
花電車- あおば自由詩9*11-10-13
残念な人- 春日線香自由詩411-10-13
女の子が産まれたら- はるな自由詩1311-10-13
おはよう- ペポパン ...自由詩4*11-10-12
封筒を買いに- 草野春心自由詩3*11-10-12
エアメール- たもつ自由詩511-10-12
ねむり- 石瀬琳々自由詩21*11-10-12
掌の器- 服部 剛自由詩611-10-11
手のひらの詩_- 服部 剛自由詩811-10-11
秋が来おった- 一 二自由詩711-10-11
潮の音(ね)- 凪 ちひ ...自由詩211-10-10
別れ- ぎよ自由詩311-10-10
創作- メチター ...自由詩10*11-10-10
旅路のひと- 恋月 ぴ ...自由詩2511-10-10
割れた鏡と英国風のカーテン- 空中分解自由詩4*11-10-10
かみなりのおとをききながら- かいぶつ自由詩7+11-10-10

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