花の咲いた間だけ
とげに触れぬように

見張るように透明なコップに
移し変えたのは

空の下で枯れるすべての事から
逃げるためですか
守るためですか

とげよりもおそろしい指で
 ....
サンタになる
と 義父が言ったのは 六十歳になったあたり
子供の頃からの夢だと言い
衣装をそろえ 駄菓子を買い込み
白い布など用意したので

義母は 義父用に衣装をつめたり
白い袋にした ....
黄色から赤信号に 変わった
コンビニエンスストアの 前の交差点

朝 うっすらと雪で凍っていた路上も
お昼を過ぎる頃 スリップする心配もわずかに緩み

直進の列に いつものように 並び
 ....
あの頃、君に告げられなかったことを今


 ***


ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ



ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです

夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
 ....
江ノ島の砂浜で、
少年だったわたしは、
父とカイトを、飛ばした。
父の、大きな背の、
後ろで空を見上げる。
埋まる足元と、手につく砂。
潮風に乗って、
黒い三角形のカイトは、
糸をはり ....
乾 加津也さんのおすすめリスト(5083)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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